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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/07/20
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今回は、ニコ生ゼミ7月8日(#238)から、ハイライトをお届けいたします。

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 誰が恐竜を殺したのか?


 ちょっとだけ「誰が恐竜を殺したのか?」っていう話をさせてください。

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 これは日東のプラモデルのステゴサウルスです。

 かわいいですよね(笑)。


 これは昔のステゴサウルスなんですよ。

 それで今のステゴサウルスは、実際は こんな生物だったと言われてるんですけども、何が違うのかと言うと、足の付き方ですね。

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 昔の恐竜は足がガニ股だと思われていたから、ティラノサウルスにしてもステゴサウスルにしてもガニ股に描かれていたと。


 その他には、背ビレの使い方が違うんですよね。

 日東のプラモデルを見ると、背ビレっていうのは あくまで防御の為ってふうに使われているんですね。


 つまりティラノサウルスとかが襲ってくるときに、体を守るために使っていた。

 そんなふうに思われていたんですけども、実際は そうじゃなかった。

 ・・・

 それで、このステゴサウルスっていうのは、背ビレの化石も見つかってるんですよ。

 それがスカスカなんですよ。

 すぐに折れる。

 もうポッキポキに折れる。

 それで、これは何の為にあったのかっていうと、モテる為って言われてるんですね(笑)。


 昔は戦うためだと思われていたけど、ウソなんですね。

 これは全部 モテる為で、うすーい すぐに折れるような板を背中にいっぱい付けて、「俺、カッコイイだろ!」ジャラジャラジャラジャラっていうふうにやっていたと。


 攻撃力は、尻尾の方にあった。

 これは強かったらしいんですよ。

 筋肉もあるし、スパイクも強くて、それで肉食恐竜の腹には穴が開いていて、それがステゴサウルスのトゲと一致するっていうのも発見されている。

 なので、かなりウソが多いと。


 実際は、背ビレっていうのはモテモテの為であって、尻尾で戦っていたんです(笑)。


 で、日東のプラモデルの箱に描かれているイラストの ティラノサウルス 対 ステゴサウルス っていうのは、実はウソなんですよね。

 これは恐竜絶滅の話にやっと繋がってくるんですけども。


 実はですね、ステゴサウルスっていうのは、巨大隕石が墜落してティラノサウルスが滅びた時代まで生きて来れなかったんですよね。


 もっと その前ですね、ジュラ紀の末から白亜紀の入り口あたり。

 だいたい一億年以上まえに滅びてしまった。

 隕石とか関係なく絶滅した。


 何でかっていうと、生存競争に負けたからなんですよ。


 その後でメジャーだったヤツがトリケラトプスなんですけども、何が違うのか。

 トリケラトプスの方が、アゴがしっかりして大きいです。

 それに比べてステゴサウルスっていうのはアゴが小さい。

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 これは何かっていうと、被子植物に対応してるんですね。

 植物っていうのは古代地球の太古の昔の頃、シダ類しかいなかった。

 そのシダ類から裸子植物、いわゆるヒノキとかスギとかの仲間、いわゆる花粉を山のようにブワーッと放散して繁殖する植物が生まれて。

 その繁殖する植物の中から、次は被子植物、種がしっかり殻に囲われている植物っていうのが出てくる。


 これは昆虫による花粉の受粉によって繁殖するんですけど。

 そうすると植物の種類が変わっちゃったら、ステゴサウルスの小さいアゴでモサモサモサモサ食べるのでは、どうしても生きていけなくなる。


 それと同時に、この時代のスギとかヒノキの仲間の裸子植物は、食べられないようにドンドン背丈を高くしていっちゃった。

 高さ100メートルぐらいの樹林になってしまったので、ステゴサウルスらは下の方に生えているシダしか食べられなくてですね。

 それで生存競争に負けてしまう。

 でもトリケラトプスっていうのはですね、アゴが強いので生き残った。

 
 だから、この時代の恐竜たちっていうのは、二つ生き残り方があったわけですね。


 あくまで背を高くして上の方の柔らかい葉っぱを食べようとするか。

 もしくはアゴを強くして下の方の植物をしっかり食べようとするか。

 この生き残り戦略があった。


 それで、こういうのに負けてしまって、ステゴサウルスっていうのは滅びてしまいました。

 というわけで、実は “恐竜の絶滅” といっても、恐竜のほとんどの種類は、隕石墜落前に このような生存競争で負けてるんですね。


 っていうのは、地球の酸素がバーッと増えた時代に発生した生物ですから。

 まぁ、自然というか進化の神様が「いろんなパターンを、とりあえずやってみよう」という事で、ものすごい数の恐竜を作っちゃったので、大部分が失敗作で絶滅してるんですよ。

