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「【『海賊の経済学』解説 2 】“隠し財宝” は真っ赤なウソ? 海賊船長の給料事情」
この『海賊の経済学』という本に書いてある話は意外なことばっかりで。
海賊船の中には、基本的に奴隷っていないんだよ。
全員、同じ1票持ってるんだ。
もう、格差0。
平の船員であろうと、1等航海士であろうと、1人1票持っていて、その選挙によって、海賊の船長が決まったんだ。
商船の船長というはスポンサーが決める。
だから、雇われた船員、もしくは連れ去られた水兵たちというのには、基本的には自分たちのトップを選ぶ権利がない。
しかし、海賊の船長は選挙制。
おまけに、その選挙というのは、いつでも始まるんだ。
誰かが「お前より俺の方が船長としての適性がある!」と言い出したら、その場ですぐに選挙が始まるんだって。
18世紀のカリブ海で海賊船 “ロイヤル・ローバー号” で起きた選挙の記録があるんだよ。
これは海賊船長選挙の典型例なんだけども。
さっきも話した、4隻の海賊船に500人の手下を従えるバーソロミュー・ロバーツ船長は、部下の1人だったシンプソンから、挑戦された。
「彼はみなさんの福祉のために~」という演説を本当に大真面目にやるんだよ。
「彼を船長として選ぶことが、いかに我々の利益に繋がるか。彼がどんなに自分の利益よりもみなさんの福祉のことを優先しているのか」っていうのを、マジで大演説するんだ。
でも、アテナって奴隷制だからさ、完全に1人1票を持ってるわけじゃないんだ。
でも、海賊船の場合、女の海賊というのもたまにいたそうなんだけど、その女の海賊ですら1人1票をちゃんと持ってる。
黒人であろうが東洋人だろうが、その船に乗っている人間は、投票が認められている。
とりあえず、船に乗っている人間って、全員 “使える人間” なわけだから。
使えない人間なんて、そもそも船に乗せないからさ。
使える人間であるということは、全員平等に1票、年齢も何も関係なく持っていたんだ。
詳しくは後半で話すけど、本当にこの時代の人たちは、みんなスペインが嫌いで嫌いでしょうがないんだよ。
そんな中、拿捕したスペイン船の船長を、みんなが「殺せ! 殺せ!」と言ってるのに殺さなかった、心優しい船長がクビになったことがあったそうだ。
必要最低限の水筒1杯分の水と、あとはピストルと弾と火薬だけを持たされて、無人島に島流しにされた。
この銃は、もちろん「自殺するため」に持たされたんだよな。
まあ、船長を吊るし上げるほどでない場合とか、選挙するのが面倒くさいという時は、船長に不満を持った海賊達というのは、港に着いた時に黙って船を降りちゃうんだって。
船乗りって、全員、1航海ごとの契約制の契約社員だから、船を降りたら、もう一度その船に帰ってきてくれるとは限らないんだよね。
だから、船長というのは、全員に対してものすごく公平に振る舞わなきゃいけなかったんだけど。
とりあえず、「船長が気に食わないな」と思った船員は、全員、船を降りて他所の船に行っちゃう。
だから、タチの悪い船長というのは、やっぱり残れなかったみたいなんだよね。
「船長室で船長だけがベッドで寝てた」ってふうに思っている人も多いと思う。
僕もそう思ってたんだけども。
だから、みんなは勝手にその酒を飲むんだけど、それを買うのは船長なんだよね(笑)。
こういうふうに、船長の私物というのは基本的に “みんなで分けるもの” であって、あんまり独り占めできるものではなかったそうです。
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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