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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「ラノベは現代のキリスト教!? 変化は少年ジャンプからラノベの時代へ」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「ラノベは現代のキリスト教!? 変化は少年ジャンプからラノベの時代へ」

2017-09-18 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/09/18
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    今回の記事はニコ生ゼミ9/10(#195)よりハイライトでお送りします。


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    「ラノベは現代のキリスト教!? 変化は少年ジャンプからラノベの時代へ」


     今回は、前の時代の“ラノベ脳”みたいなものが何なのかを考えてみました。

     “ジャンプ脳”ですね。

     ジャンプを読んでいるヤツが毒される、“ジャンプ脳”です。

     ・・・

     少年ジャンプの“友情・努力・勝利”ですけども、このジャンプ脳がラノベ脳へと時代が変わってきていてですね。


     努力っていうのは、“ヘタレ”と“チート”に置き換わった。

     友情は、“モテ”や“ハーレム”になってる。

     それで勝利は、勝利を求めてるんではなくて、“感動”や“感謝”になってるんですね。


     もう本当にこれは『異世界はスマートフォンとともに』を見てると分かるんです。

     主人公がほとんど努力をせずに、チート状態で何かをしたら、周りが大げさに感動して感謝してくれる。

     その結果、友情ではなくてモテやハーレムがもれなくやって来るというですね、めっちゃ都合のいいような話なんです(笑)。


     これが、ジャンプ脳からラノベ脳への移り変わりでないかな?
     と、いうふうに思います。


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     ・・・

     ついこの間、発売された黄金時代の少年ジャンプ。

     すごいですね。
     
     1987年の、今から30年前の少年ジャンプ。

     最初のジョジョが掲載されたやつなんですけども、これを見ていると、本当に 友情・努力・勝利 ばっかり出てくるんですよ。

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     で、ラノベ脳で言うと、『ドラゴンボール』に足りないものって何か。
     
     今、何でドラゴンボールがそんなに流行らないかっていうと、やっぱり “ハーレム” が無いんですよ。

     あと、“感謝” が無い。


     ゴクウは地球を救ったんですけども、ミスターサタンに栄光を譲ってしまった。

     周りの人間は「ゴクウ、お前はたいしたヤツだ」と言うだけで、止まっちゃってるんですね。


     だから、周りからの評価も無いし、ハーレムも無い状態なんですよね。

     そこら辺が、やっぱり違う。


     『うしおととら』はドラゴンボールの改良版で、その結果、ハーレムやモテみたいなものがやって来るんですけども、それでもやっぱり弱いんですよ。

     ・・・

     で、『Re:ゼロ』ですね。

     『Re:ゼロから始める異世界生活』は、ヘタレでありチートでありながら、一応“友情・努力・勝利”が、ちゃんとあるんですね。


     僕が『Re:ゼロ』という作品の何が面白いのかって言うと、ヘタレ・チートで始めておきながら、ちゃんと努力をせざるをえない環境になってる。

     努力じゃないんですよ。

     主人公が色々と足掻いて頑張った結果、最終的には友情みたいなものを手に入れて、いろんなものとの戦闘で勝利みたいなものを手にするって事で。

     実は『Re:ゼロ』っていうのは、ラノベ時代の作品でありながら、かなりジャンプ的な価値観なんですね。


     いわゆる40代50代のオタクのお兄さんも、喜べそうな、オジサンたちも喜べそうなものを持ってきた。

     そういうのが、その『Re:ゼロ』のすごい評価されてる所ではないかなと思います。

     ・・・

     じゃあ昔のジャンプ脳が良くて、今のラノベ脳がダメなのかというと、そうじゃなくて。

     
     ジャンプ脳というのは、友情・努力・勝利なので、勝利しない場合は「お前の努力が足りないからだ!」という事で、“脅し”にも使われてしまうんですね。

     でもラノベ脳の場合は、最初から「俺、もう今のまま何も努力せずに異世界に行ったら、チートなのにな」と妄想して終わりなので、現実に不満を持たない。


     で、この“現実に不満を持たない”というのは、悪い事に聞こえる。
     けども実は凄く大事なことで、中世のキリスト教の意味っていうのは、ほとんど“それ”にあるんですね。


     現実生活の中は苦しくて、ヨーロッパにしてみたら小さい氷河期が来ていた。

     作物が少なくなってくる中で、普通に生きてる農民とか、そういう人たちが、いかに 「いやいや、それでも仕方が無いんだ」 「これで いいんだ」 と思えるための装置として、中世の“キリスト教”というのは、凄く大事だったんです。


     同じように、ラノベ的な発想法っていうのは、中世の宗教にかなり近い。


     「来世で、あの世で、幸せに」っていうのは、「現世を諦めて、楽しく慎ましやかに暮らしましょう」という、ラノベを好きな人の生き様を、そのまんまやっている。

     
     「あまり現世で望んでも、それは“幸せ”にならないよ」 と、いうような。

     
     何回か前に“浄土信仰”って言われたんですけども、それよりは中世ヨーロッパのキリスト教に近いんじゃないかなと思います。


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