この間の金曜ロードショーで、『カリオストロの城』をやってたよね。
というわけで、『カリオストロの城』の話を少し。
『カリオストロの城』の素晴らしさは、何度か講演とかイベントとかで語ってる。
これはその時に解説用に使ったもので、今までニコ生ゼミでは見せたことなかったんだけど。
うまく動くかな。
この大仕掛けを見たら、だいたい分かってくれると思う。
『カリオストロの城』って、オープニングに手間をかけてないんだよね。
ルパンと次元が土手で、Fiatの上に乗って、夕焼けを見てる。
こちら側に夕焼けの空がある。
逆光だね。
その土手の上を、いろんなものが移動しているっていうシーン。
これがね、映像的にすごく上手いんだよ、やっぱり。
めちゃくちゃ格好いい。
だけど、やってることは単純でさ。
この犬を散歩してるのと、この大人の人が通り過ぎる。
自転車がこの人たちをすーっと追い抜く。
自転車だから速度差があるわけ。
この自転車なんてさ、セル1枚、真横にひっぱってるだけ。
さらにもう一段後ろを、船がゆっくりゆっくり動いている。
この3つの速度差で すべて表現してるんだよね。
この真ん中の車だけが動かずに、後ろの船がゆっくり動いて、それより少し早い速度で、人物が歩いていて、もっと早いスピードで自転車が追い抜いていく。
この3つの追い抜き速度をつけるだけで、結局、セルの3枚を、横向きにずらしてるだけなんだよ。
歩いてるシーンは作画してるんだけどさ、自転車なんてほとんど作画してない。
船は完全に止め絵。
その止め絵を横方向に引っ張ることによって、動きを出している。
情緒的なシーンで、ゆっくりとした動きというのは、本来、作画枚数を使う、すごく大変なシーンになるんだよ。
でも『カリオストロの城』というのは、そんな簡単な動きで表している。
というのも、宮崎さんがこれをつくるためのスタジオを作ったんだけども、ほとんど新人しかいなかったからなんだ。
ベテランの人たちは、テレコムっていう昔の会社にいたままで、引き抜けなかった。
だから新人を集めて養成したんだ。
天才・大塚康生アニメーターが養成したんだけどさ。
実力のある人っていうのは なかなか集まらなくって、ホントに宮崎駿が何から何まで仕事しなくちゃいけなかったんだ。
で、最後の方になってくると、徹夜泊まり込みで、300個かな、カップラーメンを消費したというような状況だった。
そんな状況だったから、こういう手を抜けるところは、完全に手を抜きながら、めちゃくちゃ情緒的で格好いい『カリオストロの城』という作品を作ったのでした。
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岡田斗司夫ゼミ10月16日号延長戦『ニコ生漫画夜話・限定でしか言えない話』 2016/10/16放送
00:30 『カリオストロの城』OPの手抜きのすごさ より"
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