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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/09/30
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今回の記事はニコ生ゼミ9/17(#196)よりハイライトでお送りします。


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 「【捨てられないTシャツ・シリーズ】 『エイリアン』と救急車とメモ帳の関係」

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  今までのお話

 映画『エイリアン』の封切りオールナイトを見に、僕はSF友達と一緒に出かけました。
 映画が始まり、「すごい!」と大感動しているさなか、隣に座っているジュンさんが、「あ、アカン」って言い出したのです。

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 ジュンさんは澤村君の友達で、澤村君と同じ追手門大学のSF研の部員です。

 澤村君は、後にガイナックスの社長を僕の次にやって、国税局に捕まって、脱税で1年半刑務所に入れられた人ですね。

 で、僕、ジュンさん、澤村君の順番で座ってたんです。


 僕の隣に座っているジュンさんが「アカン、アカン」って言ってるんです。
 「俺もうアカン。助けて」とか。


 僕、生涯最高のSF映画を見ているから、もう聞こえないフリをしてたんですよね。

 どうもジュンさんは、『エイリアン』が怖すぎて、心臓麻痺を起こしちゃったらしんですよ。
 まあ心臓麻痺もどき?かな。


 ジュンさんは隣の澤村君に「病院に行こ。救急車を呼んでくれ。」って言ってるんです。

 僕はどうしても映画を見たいから、知らんフリを続けていたら、澤村君がいきなり「岡田さん!」って、僕の背中を叩くんです。

 席が1つ離れてるのに、わざわざ。
 で、「一緒に行ってください。」と言われちゃったんですよ。


 もうここまで言われたら、さすがにしょうがないです。
 しぶしぶ席をたちました。

 振り返ったらスクリーンでは、正体のバレたアッシュっていう科学者が首だけになって、「ふふふ、諸君、気の毒だ。あの生物には叶わないよ。」って言っています。

 「これ、すごい面白いのに」って思いながら、2人がかりでジュンさん抱えて、ロビーに出たんですよ。


 OS劇場の職員に救急車を呼んでもらわなければならないんですけど、迷惑がられるだろうなって思ってたんですよね。

 そしたら、もう、今でも忘れないんですけどね。
 ロビーにいた係員が、すごく嬉しそうに「どうしたんですか?」っていそいそと寄ってきて聞くんですよ。

 見たら、手にはメモ帳を持ってペンをかまえています。
 彼が訊きたいのは「『エイリアン』 怖すぎて心臓麻痺」っていう証言だったんです。

 どっかの新聞社かテレビ局に売りたくてしょうがないんでしょう。

 嬉しそうな顔とメモ帳を見たら、もう悔しくてしょうがないだけど、仕方ない。
 「なんか怖くて心臓麻痺みたいなんで、救急車呼んで下さい。」って言うしかないよね。


 そしたら、ますます嬉しそうに、「わっかりましたっ!」って言って、手配してくれました。

 かけつけた救急車に同乗して、僕と澤村くんもそのまま病院へ連れて行かれました。
 病院に行って心電図をとっても、もう異常なんかありません。

 映画が怖くて、ドキドキしただけだからね(笑)。


 だいたい、救急車に友達が2人も乗る必要は無いんですよね。
 家族でもないし。

 でもあとで聞いたら、澤村君もめちゃくちゃ怖がりで、『エイリアン』から逃げたくてしょうがなかったそうなんですよ(笑)。

 そのせいで、俺まで巻き込むのは“無し”だと思うんですけどね。


 心電図だけ撮ってOS劇場に戻ったら、さっきの係員がまだいて「あ、帰ってきた。どうぞどうぞ入ってください。」と、すっと入れてくれました。

 オールナイトだから何回でも見れるんですよ。


 そんなわけで『エイリアン』を見始めました。
 タイミング悪く、また最初の方からです。

 もう3回目の上映でした。

 観ている人はみんな、ロビーに出て、見たいシーンだけちょっと館内に入って観てくるというカンジだから、座席はガラガラです。

 そんなガラガラの席で、しょうがないから最初の方からずーっと見て、やっとアッシュのシーン、首だけのシーンになったんです。

 でも、さっきに比べて全然 怖くないんですよね。
 病院に行くまで、僕はノストロモ号にちゃんと乗っていたんです。

 変な言い方ですけど。
 でも、救急車で外に行って戻ってくる間に、ノストロモ号から降りちゃった。

 だから他人事になって、全然 怖くなくなっちゃってたんですよ。


 実はこのTシャツは直接 買ったんじゃなくて、海外の通販サイトでみつけたものです。

 『エイリアン』で検索して、フィギュアとか良いのないかなと思って探したら、このTシャツを見つけたんですよ。
 ノストロモ号の船員Tシャツというような設定で売っていたんです。

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 それを見たら、「ジュンさんが救急車呼んで下さいというまで、俺は絶対にノストロモ号に乗って、このTシャツを着てたんだよ。あれさえなければ、俺はあのままノストロモ号の乗員でいられたのになぁ」 と思ったのを、ふっと思い出したんですよ。

 それで買ってしまいました。

 ジュンさん!!
 未だに恨んでるよ、俺、ホントに(笑)。
 
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