昔、僕がまだガイナックスの社長だった頃に、山賀くんの新作として『アルジャーノンに花束を』を考えていたんですよね。
アルジャーノンに花束を をアニメ化しようと考えていて、その時に僕がプロデューサーとしてアメリカに渡って、権利交渉とかをしたんですけども。
一応、原作者のダニエル・キースってSF作家には連絡が取れて、それで聞いてみたら7年間のオプションを売ってしまっていると。
オプションとは原作権を買う権利の、権利です(笑)。
それは誰かと言うと、クリフ・ロバートソンが持ってると言われたんです。
実は、アルジャーノンに花束を が1970年代ぐらいに映画化された時に、『チャーリー』というタイトルでアカデミー賞まで取った映画なんですよね。
日本語のタイトルが『まごころを君に』という。
クリフ・ロバートソンとは誰かと言うと、その映画の主演俳優。
その主演のクリフ・ロバートソンはアカデミー賞も取ったから、かなりお金を貰ったんですよね。
それで、そいつはアルジャーノンのオプションの権利を買ってしまったと。
その7年間のオプションというのを、もう3回、買いなおしてるのかな。
だから20年以上もクリフ・ロバートソンが権利を持ったままなんですよ。
それクリフ・ロバートソンは、その間、ずーっとハリウッドで「『チャーリー2』をやらないか?」と話していて。
僕も通訳を介して連絡をしたら、アニメ化には興味がないと。
「ただし、リメイクをするんだったらお金がいるから出資しないか?」と言われたんですね。
で、「それだったら、もう関係 無いなぁ」と思って、ガイナックスとしては手を引いたんですけども。
結局、クリフ・ロバートソンの『チャーリー2』は現実化せずに、クリフ・ロバートソン自体は『チャーリー』1作しか出てない俳優になってた。
でも2002年になってから、アメイジングじゃ無いほうの『スパイダーマン』で、ベン叔父さんに。
一番 最初にプロレス会場を出てきたところで強盗に殺されちゃう叔父さんがいるんだけども。
そのベン叔父さんの俳優をやったのが、最後の当たり役立だったんですよね。
こういう映画がヒットしたら俳優さんが映画化権を買うというのは、すごく当たり前にあった。
それがハリウッドの俳優さんの“のし上がり方”なんですよね。
日本みたいに、俳優さんで偉くなってきたらギャラが上がるという方法ではなくて。
監督ではなくて、プロデューサー方向とか、脚本家 方向へ行くというのが、あちらの俳優さんのキャリアの積み方だと思ってください。