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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/09/23
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おはよう! 岡田斗司夫です。
今日は週刊アスキー『岡田斗司夫の ま、金ならあるし』の記事から、セレクトしてお届けします。

最初からの一気読みはこちらです→http://goo.gl/L10s6c

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◆岡田斗司夫の最終ビジネス(9)
 

 オープニングアニメは、予想以上に売れまくった。
 合計で売り上げは七百万円以上。

 SFファンやアニメファンたちは、赤字を見るに見かねてではなく、作品を 見たくて、たった5分のアニメに、一万円以上のお金を送ってくれた。

 自分たちが作ったアニメが、そんな見たこともない大金を生み出すほどの価値があるんだ!
 「赤字救済」という本来の目的なら、二百通を超えた段階で受付を終了し、返金するべきだったかもしれない。
 でも正直、僕たちは舞い上がっていた。

 それまでずっとSF活動にお小遣いやバイト代のすべてを持ち出して使い果たしていた僕たちだ。
 苦労してイベントを成功させて、それでも赤字に終わってバ イトに追われていた僕たちなのだ。
 
 そこに天から降ったような七百万。
 うれしくって天狗になってしまった僕たちを、誰が責められようか。

 みんな、1万円以上出しても僕たちのアニメが見たいの?
 しょうがないなぁ。
 本当はもう発売終了しなくちゃいけないんだけど、売ってあげるよ。
 
 感想やファンレター、いっしょにアニメを作りたいという手紙もいっぱい来た。
 そのすべてに僕たちは目を通し、発売終了の話はウヤムヤに消え、毎日ビデオのダビングは続いた。

 僕のも、友達のビデオデッキも、摩耗したプーリーや録画ヘッドや消磁ヘッドを何度も交換し、やがてアルミケースはあけっぱなしでガタガタになっても、ダビングを続けた。
 当時の日本で、こんなに使い込まれたビデオデッキはなかったろう。

 点検に来たソニーの技術者がサジを投げ、心斎橋のソニービルに持ち込んで修理を依頼したときに「家庭用デッキで摩耗したのは研究所にも例がない。詳しい 使用データを教えてくれ」と頼まれたのを、「とりあえずダビングが溜まってるからさっさと修理しろ」と蹴飛ばしたぐらいだ。

 二台目のビデオデッキに買い直してダビングを続け、僕たちのアニメは売れに売れ、最終的に赤字を埋めて純利益は五百万を超えたろうか。
 ここまでの大金を手にして、さすがにうろたえた。
 ネコババ・山分けしていい種類の金ではない。
 打ち上げパーティーで消えてしまうような金額でもない。
 どうしたらいいんだろう?

 あるスタッフが気弱に言った。
 「SF大会が生み出したお金だから、来年のSF大会に寄付したらいいんじゃないですか?」

 ちょっと待て。
 今度のSF大会は東京だぞ。

 「大阪の連中、ちょっと評判良かったからって、いい気になってる。
 オレたちが本当のSF大会を見せてやろうじゃないか」
 と言ってるような奴らだ。

 この数年、SF大会は低調で参加者も減少気味だった。
 僕たちががんばって盛り上げたからこそ、来年の東京大会・二千人の定員があっというまに埋まったのだ。

 資金も余りたおして、一年半も前から事務所を借りているらしい。
 金の使い方の知らないバカどもだ。
 
 おまけにSF大会打ち上げ会場で僕に言ったセリフ!
 絶対に忘れはしない。

 そんな奴らに五百万円、くれてやるって?
 死んでもイヤだ!
 それなら、自分たちできちんと使う方がいい。

 来年の東京SF大会の、その次の年、一九八三年日本SF大会に我々DAICON IVが立候補する!
 僕たちの宣言に、日本中のSFファンが震撼した。

 SF大会の立候補者どうしは、前年のSF大会、すなわち東京SF大会で参加者の投票で誘致が決定する。

 勝負は八二年の夏。
 戦いのゴングは鳴った。もう戻れない。
 大丈夫、ま、金ならあるし!


以上、『岡田斗司夫の ま、金ならあるし』よりお届けしました。


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