 
 それで恐竜の絶滅っていうのは、だいたい九千万年前から始まっていて。

 隕石落下の六千六百万年前まで二千四百万年ががりでガーッと絶滅してる。


 二千四百万年って、結構な時間だけどね(笑)。


 それが、ちょうど地球上で酸素が少なくなってきた時期でもあるんでですね。

 絶滅というよりは、単に生存競争に負けたってヤツが かなり多いんですよね。

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 それはプテラノドンも同じです。

 翼竜ですね。

 このプテラノドンも、「同時期に進化を始めた “鳥” との生存競争に負けた」 というように、今は言われています。

・・・

 ただ、そんな事を言いながらも、何だかんだ言って二億年ぐらい続いた天下を取った恐竜たちっていうのは、六千六百万年前にプッツリと途絶えます。

 何があったのかっていうと、これはもう皆さんご存知の通り、メキシコ湾沖に直径10キロの巨大隕石・小惑星が落ちたと。


 それで秒速20キロで落ちたと。


 秒速20キロっていうのが どんな速度かっていうと、地球脱出速度が秒速10キロなんですよね。

 なので、隕石が落ちて、それで跳ね上がったものが地球脱出速度になるぐらいの とんでもない衝撃だったんですね。


 サイズは東京都の山の手線内ぐらいの小惑星が落ちてきて、爆発力っていうのが広島型原爆の10億倍と言われています。


 それで何分か何時間か続いたか分からないんですけども、衝撃と熱で地上全部が何百℃という温度になってですね。

 それで高さ300メートルの津波が、ありとあらゆる海岸線に押し寄せました。


 それも落ちた場所が悪かった。

 メキシコのユカタン半島の付近っていうのは、硫化化合物、正しく言うと硫黄化合物っていうのが豊富な場所だったんですね。

 なので、落ちた時に出来た粉塵っていうのが、硫酸エアロゾルという毒ガスになるんですよ。


 で、この毒ガスは、普通の火山の噴火でも出るんですけども、雨が降ったら何とか流れるんですよね。

 でもそれは、噴火による爆発っていうのは、大気圏の内側にしか影響しないからなんですよ。

 
 ところが巨大隕石が落ちた部分って、空気に穴が開くんですよね。

 巨大な隕石が落ちたとき、この空気に穴が開いて、真空状態になる。


 ここに硫化化合物が吸い上げられて、そのまま成層圏を抜けて、宇宙空間に近いところまでガーッと吹き上がってしまって、何年も何年も雨に流されないまま地上に降り続けるんですね。

 これによって地上の大気というのは毒ガスになって、海が酸化されてしまうんですね。

 酸性化されてしまったと。


 イメージとしては、『宇宙戦艦ヤマト』の遊星爆弾によって真っ赤になった地球ってあったじゃないですか。

 アレだと思ってください(笑)。


 本当にアレ並みのカタストロフィが起きたんですね。

 それで この汚染というのが、成層圏まで硫酸エアロゾルが上がっちゃったんで、長く見積もる人では “一千万年も影響があった” と言うんですね。

 この一千万年の時点で、地上にいる ほとんどの恐竜と、空を飛ぶ ほとんどの鳥が死に絶えたと言われています。

・・・

 隕石以外の説としては、こんなものですね。


 火山、造山運動。

 寒冷化、氷河期。

 哺乳類の逆襲。

 地球重力異常。

 毒殺。

 鳥。

 ガン。


 実は いろんな説があって、それごとに恐竜の進化っていうのが分かるんですよね。

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