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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『王立宇宙軍』で作ろうとした“完璧な異世界” 2 】 起源まで遡って考えることで生まれる歴史の厚み」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『王立宇宙軍』で作ろうとした“完璧な異世界” 2 】 起源まで遡って考えることで生まれる歴史の厚み」

2018-10-16 06:00
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/10/16
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今回は、ニコ生ゼミ10月07日(#251)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【『王立宇宙軍』で作ろうとした“完璧な異世界” 2  】 起源まで遡って考えることで生まれる歴史の厚み


 次に見せるのは『王立宇宙軍』で使われている数字です。

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 『王立』の中での数字は、十進法ではなくて “十二進法” で作られてます。

 この表の中には「0」が描かれていませんが、この「0」に対応した文字も、後で「丸の中に点がある」というデザインを考えて、追加しています。


 なぜ、十二進法にしたのかというと「『王立』の舞台となる国が合理性より歴史性を重んじる国だから」ですね。

 現実の歴史でも、自分たちを先進的で合理的だと思っていたフランスがナポレオンの時代から十進法を採用したのに対して、自分たちを保守的で歴史的であると思っていたイギリス人は、かなり長い間、十二進法に拘っていました。


 ポンドとペンスの関係が十進法になったのは、僕が中学か高校くらいの時期でした。

 それまでは、結構、いろんなことを十二進法でやっていて、すごくややこしかったんです。

 なので、イギリスのように歴史に拘る国というのは、いまだに十二進法を採用しているんじゃないかと思って、十二進法の数字を作ったりします。


 この表の下の段に描いてあるのは “古代装飾文字の数字” です。

 これはどういう時に使うのかというと、たとえば「ルイ十二世」みたいな王位を表す時とか、大きな宗教的な事件があった年号を表記する時には、この古代の象形文字の飾り文字で表記するというルールを作りました。

 その下には、こういった数字を使って賞品の値札を書くとこんな感じになる、とか、時計に数字を書く時はこんなふうになる、というパターンが描かれています。

・・・

 と、まあ、ここまでは、いわゆる “普通のこと” なんですよ。

 さっき紹介した『リゼロ』にしても、他所のファンタジー系作品でも大体やってる、いわゆる異世界モノを作る際の普通のやり方なんですね。


 さっき「『王立』では “完璧な異世界” を作ろうとした」と言いました。

 では、完璧な異世界というのは、これら普通のやり方と何が違うのかというと、ここにさらに “時間の厚み” というのを足したんです。


 では、時間の厚みとは何か?

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 これは、さっき紹介した文字や数字が、その形になる前の原型の紋章です。

 たとえば、「三匹のサンショウウオ」とか、もしくは「彗星」とか、こういうマークまで考えたんです。

 この他に「神殿を作る場所を教えてくれた蟹」みたいなものもあります。

 「このような、言い伝えや伝承に由来する紋章が、それぞれの文字の原型になっている」と。こういった由来を、ほとんど全ての文字に対して考えたわけです。


 つまり、これらの文字には「もともとは象形文字だったものが簡略化されて筆文字になって、その筆文字を更に簡単に書きやすくするために活字になった」という歴史があるんです。

 なぜ、筆文字を活字にする必要があるのかというと、筆文字というのは “タッチ” とか “線の伸び” とか “太さの差” があるので、あまり印刷に向いていない。

 こういうものを印刷しようとすると高くつくんですね。


 なので、楽に活版印刷に載るように活字化されたんです。

 『王立』に登場する異世界文字には、こうやって歴史性という厚みを加えています。


 さらには、この文字の設定から「この世界の貴族たちは、こういった活字を “庶民の文字” として軽蔑していて、あくまで手書きの筆文字、または象形文字そのものを読み書きすることを好んでいる」という “身分差” が発生していて、彼らの階級文化というのが生まれていると設定しました。

・・・

 こういった「異世界を構成する設定の1つ1つに歴史性の厚みを加える」というのが、この作品全体に共通するルールなんです。

 たとえば、『王立宇宙軍』に登場する戦闘機がありますね。

 こういうやつです。

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 この飛行機のパイロットたちは、ほぼ全員 “貴族階級” です。

 貴族階級なので、彼らは「18世紀までの貴族たちが戦争に参加する時は、鎧とか馬は、全部自前で用意した」というのと同じく、この戦闘機も全部、自前で買っているんです。


 なので、尾翼とか腹に、自分たちの “花押” が描いてある。

 花押というのは中世貴族のサインみたいなものです。


 これですね。

 王国側の戦闘機には腹側に花押が描いてあります。

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 なぜ、腹に花押が描いてあるのかというと、「いつも敵の上空を飛ぶ」ということを是としており、「俺の名を見たら、お前らはすぐに逃げろ!」というメッセージを込めているからです。

 だから、腹の側のみに識別の花押を書いてるんですね。

・・・

 それに対して、共和国側の戦闘機も尾翼に花押を描いてるんですけど。

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 ところが、共和国側の戦闘機に乗るのは貴族だけじゃないんですね。


 共和国というのは、いち早く産業革命に成功した国です。

 主人公のシロツグがいる王国というのは、そうではなくて、あくまで2番手3番手の国で、いわゆる19世紀のドイツみたいな国なんですね。

 そして、この王国を襲っている共和国というのは、アメリカみたいな国だと思ってください。

 そんな合理化に成功した共和国では、もちろん、貴族以外も戦闘機に乗るんですよ。


 なので、貴族が乗る戦闘機には、尾翼にちゃんと花押が描いてあるんですが、貴族以外が乗る戦闘機の尾翼には、このように共通のマークが描いてあります。

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 このマークは “官給品” ということですね。

 国が支給してくれた戦闘機という意味です。


 「まあ、成績優秀だからパイロットになれたんだけど、お前らには尾翼に描くようなエンブレムはないから、国や部隊の共通のマークを描いておけ」というふうに言われてるんですね。

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前略 岡田さま
いつも楽しいゼミをありがとうございます^_^
文字形成に歴史味を与える件につきまして
東洋の表意文字と西洋の表音文字とを合体させたような感じがしました。
早々
これからも楽しみにしております。
君が一番 より

No.1 73ヶ月前
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