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「【捨てられないTシャツ・シリーズ】 『エイリアン』と救急車とメモ帳の関係」
今までのお話
映画が始まり、「すごい!」と大感動しているさなか、隣に座っているジュンさんが、「あ、アカン」って言い出したのです。
澤村君は、後にガイナックスの社長を僕の次にやって、国税局に捕まって、脱税で1年半刑務所に入れられた人ですね。
で、僕、ジュンさん、澤村君の順番で座ってたんです。
「俺もうアカン。助けて」とか。
どうもジュンさんは、『エイリアン』が怖すぎて、心臓麻痺を起こしちゃったらしんですよ。
まあ心臓麻痺もどき?かな。
僕はどうしても映画を見たいから、知らんフリを続けていたら、澤村君がいきなり「岡田さん!」って、僕の背中を叩くんです。
席が1つ離れてるのに、わざわざ。
で、「一緒に行ってください。」と言われちゃったんですよ。
振り返ったらスクリーンでは、正体のバレたアッシュっていう科学者が首だけになって、「ふふふ、諸君、気の毒だ。あの生物には叶わないよ。」って言っています。
「これ、すごい面白いのに」って思いながら、2人がかりでジュンさん抱えて、ロビーに出たんですよ。
OS劇場の職員に救急車を呼んでもらわなければならないんですけど、迷惑がられるだろうなって思ってたんですよね。
どっかの新聞社かテレビ局に売りたくてしょうがないんでしょう。
嬉しそうな顔とメモ帳を見たら、もう悔しくてしょうがないだけど、仕方ない。
かけつけた救急車に同乗して、僕と澤村くんもそのまま病院へ連れて行かれました。
映画が怖くて、ドキドキしただけだからね(笑)。
家族でもないし。
でもあとで聞いたら、澤村君もめちゃくちゃ怖がりで、『エイリアン』から逃げたくてしょうがなかったそうなんですよ(笑)。
そのせいで、俺まで巻き込むのは“無し”だと思うんですけどね。
オールナイトだから何回でも見れるんですよ。
もう3回目の上映でした。
観ている人はみんな、ロビーに出て、見たいシーンだけちょっと館内に入って観てくるというカンジだから、座席はガラガラです。
変な言い方ですけど。
でも、救急車で外に行って戻ってくる間に、ノストロモ号から降りちゃった。
だから他人事になって、全然 怖くなくなっちゃってたんですよ。
『エイリアン』で検索して、フィギュアとか良いのないかなと思って探したら、このTシャツを見つけたんですよ。
それを見たら、「ジュンさんが救急車呼んで下さいというまで、俺は絶対にノストロモ号に乗って、このTシャツを着てたんだよ。あれさえなければ、俺はあのままノストロモ号の乗員でいられたのになぁ」 と思ったのを、ふっと思い出したんですよ。
未だに恨んでるよ、俺、ホントに(笑)。
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