このあいだ、ミュージカル『私は真吾』を見に行ったんだ。
この作品、ツィッターで絶賛の嵐なんだよ。
当たり前だけど、あんなマニアックでへんてこなミュージカルを観に行くのは、ミュージカルファンしかいないんだよね。
会場には小奇麗なお姉さんばかり。
僕はふつうの服装で行ったんだけど、他のみんなはコートをクロークに預けるんだよ。
つまり、観劇文化というやつ。
コートをクロークに預けて、その下のドレスを見せるという文化なんだよね。
俺らそんな発想ないじゃん。
そりゃあ『スター・ウォーズ』観る時なんかは「このTシャツを見て欲しい!」とか、『ナウシカ』に並ぶ時に「このトレーナーを見て欲しい!」だったら、あるかもしれないけど(笑)
演技として見たら『私は真悟』面白かったと思う。
去年も『デスノート』のミュージカルも観に行ったんだけど、やっぱり、しんどいんだよ(笑)
『デスノート』がミュージカルになる。
これだけで笑えるじゃん。
俺の興味は“ふたつ”あったんだ。
ひとつは「私は真悟」というセリフね。
それは、漫画の前半の謎になってるの。
なんで真悟なのか? そんな日本人なのか? 名前なのか?
そうじゃなくて、工業用ロボットが心を持ってしまう話なんだよね。
“心をもってしまったロボット”である自分に色々と教えてくれた小学生の男女がいて、男の子の名前が「悟」女の子の名前が「真鈴」。
真鈴の「真」と「悟」と2つ合わせて、「真悟」という名前になってる。
2人の子供だから「私は真悟」なんだっていうのがあって、それをいつ言うのかなと。
漫画の中では「電子回路の中の存在」として描かれていた真悟を、どう描くのかなと思ってた。
そしたら俳優さんが出てきて、工業用ロボットのまわりでくるくるしながら、「私はその時意識がなかったと言います」とフリーザ様みたいな感じで喋って「私は、私は、私は真悟~」という所で前半が終ったんだよ。
「やっぱり、こうなるか~」と思ったね(笑)
あとまた前半部分のクライマックスなんだけど、2人がこれから別れないようにするにはどうすればいいのか、どうすれば結婚できるのかで、「333(さんさんさん)から飛べ」という有名なセリフあるんだ。
“333”とは何かというと、東京タワーのてっぺんのこと。
これが、ほぼ333m。
「ここからジャンプしろ」という意味なんだ。
悟と真鈴は東京タワーに行って、一番上の落雷針の所まで登って飛び降りるのが前半部のクライマックスなんだ。
あれを、どうやって舞台化するのかなと思ってたんだ。
そしたら、ちゃんと舞台の上に東京タワーを作ってたんだよ。
2人で歌いながら登って行って「333から飛べ~333から飛べ~」
そこはちゃんとやったんだな、と感動した。
まあでも散々だよね。
あんなもん行くもんじゃない。
もうこういう実験作を観るのはやめようと思う。
『ライオンキング』とかまともな作品から見ようと思ったんだけども、よくよく考えてみたらこの20年間で10本くらい舞台は観に行ったんだよ。
「観なきゃいかんかな」と思って。
『トゥーランドット』とか『オペラ座の怪人』もそうだけど、だいたいその手の大型オペラから、ニューヨークのブロードウェイで『マチルダ』とか、そういうのも観たりしたんだ。
全体を通して言えるのは、俺は舞台そんなに好きじゃねえわ(笑)
それが分かった。
もうここから先の人生は、舞台を観に行くのはやめようと思う。
今回の『私は真悟』で、切り換えがつきました。