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「【『紅の豚』冒頭シーン徹底解説 2 】 ポルコは客船が襲われることを知っていた」
この電話も不思議なんですよね。
もちろん電線で繋がってるんですけど、この時代、海底ケーブルなんか通ってるはずがないし、こんな無人島に無線電話のアンテナがあるというのも変なんです。
発電機は “交換手” に繋がっているんですよね。
自分の電話をグルグル回すと、その電力によって、遠く離れた場所にいる交換手のベルがチリンと鳴って、ランプがパッと点くそうなんですよ。
そうすると交換手は「じゃあ繋ぎます」と言って、次に呼び出しボタンというのを交換手が押すんです。
「自分で発電機を回して “相手のベル” を鳴らす」か、または「相手の電力で自分の電話のベルがジリリンと鳴る」かのどっちかなんですよ。
ポルコの隠れ家の電話機がジリリンと鳴るということは「遠く離れた交換手の元から電気が流れてきた」ということなんですよ。
なので「やっぱり、海底ケーブルなの?」という話になるんですけども。
これね、全く分からないんですよ。
だから、説明出来る人がいたら、是非、僕に教えてください(笑)。
ちなみに、僕が話を聞いた元・電話局で働いていたタクシーの運転手さんは、もう70を超えてたんですけど。
ポルコの隠れ家の電話だけは、謎なんですね。
注目して欲しいのは「ポルコは手袋までしている」というところなんですよね。
ネクタイだけじゃなく手袋までしてる。
ちょっと変だと思いませんか?
もう、「待ってました」とばかりに、この仕事にやる気満々なんですよ。
おまけに、キッチリ航空服を着込んで、シャツにネクタイまで締めて、手袋までして、フル装備。
「いや、単にいつもこういう格好をしているだけなんじゃないか?」と思うかもしれません。
でも、ポルコは果たして普段からこんな戦闘服を着て、用意バッチリで昼寝しているような男なのかといったら、全然そうじゃないんですよね。
タンクトップにショートパンツというだらしない格好なんですよね(笑)。
「しかし、ポルコの予想よりずいぶんと電話が掛かってくるのが遅かったから、いつの間にか寝てしまった」というのが、このシーンの真相なんだと思います。
その言葉を聞くと、ポルコすごく嬉しそうに「そいつはチト高くつくぜ」と、ニヤッと笑うんですね。
もう、実に嬉しそう。「その知らせを待っていた!」という感じなんですね。
「マンマユート団にスパイがいる」。
チャーター船を襲ったマンマユート団の中に内通者がいて、ポルコに予め知らせてた。
2番は「SOSの無線を傍受してた」。
だから、ベニスからのチャーター船がSOSを打った時点で、ポルコは無線を聞いて事件を知っていた。
3番は「出撃を要請してくる組織自体にポルコの味方がいて、先に情報をくれた」。
まあ、普通に考えたら、これくらいの選択肢になると思うんですけども。
「そんでもって、マンマユート団なんかを目の前ですぐに倒したりしちゃったら、誘拐された女子大生も『素敵なオジサマが助けてくれた!』というふうにビックリするだろう!」と。
そんなことを考えてたんじゃないかなと。
なので、必要のないバスタオルが砂浜に敷いてあるんですよ。
だって、自分はデッキチェアにもたれているんだから、ここにバスタオルを敷く意味なんて何もないはずなんですよ。
そして、バケツにシャンパンを突っ込んで冷やしていたのもそのためなんです。
これは、空賊を退治した時に、助け出した女子大生と一緒に乾杯するために用意したもの。
敷いているバスタオルは「オジサマ、ここの海ってすっごく綺麗! この秘密基地ってステキね。アタシ、ちょっと裸になって日光浴したいわ。……あーら偶然、こんないいところにバスタオルが~」という感じを演出するために、あらかじめ用意していたものなんですよね。
僕は最初「飛行艇が飛べない時の連絡用のボートかな?」って思ってたんですけど。
これは「この島、星空も最高なんだよ?」とかなんとか言って、助けた女子大生と一緒に乗るために、わざわざこの位置に停めていたということなんですね。
そうやって気分を盛り上げて、どうにか夜まで引っ張るために準備したものなんです。
じゃあ、なんでこんなドアも窓もある家がちゃんとあるのに、テントを張っているのか?
これはもう「こんな男所帯の汚い家なんて、女子大生には見せたくないから」です。
そのために、ロマンチックなテントと灯油ランプをわざわざ用意してたんですよね。
「なのに、後にそれをフィオに使うハメになるとは、トホホ……」と。実は、こういう流れの話なんですね。
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