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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/11/25
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今回の記事は、11月12日に『シン・ゴジラ』地上波初放送を記念して行われた実況放送からハイライトをお届けいたします。


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 「『シン・ゴジラ』自衛隊の攻撃シーンはもはや“カッコいい兵器映像カタログ”」



 (本編時間0:53:30~ 自衛隊によるゴジラへの攻撃開始のシーン)

 実は、こういう近代兵器と怪獣が真正面から対決っていうシーンって、珍しいんだよね。

 ハリウッドのゴジラ映画では、「近代兵器が当たっているのに怪獣が死なないのは変だ」ということで、あえて避けてたんだけど。

 でも、日本のゴジラっていうのは、武器が通用しない。

 いわゆる妖怪とかお化けの類なんだよな。


 顔に砲弾がどんどん当たる。

 この「機関砲では効果が認められず」という時の「機関砲」という言い方がいいよね。

 で、次に、さっき撃った弾とは種類の違う、明らかに口径がデカい機関砲を当ててる。

 武器のレベルが徐々に徐々に上がっていく。

 そして、機関砲の次は誘導弾。
 つまり、ミサイルだね。


 さて、そろそろ、なんかおかしなことになってるわけだよな。

 機関砲はともかく、ミサイルのような質量のある兵器が直撃しながら、ゴジラが全くのけぞらない。

 つまり、これは、「このゴジラは、生物ではなくお化けや妖怪の類ですから、そこら辺は気にしないようにしてください」というやつだよな。


 ゴジラっていうのは、この“無敵さ”が良いんであってね。
 ここでは、生物としてのリアリティよりも、抽象的な存在として描いているんだ。

 だから眼球も傷つかないわけだな。


 「ミサイルでも死なないのか」(コメント)


 というよりは、ミサイルでも身体が傾かないことに関して「こいつは物理法則に従っていない」と見るべきなんだろうけどね。

・・・


 この戦車の使い方も良いよね。これは十式戦車っていう戦車で、そんなにカッコいい戦車じゃないんだけども。

 顔とかを狙わずに、一斉に足元を狙うわけだね。
 弾の威力がちゃんと発揮されるように、腰から下ばっかりを狙う。

 そこがいいよね。

 こういう時って、映画ではどうしても戦車の砲塔を上の方に向けて、顔の辺りとか胸の辺りに当てたがるんだけども、そうやって仰角を上げると、弾頭の速度が落ちちゃうんだよ。

 だから、なるべく水平射撃に近い形で、ゴジラの足元に当てに行ってる。


 あとは、この自走砲の発射から着弾までのカウントダウンもいい感じ。

 この大砲は、放物線状に飛ばすものだから、この撃ち方でいいんだけど。
 顔ばっかりに当たってるのは、ゴジラの表情を見えないようにするためでもあるんだよね。


 ここで見せた戦車の動きは“超信地旋回”といって、左右のキャタピラをそれぞれ逆の方向に回すことで、その場でくるっと回る動き。

 片側だけ回すのを信地旋回、両側を逆にして回るのを超信地旋回って言うんだけどさ。

 この「超信地旋回中でも砲塔の方向が変わらない」というのが日本の自衛隊の戦車の特徴なんだけど、それをちゃんと見せてくれてるところが「やるぅ!」って思うよ。


 ここら辺の、新しい兵器が画面に出てくる度に下にテロップが出てくるところとか、もう、「この映画は何ですか?」って感じだよね。

 完全に“カッコいい兵器 映像カタログ”としての映画なんだよな。

 今、ハリウッドで作ってる『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』って、スーパーヒーローが60人以上出てくるらしいんだけど、俺、絶対にこの撮り方をした方がいいと思うんだよ。

 ヒーローがセリフを言う度にカットを割って、下に「トニー・スターク:アイアンマン」とか、名前を全部テロップで出した方が、絶対にカッコよくなると思うんだけどな(笑)。

・・・

 で、ゴジラが壊した橋が飛んでくるということなんだけども。

 この、橋が飛んできて落ちるというのを見せることで、「自衛隊の攻撃はあんまり通用していなかった。人間はゴジラに敵わない」っていうのを表現している。

 この見せ方もいいよね。
 本当は、ここで重要なのは“諦めるか、どうか”なんだよな。

 実は、このゴジラ 対 自衛隊の戦いって、諦めた方が負けというヤンキー漫画みたいな戦いになってるんだよ。

 だから、「これが効かなくても、まだまだあるぞ!」とか、「まだやるぞ!」と言ってる限りは負けじゃないんだけど。「もうダメだ」って諦めた時点で負けになる戦いなんだ。

 その意味では、今の橋が吹っ飛んだことによって、なぜか自衛隊が負けた感じになっているように見せている。


 いいよね。

 俳優さんを映す時は、バンバンカットを割って撮るのに、ゴジラさんだけはカットを割らずにゆっくり撮るんだよね(笑)。
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