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「アメリカはホラーとスーパーヒーローで出来ている」
2週目で2位に落ちて、3週目で4位に落ちた。
今では、「おそらく興行収入は1億ドルに届かないだろう」というふうに言われてるんだ。
だから、『ブレードランナー2049』って、実はもう、アメリカでは「惨敗! 期待 外れ!」っていう烙印を押されてる作品なんだけども。
その分、日本の映画宣伝会社っていうのは、アメリカでどうだったかは置いといて、「すごい映画だ!」とか「すごい映像体験だ!」というふうに持ち上げようとしているんだ。
…まあ、それが、この映画に関しての今 現在の賛否両論な状況を更に加速させてるんだけども(笑)。
そして、この『アナベル』も、アメリカでの公開時には、それなりにヒットしている。
じゃあ、なんでブレードランナーは負けたのか?
なんでアメリカではホラー映画がこんなにヒットしているのか?
俺はこれについて、実はホラー映画っていうのは、アメリカの建国神話の1つだからだと思ってるんだよね。
日本だったら「イザナギ、イザナミから始まった~」という建国神話があるじゃん。
大抵、どこの国にも、そういうふうな「うちの国は何かしら特別で、こんなふうに神に選ばれた!」みたいな建国神話というのがあるんだけどさ。
アメリカ合衆国っていうのは、世界が文明化された後に、無理矢理 作り上げた国だから、そういった建国神話がないんだ。
だから、「建国神話的なものを大衆芸能で作る」ということをやりたがる。
僕は、これがアメリカ合衆国の特徴だと思ってるんだよね。
たとえば、ナチスドイツが言い出した“ドイツ第4帝国”なんてそうだよね。
ドイツなどという国は元々なくて、各部族が別れて暮らしていただけだった。
そんなところにヒットラーが現れて、「ゲルマン民族はこんなに優秀だ!」とか、「我々はローマ帝国の跡を継いでいる!」みたいなことを言いだしたんだけども。
この、「大衆文化から持ってくる」っていう部分がなぜなのかは、俺にもよくわからないんだけども。
第4帝国は“月面にあるやつ”だったね(笑)。
※注:月に落ち延びたナチスドイツの残党が第4帝国を名乗り、地球に攻めてくるという映画、『アイアン・スカイ』より。
俺、たぶん、建国神話を持てない人工国家アメリカっていうのは、スーパーヒーローとホラーという形で、自分たちのルーツを創ろうとしているんだと思うんだよね。
でも、そういった本音は、アメリカ人としては絶対に自分たちのアイデンティティの中心には置けない。
「西部劇の街とかで、悪いヤツがいたら、保安官とかに頼らずに、自分たちで戦わなければいけない」という自警団とかバットマンの流れの源流にあるようなイメージがあるんだ。
これが、現代のホラー映画に流れていくイメージだよね。
この“自分たちが殺した者の恨みを背負うためのホラー映画”と、“民衆の中から立ち上がり権力と関係なく人々を守るスーパーヒーロー映画”という2つの系列がアメリカの神話を形作っているんだよね。
(正しくは、『Tyler Perry's Boo 2! A Madea Halloween』)
スティーブン・キングの『IT』にしても、このマディアおばさんにしてもそうなんだけど、ハロウィンだからということとは関係なく、この春くらいから、アメリカではホラー映画がすごくヒットしやすくなってくる。
つまり、大作SF映画よりも、スーパーヒーローモノとホラーモノの方が、今のアメリカ人の民族的な同意、国民的な集合意識っていうのを作りやすい状態になっているんじゃないかな?
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