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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/10/23
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今日は【岡田斗司夫アーカイブ】から選りすぐり 2016/09/11放送の『ニコ生ゼミ』
のハイライトをお届けします。


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 天文学者カール・セーガンが心血を注いで撮った “太陽系家族写真”



 今日は、カリフォルニアのロサンゼルスのダウンタウンからお届けって事で。

 ダウンタウンの真ん中へんかな。

 ウェスティン・ボナベンチャー・ホテルって分かるかな?

 
 ハリウッド映画に よく出てくる、銀色の筒みたいなものを何本か束ねたみたいな、本当に鏡の塊みたいなホテルがあるんだけども、その近くにある安いホテルに泊まっています。


 この配信が終わったら、僕はこれからパサデナに行ってくるんだけども、パサデナと言えばジェット推進研究所だよね。


 NASAの無人探査機のボイジャーとか、あと火星探査機のバイキングとかマーズ・パスファインダー・シリーズとか作ったところなんだけども。

 まあJPLというやつだ。


 で、ボイジャーっていうのは1977年生まれなんだよね。

 1977年に打ち上げられた太陽系の観測ロボットなんだけども。


 ボイジャーは打ち上げられたんだけど、当時のロケット技術では木星ぐらいまでしか行けなかったんだ。

 で、木星ぐらいまでしか行けなかったんで、“太陽系スイングバイ” っていうのを初めて採用した宇宙探査機になる。

(中略)

 で、ボイジャーが打ち上げられてから、13年後かな。

 1990年の2月14日のバレンタインの日。

 ボイジャーは、それまで太陽系の探査ミッションはだいたい3、4年以内に終わってたんだけども、すべてのミッションを終えて、ほとんど休止状態にあったんだ。

 で、ボイジャー宇宙船は、ほぼすべてのミッションを終えてたんだけども、特別なミッションが残ってた。

 それで、そのためにカール・セーガンっていう科学者のオッサンがいたんだけど。

 その人がもう、生涯の最後の何年かを注いでやった “太陽系家族写真” って聞いたことあるかな?


 太陽系家族写真っていうのは、もうほとんど電力を失ったボイジャーが、それまでずっと外側向けてたカメラをくるりと内側に向けて、太陽系のほうを向けたんだよね。


 なんでかって言うと、ボイジャーっていうのは、太陽系の軌道を周ってるじゃん?

 そうすると面白いことに、ほとんどの惑星は同じ軌道平面を周ってるんだ。

 つまり、水星も火星も地球も金星もほぼ同じ面を周ってるんだけども。


 ボイジャー2号っていうのは、それのほぼ垂直方向に飛んでんだ。

 で、振り返ると、なんと歴史上 初めて、1台のカメラで太陽系の惑星すべてを撮ることに成功したんだ。

 これが太陽系家族写真っていうやつ。


 ほかの科学者たちからは、「そんなもん、別に意味がないよ」とか「そんなもん撮ってどうするの?」っていうふうに言われて。

 「ただ単に、星が並んでるだけだ」っていうふうに言うんだけども。

  カール・セーガンは、「いや、太陽系がひとつの家族で、“だから俺たちは惑星探査してるんだ” っていうのを、みんなに分かってもらうには家族写真を撮らなきゃダメなんだ」っていうふうに言ったんだ。

 いわゆる “有権者にアピールする” って言ったらエグい言い方になるんだけどね。


 中学校とか高校のアルバム見たら、なにか一体感ってあるじゃん。

 懐かしい感じするし、誰かと旅行行った時にあとで写真見たら、思うことあるよね。


 だからその時は、「何の為か分かんないんだけども、絶対に撮っとけ」っていうふうに言ったんだ。

 でも、ボイジャーのその時のプログラムは1977年だから、もう本当にマッキントッシュ・コンピューターとかiPhone以前の世界じゃん。

 そこのプログラムのなかに180度くるりとカメラを回転させて太陽系の写真を撮らせるっていうので、一苦労だったんだ。

 けども、とにかくセーガンは説得して説得して説得して、しまくって、ついにそれ成功した。

 で、太陽系の家族写真を1990年に撮った。


 でも撮ったんだけど、送信するのにもう本当に電池がない。

 みんなは分かると思うけどさ、スマホって送信する時にめちゃくちゃ熱くなるでしょ?

 あれは一番電気を食うからなんだ。
 

 で、それで一生懸命 撮った写真を、細かーい画像データに分けて、チッチッチッチッチって地球に何年もかけて送ってきて、やっと撮れたのが太陽系家族写真。

 みんなネットで検索してみてくれたらわかるよ。

 そんなに大した写真じゃないんだけども、いちおう歴史上 初めてワンフレーム上で、つまり「振り向いたらそこに太陽系がある」っていう写真がちゃんと写ってる。


 後にパイオニアとか他の探査機でもっといい写真撮れるようになったんだけども、僕はそのカール・セーガンが自分の人生の最後の何年かを注いで、で、1枚の写真撮りたいがために頑張ったっていう話がすごい好きでさ。

 自分の『王立科学博物館』っていうフィギュア作るときも、ボイジャーのところに当然これ書いたんだけども。

 なかなかいい話だよ。

 ロマンだよね。


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