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 岡田斗司夫のニコ生では言えない話 第21号 2013/2/18
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【今週のコンテンツ】大企業が恐竜のように滅びても、哺乳類になって生き延びよう
【今週の書き起こし】「ネット社会でビジネスはどう変わっていくのか」(後半)
【岡田斗司夫なう。】【予約開始記念】内田樹との対談本「評価と贈与の経済学」前書き全文掲載!
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◆【今週のコンテンツ】大企業が恐竜のように滅びても、哺乳類になって生き延びよう
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『ジュラシック・パーク』みたいに、昔は本当に恐竜と人間が同じ時代を生きていたんだって信じていました。無銘のマサフミです。

前回に引き続き、慶應義塾大学で行われた岡田斗司夫講演「ネット社会でビジネスはどう変わっていくのか」後半の模様をお届けします。

後半では「ビジネス」に焦点を当てて考えます。
かつては多くの人が必要だったビジネスが、情報処理技術で少人数でもできる時代になり、大企業はまるで恐竜のように、自らの大きさを支えきれずに苦しんでいます。
ではネット社会でのこれからのビジネスの形、岡田の提唱する『マイクロビジネス』『フラッシュビジネス』とは何なのか。
巨大企業が恐竜ならば、哺乳類としてこれから進化していくのはどんな人達になるのでしょうか。

ここはかつて隆盛を誇った巨大企業の最後の時代。
そんな映画のようなあり得ない世界を、みんな揃って生き延びましょう。

講演後半の模様、ハイライトからどうぞ。


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『マイクロビジネス』
『フラッシュビジネス』
 こんな言葉ありません。僕が作った言葉です。
 おそらくこれらがこれからの大きい流れになるでしょう。

 マイクロビジネス、というのは、実は『Amazon』もそうなんです。Amazonというのも、これまで巨大な仕組みが必要であった出版というものを、わずか数人の力でできるようにした仕組みなんですね。
『ニコニコ生放送』にしても『YouTube』にしても同じです。テレビ局というものすごく手間のかかる、何千人という人を介するシステムというのを、わずか数人でできるようにしたっていうのが、今のビジネス、ネット時代のビジネスの特徴なんですよ。
 つまり、まず、産業規模が小さい。そして、今、必要とされている、明日必要とされていることが、すぐにできること。
 同時に、それが駄目だと思ったらすぐにやめれること。これも恐ろしいですよ。マイクロビジネスで、たとえば皆さんが今面白いソーシャル・ビジネスとか、ソーシャル・サービスとか思いついたとしても、2年後に誰かがもっと面白い仕組み、新しい仕組みを思いついたら、皆さんはすぐにそのビジネスを畳まなきゃ駄目なんですね。
 そこでがんばって「いやいや俺たちは既に先行投資もしたし、もう何年もやってきたから」といって踏ん張っちゃったら、今のシャープとかソニーと同じになっちゃうんです。これまでにがんばってきたものの蓄積っていうのが、イワシ化された「今、何か」が重要な社会では、まったく考慮に入らないんです。

 もし、それで皆さんが“キャラクター化”に成功したら別ですよ。“関係性化”に成功すれば別ですけども。
 つまり、コンテンツからキャラクター、関係性になったんだから、これまで皆さんが自分が起業してきた新しい会社で2年間何をやったのかっていうのは、コンテンツ時代の発想ですから、まったく意味はないんですよ。
 ただ、その結果、皆さん1人1人の“社長としての自分の個性”というのが世の中にアピールされてれば、そのキャラクターとしてはまだ勝負できます。同じように、お客さんとどのような関係を結んでたのか、もしくは従業員とどのような関係を結んでたのかによって、次のビジネスチャンスはあるかもわかりません。
 ただ、それまでこんなことをやってきたとか、「うちは老舗として何年もこの商売やってきた」みたいなコンテンツに関しては意味がなくなっていきます。老舗としてやってきたという“ブランド”というキャラクターには意味があるんですけども、そこで作ってきたもの自体には、どんどんどんどん意味性が低くなってくる。これが、一番最初に話したネット社会の特徴です。

