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1980年代に出版された、アルビン・トフラーの『第三の波』や、堺屋太一の『知価革命』では、コンピュータやネットが普及した社会をかなり正確に描写しています。
ですが、ネットによって安くてよいものを誰でも簡単に手に入れられる未来は確かに的中しましたが、「イイネ」をもらうためにスマホで写真を撮りまくる若者が登場してくるなんてことは、読み切れませんでした。
従来型の経済成長の延長で考えると、どうしても未来予測には限界があります。
じゃあ、どうすればもっと未来を確かに予測できるでしょうか?
それは、社会の価値観の変化に着目することです。
では、今、どんな変化が進行しているのでしょうか?
①「第一印象至上主義」
②「考えるより探す」
③「中間はいらない」
①の「第一印象至上主義」というのは、最初に感じた第一印象やその時に起こった感情を絶対視してしまうこと。
例えば、誰かのツイートを見てカッとしたら、そのカッとした感情を肯定する情報ばかり集めるようになるんです。
今は、煽り気味の「釣り」タイトルを付けた記事が、ネット上にたくさん出ているじゃないですか。
「みんな、タイトルに釣られすぎ! ちゃんと本文を読め!」と憤(いきどお)る人もいますけど、もうそんなことは無理だと僕は諦めています。
タイトルに釣られて本文をちゃんと読んだら、釣られた自分が否定されて、劣等感を覚えてしまうかもしれない。
本文をちゃんと読むなんて手間暇かけて、結果的に劣等感を覚えるんだったら割が合いませんね。
それだったら、最初にカッとした自分を肯定する情報ばかりを集めた方が「コスパがいい」。今時のネットには、どんな情報も載っています。
自分にとって都合のいい情報ばかり集めることはとても簡単です。
(中略)
でも、今はネットにたいていのことが書いてある。あなたが思い付かないようなことだって、いくらでもネットに書かれています。
例えば、封切りになったばかりの映画を見て、「なんかつまらなかったなあ」と思ったとしましょう。
でも、その意見をそのままツイートするのはちょっと怖い。ネットでその映画を調べてみると、有名なタレントが絶賛していたりする。
どうやらヒットしていて、批評サイトでも評価が高い。なるほどと思ったあなたは、ネットで見かけた書き込みを参考に、「××が△△した演出がとってもよかったです」ともっともらしくツイートする……。
例えば、アマゾンが会社として伸びていますけど、本屋が全部潰れたかといえばそうじゃないですよね。
品揃えがすごい大型書店とか、駅前の立地条件がいいところにある書店とか、ものすごくセンスがいい書店は生き残っています。
同じことは、芸能人や小説やマンガについても言えます。
ユーチューバーが溢れていますが、芸能人が全員失業したでしょうか?
無料でマンガが読めるサイトがたくさんありますけど、プロのマンガ家は全員失業したでしょうか?
なろう系に代表される小説投稿サイトのおかげで、全部の小説家が食えなくなったのでしょうか?
超メジャーな人は生き残っています。
いなくなったのは、それまでそこそこ食えていた中間のプロです。
例えば、彼氏や彼女。
「あんな可愛くて優しい子が彼女だったらなあ」、「あんな気遣いができるイケメンが彼氏だったらいいのに」
そういう風に思われる人たちは、これから先もずっと需要があることでしょう。
恋愛や結婚の対象として、大勢から求められるはずです。
だけど、誰もがうらやむ彼氏、彼女と付き合える人は限られています。
じゃあ、憧れの彼氏、彼女と付き合えない人は、「そこそこ」の彼氏、彼女と妥協して付き合うでしょうか?
自分の貴重な時間やお金を費やして、頑張って頑張って、結局「そこそこ」レベルの相手としか付き合えない。
ネットを見れば、イケてるアイドルや芸能人に溢れているというのに。
そんな「コスパが悪い」ことはしたくなくなりませんか?
今はまだ、アイドルやアニメに入れあげる人は、「あの人はモテないから」と思われたりしています。
でも、バーチャルのクオリティが向上してきたら、「バーチャルの方が中途半端なリアルよりもよっぽどいい」ということになっていくのではないでしょうか。
僕らは、近所にある無名のラーメン屋の味なんてろくに知りません。
それなのに、一蘭とか一風堂といった有名ラーメン屋の味は、コンビニのカップ麺で知っていたりする。
同じように、身近にある本物のセックスとか恋愛とか友人関係を知らなくても、無料で手に入るバーチャルな人間関係の方がよくなっちゃうんじゃないかな。
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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