それに関して、3月4日のニコ生ゼミで岡田が追加の解説を加えています。
ガイナックスで、岡田と赤井のコンビがパソゲーを作るエピソードは、『遺言』第四章でも書かれていますが、アスキーの連載『ま、金ならあるし』でも「お金」」という視点から描かれています。
今回はそのアスキーの連載から、「パソコンゲーム部門設立」のあたりをお届けします。
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時に一九八九年。アニメを作っても作っても赤字の額は増える一方。
困り果てたガイナックス社長の僕に、赤井孝美は奇策を授けた。
「大きな丸がマジメなゲーム業界。『大戦略』も『イース』も含まれます。そして隣の小さな丸が、エロゲーム業界です。二つの業界は接点がない」。
僕はうなずいた。
今からは考えられないが、当時のゲーム業界は超マジメ。
女の子の裸とか、全然なしだった。
「しかしこれからは違います。ビデオデッキが普及したのもアダルトビデオのおかげ。パソコンがマニアだけのもので無くなる時代が来るなら、そのキッカケは、やはり女の裸でしょう」
「やっぱりエロゲームを、作るの?」
「違います。マジメゲームとエロゲーム。どっちも不完全です。
マジメゲームはマニアックで、次々と参入してくる初心者にはハードルが高い。
エロゲームは裸だけがウリなので、パソコンというIQ高いジャンルに参入してくるシャイボーイたちには、下品すぎる。
第三番目のジャンルが必要なのです」
「三番目……」
「えっち、です」。
いきなり脱力した。え、えっち?
「マジメでもエロでもない。さわやかな裸。
教科書ではないけど、『アサヒ芸能』の温泉芸者グラビアでもない。
『BOMB!』とか『すっぴん』とか、岡田さんもしょっちゅう買ってるアレです」。
なるほど。それなら話がわかる。
たしかに既成のエロゲームに出てくる女の子は、なんか小汚い。
女の子の裸が出てくるだけで売れるから、グラフィックも手を抜いたものばかりだった。
「ゲーム業界にガイナックスが参入するなら勝機はどこにあるか?
ゲーム性やプログラミングでは勝てない。
我が社がパソゲー業界で対等以上に戦えるのはグラフィックの分野、それも可愛い女の子のちょっとえっちなポーズ描かせたら敵なんかいませんよ」。
ホワイトボードに描かれた大きな丸〟マジメゲーム〟と小さな丸〟エロゲーム〟の間に、赤井はもう一つ丸を加えて〟えっちゲーム〟と書いた。
「パソコンを買った人は、必ずゲームを買います。彼らは一本目にはマジメゲームを買うでしょう。
でも同時にもう一本買うとしたら、二本目のゲームは、肩の凝らない気楽なゲーム。
今夜、すぐにプレイできるゲーム。
それでいて、レジで売り子に渡すときにエロゲームほど恥ずかしくないゲーム」
「えっちゲームか!」
「そうです。わがガイナックスの独占市場ですよ」。
……すごい。
やっぱり赤井は天才だ。
「これまでは〟光のマジメゲーム〟と〟闇のエロゲーム〟しか世界には存在しませんでした。
しかし今この瞬間より薄闇のゲーム、”夕暮れのえっちゲー”〟が生まれました。ゲーム業界は三つが覇を争う時代になったのです!」。
「をを! まさにゲーム業界・天下三分の策!」。
感心したら、逆に不安になった。
「でもエロゲーム、売れないだろ?」
「本格的シミュレーションゲームに比べたらですよ。
目標を三千本にしたら充分儲かります」。
ホワイトボードで検算した。
売り上げ 定価八千八百円×三千本×掛け率五十%=千三百二十万円
経費 開発費百万+量産費五百円×三千本=二百五十万円
粗利=売り上げ−経費=千七十万円。
あ、これは儲かる。よし、えっちゲームを作ろう!
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