『マイクロビジネス』っていうのは小規模なビジネスですね。大企業がやってるようなことを、小さい企業で肩代わりするようなもののことです。
 つまり、巨大な恐竜を滅ぼすような、卵を盗む哺乳類の仕事というのは、これから絶対に行けます。


 同時に『フラッシュビジネス』ですね。
 これから 100日間だけは必要とされてる仕事、2、3日だけは必要とされてる仕事っていうのは、これからも絶対に行けるんですけども。何年も必要とされてる仕事とか、ここから先、5年も10年も定番として生き残る仕事っていうのは目指しては無理なんです。
 漫画の話で言うと……これはジャンプ編集部でも、どの編集部でも言われてるんですけども。もう、これからは『ワンピース』のような国民作品という、巨大でいつまでも愛されるような作品っていうのを作ろうとするのは無理だと。
 そうじゃなくて、もっと小さい話。単行本5巻か10巻ぐらいで終わってもいいような、いわゆる『デスノート』とか『バクマン。』型の、話が簡潔で、終わりが見えても構わない。そして、今、今年面白いと思われたら、2年後にはブックオフで大量に安売りされても構わないような漫画しか、もう生き残れない。ジャンプ編集部ですら、そういうふうに思ってるんです。
 そういうふうなビジネスっていうのが出てくるだろうと。なので、“作りやすくて壊しやすい会社”っていうのを、皆さんは作るべきだと僕は思います。


「それはどんなのだ?」って言われたら困るんですけど、ほんとにね、マイクロが良いんです。マイクロっていうのは、人数が少ないっていうこともあるんですけども、売り上げ自体が少なくても成立する会社です。
 例えば、iPhoneを買った人にその使い方を教えるだけの企業でいいです。そうすると、教えるギャラとして取れるのは、たぶん1000円から5000円ぐらいだと思うんですよ。そんなのが1日何人あるのかわからないんですけども、1人か2人の人間が食うだけだったらギリギリできると思うんです。
 そういう仕事だったら行ける。マイクロだから。おまけにiPhoneだったら、“今わからない人”がいるからです。でも、これが何ヶ月かしたら、もうみんな操作法がだんだんわかってくるんで、こんな商売駄目になるんです。
 でも、僕らはついつい、「えー!? そんな1人あたり5000円とか2000円ぐらいで、5人とか10人とかに教えるチンケな商売できないよ! 大学まで行ったんだから、そういうもんじゃなくてもっとビジネスなことをやりたい!」っていうふうに、ついつい巨大化のほうを考えちゃうんです。
「来年になったらもうニーズがなくなるようなそんなことやってもしょうがないよ! 名刺作って名刺配ってる間にその仕事がなくなるようなことやってどうすんだ? そうじゃなくてずっと続けれるような収益モデルビジネスモデルっていうのを考えたい!」っていうふうに考えちゃうんですけども、そう考えるとどんどんドツボにはまっていきます。
 マイクロとフラッシュというのが僕は今後のキーワードだと思ってます。

 あとはもう本当に、「誰か飲み会の幹事やってくれよ」というときに、普通は友達の中で“人が良いやつ”が幹事を引き受けるんですけども。そうじゃなくて「日本中どこでやる飲み会でも全ての幹事を引き受けます」というような会社もいけると思います。これも飲み会ひとつあたりの収益というのは多分1000円か2000円ぐらいなんですけども、日本中の飲み会の情報というのを集めればそれがビジネスになる。
 だからネット社会の特徴というのは誰か1人が始めるにしても、それまでだったら周りの人にしかいえなかったから、こういうマイクロでフラッシュなものっていうのは、バイトにはなったけど仕事にならなかったんですね。
 でもネットワークで一瞬で数百万人の人に知らせることができるからこそ、マイクロ、フラッシュであろうとも、何とか食える程度の仕事にはなるというふうに僕は思います。