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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/10/26
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おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は東京で行われた公式オフ会より、『機動戦士ガンダム』の話題です。

『黒い三連星』あたりより、紫を主とした色使いが多用され、サイケデリックな雰囲気となっていました。

その理由と『ガンダム』が陥っていた「大人の事情」について語ります。


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『機動戦士ガンダム』は崩壊寸前だった!? 富野監督の英断


 ガンダムは準備していたリソース、予算的にも人員的にも時間的にも、どんどん使いつぶされていって、お話的に一番盛り上がる『ジオンの脅威』あたりで使いつくされるんです。
 そこから先は態勢を立て直しつつ、もう一度宇宙に戻るジャブローあたりまでがんばってたんですけど。
 そこで安彦さんが倒れて、作画的に全面崩壊したまま最終回を迎えたというのが大きい流れです。
 見ている人には関係ないんですけど(笑)
 『黒い三連星』あたりで、何故、あんなにモビルスーツを出したのか。
 富野さんは露悪的に語ってるんです。
 
 「俺はえらいことを思いついた。
ロボットを描いている限り、二本足を動かさなきゃいけない。しかし、浮いてるロボットなら、足を動かさなくてもいい」って。


 おまけにロボットが走っている時は、腰を上下動させなきゃいけない。
 この作画に手間がかかる。

 でも思い切って横にスライドさせたら、こんな楽なことはない。
 本当に作画的にもスタッフ的にも限界がきているから、このロボット浮かしちゃえと。
 そして横にスライドしちゃえと。
 ついでに色は、当時、太陽印刷というインクメーカーがあったんですけど、紫が大量に余っていたんですね。
 それで一番 余っている紫色を使ってしまえと。


 昔はセル画の色塗りは、内職で発注してたんですけど、その作業の人たちからクレームが出ました。
 かつては60色くらいだったのに、ガンダムくらいから100色くらいになってきた。
 こんなに沢山の色を管理できないと。
 さらに現場に遅れが出て、スケジュールが押してくる。

 色指定を見たら、無い色が書いてある。


 その“無い色”を発注しているうちに、さらにスケジュールが押してくる。

 「どうするんだ!」と言う時に、富野さんが
「全部、紫でいこう」と、そういう事情があったんです。
 そもそもおもちゃメーカーとの約束に「味方のロボットは一種類」「敵のロボットも一種類」ということでザクだけと決めてたのが、やっぱりそれでは困るということで新型を出すことになった。
 でも現場は混乱する。

 せめて色を紫にすることでなんとか立て直したんですね。


 背景も同じです。
 描いてる時間がないから、何にでも使える背景というのを作りはじめた。
 森とか砂漠とか星空を描いてる時間もない。
 ただ印象的な背景。
 色んな色を塗りたくっておどろおどろしくすればどこにでも使える。
 撮影も楽になる。
 そういうわけなので、黒い三連星あたりはサイケデリックな感じなんです。
 なので、どうか見逃してやってください(笑)

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