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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「なぜアニメの製作本数は増えているのに、現場は貧乏なのか? 前編」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「なぜアニメの製作本数は増えているのに、現場は貧乏なのか? 前編」

2017-01-08 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/01/08
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    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回はアニメ界の問題点を分かりやすく前編・後編に分けて解説します。

    次回、後編をお届けします。


    今回の記事はニコ生ゼミ12月25日分より一部抜粋しました。

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    「なぜアニメの製作本数は増えているのに、現場は貧乏なのか? 前編」


     今回は話を分かりやすくするために、悪者を作って話をしてみるね。
     基本的にはアニメの製作委員会が悪いんですよ。

     よく聞くでしょ?
     「日本のアニメがしんどい理由は、製作委員会のせいだ」だって。
     
     でも、何が悪いのか、今までよく分からなかったんだ。


     製作委員会というのは、アニメに出資するオジサン達の事だと思ってください。

     たとえば音楽や声優を担当するレコード会社。
     フィギュアやオモチャを担当するオモチャ会社。
     それを放送するテレビ局とか、原作を連載している出版社。

     そういうのが出資者として、アニメの製作委員会に名を連ねている。
     そして、それぞれの出資者は権利を主張したいんだよね。


     たとえば、そのアニメに対して3%しか出資してなかったら、3%しか発言権は無いんだ。

     なので、みんな1~3%の出資は嫌がる。
     もっと、たくさん出資したい。

     ジブリのアニメなんか、制作費が20~30億円ぐらいかかる。
     だけど20~30億円ぐらいの予算だったら、本当だったら出資会社が100~200あっても、いいぐらいなんだよね。

     でも、そんなに出資会社は無い。
     なぜかというと、個別の出資会社の株主としての影響力が少なくなるからなんだ。

     株主の影響力があるのは、5~10%以上。
     できれば40%以上は欲しいというのが、出資会社みんなの本音なんだ。


     絶対に当たる映画だと分かっていれば、「製作予算が10億円の映画だったら、5億円はウチが出します!」ってやりたいのは山々なんだ。

     ところが他の会社が、そんな事を黙ってないんだ。

     「予算の半分も出されたら、映画はお前の会社の言いなりじゃないか!」
     「必ずウチに25%は出さてくれ!」

     そんな縄張りの張り合いになっちゃうんだよね。

     一つの会社がたくさん出資しちゃうと、他の会社の旨味が無くなっちゃう。
     なので、他の会社が参加してくれなくなっちゃう。

     なので平均的な出資率というのは、僕が知っている限りでは20~40%ぐらいになるんだ。

     それで、どこか一社のみが主導権を取りたい場合は40%を確保して、残り60%を10社以上に割り振る方法がある。

     これは、なかなか悪どいけど上手い方法だよね。


     「残り60%を10社で、1社6%ずつ出してください」って言ったら、いわゆる大株主が一人いて小物株主がたくさんいる状態だから、大株主の発言権がすごく大きくなる。

     そうなると、そのアニメの作り方がかなり思い通りになる。

     でも、そんな事は6%しか出資できない会社は、たまったもんじゃない。

     そこで、この出資がすべてオープンで行われたら自由経済として成り立つんだけども、ここに談合が入るのが日本らしい所なんだよね。

     つまり「どの会社を入れてあげるか」とか「どの会社に何%の配分を持たせてあげるのか」というのが、談合で決まってしまうんだ。

     なので、この製作委員会方式というのは、なかなか問題も明るみに出ない。

     さっきみたいに「5割はウチが出します。残りはみなさんが5%ずつ出してください」だったら、どこか一社が降りても平気なんだ。

     なのでプロデューサーが強い映画って、ときどきあるよね。

     「製作委員会方式でも、この映画はきちんと作れた」
     「この映画は、プロデューサーが指揮権を出せた」

     そんな映画は、よくよく見てみると、実はその中心となっている一社がかなりのお金を出して、他の会社に出資させてない場合があるんだ。

     この「出資させない」のがポイント。


     仮に、僕が日本で一番に権利を持っているレコード会社系のプロデューサーだったとしよう。
     
     「僕が50%出すから、残り50%は10社で分けろ。ただし僕にも予算があるから、出せるのは5千万円までね。」

     そうなると、この人が「総予算は1億円」って決めちゃえるわけだよね。

     現場は「2~3億円かかります!」って言っている。
     マーケットに聞けば「これは必ず売れるよ!」って言ってる。
     
     それが分かっていても、このプロデューサーは作品を思い通りにしたいが為に予算を1億円で抑える事がもっとも合理的な行動になってしまう。

     そうなると、このアニメがどんなにヒットするのが分かっていても上限予算が作られてしまうんだよ。

     これを「ウチも出します!」「ウチも出します!」って全部を受け入れると、“青天井”効果という状態になってしまう。

     “青天井”というのは、お金をドンドン上乗せして、お金を持ってる人が勝つ状態。

     そういう事をさせないように、普通は“天井”という上限が決められている。
     それが談合状態。


     放送局のプロデューサーとか、メジャーなオモチャ会社のプロデューサーとかは、自分たちが一つの作品に出せる金額は決まってる。 

     その出せる金額が2000万円だったとしても、絶対に10%の権利が欲しい。

     そんな場合は2000万円が予算の10%になるように、そのアニメの予算の上限を2億円にしちゃう。


     これが製作委員会による「予算の上限」の問題なんだ。


     (後編に続く)


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