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今回は、ニコ生ゼミ1月20日分(#265)から、ハイライトをお届けいたします。
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「【 漫画版『攻殻機動隊』を掴むための3つのキーワード 1 】終末戦争とサイバーパンク」
ただ、この1ページには、ものすごく膨大な情報が詰まっているんです。
というのも、こういった情報を、作者は最初の第1ページ目に、それも単行本のために、わざわざ描き下ろしているんです。
次のページからは、第1話の「PROLOGUE」というのが始まるんです。
では、なぜ、この1ページのエピソードが必要だったのかというと……まあ、その前に、『攻殻機動隊』というのはどういう作品なのかをお話しましょう。
ここの社長が “青木さん” という人で「その青木さんの心のままに本を出す会社だ」という意味で、この社名になったと、僕は副社長から聞いたことがあります。
「青心社とはどういう意味なんですか?」って聞いたら、「それはなあ、青木の心の会社やねん」って言ってたんですけど(笑)。
その青心社というところから、描き下ろしの漫画として『アップルシード』という作品を発表して、マニアの間ではものすごく評価が高かったんですね。
描き下ろしで本を出しているんですけども、1巻出すのに2年くらい掛かるので、「まあ、プロの漫画家になるのはとても無理だろう」と。
あとは、同人誌みたいな描き下ろしの漫画単行本、いわゆる、昔の貸本時代の漫画家みたいな本の出し方をしていたんですけど、「それだけで十分売れてるので、プロにならなくても食っていけるんだろうな」って、みんな思ってたんですね。
それが、まさかの講談社のヤングマガジンの別冊の海賊版からデビューするということで、みんなビックリしたはビックリしたんです。
奥付によると、士郎正宗さん自身は、この作品を「サイバーパンクもどき」と卑下してるんですけども、構造自体は わりと おいしい話ではあるんですね。
基本的には『あぶない刑事』みたいなお話で。「そんな中に、ちょっと近未来のガジェット、コンピューターとかハッキングとか、そういうのがいっぱい入っていますよ」という、すごく分かりやすい “ヒットしそうな素材” を持って来たんです。
2つ目はですね「バブル経済」。
3つ目は「シリコンからニューロチップの時代に移り変わっていく」ということですね。
この3つ共、核戦争みたいな大きな戦争が起こって、その崩壊後の世界を描いているんですね。
だから、この時代特有の産物でもあるんですよ。
『攻殻機動隊』というのは、『AKIRA』と『北斗の拳』という2つの作品と、ほぼ同時の作品だったんです。
日本で翻訳されたのが87年あたりです。
そういう意味では『ブレードランナー』というのは、すごく予言的な作品だったんです。
それとほぼ時を同じくして、イギリスのSF小説業界が、サイバーパンクという、いわゆる「コンピューターネットワークの発達が人間の意識をもっと伸ばすのではないか?」、「人間の脳の中にコンピューターとか、もしくはネットワークが入ってきて、人が変わっていってしまうのではないか?」という予言が始まった時代でもありました。
だから、講談社の、海賊版といえどもヤングマガジンという大舞台に出るという時に、士郎正宗が、まず終末戦争後の世界を描くというのは、すごくよくわかる話なんです。
と同時に、『北斗の拳』でも『AKIRA』でもやっていなかった、サイバーパンクの世界をも同時に描いたんです。
そもそも、パソコンのパワーもそんなになかったので。
そんな中、あえて「将来、近い未来には、コンピューターネットワークが発達して、世界はこういうふうになる!」ということを、実際に絵として見せたのは、実は『攻殻機動隊』が世界で初めてだったんです。
そうではなくて、“未来の色” 的なイメージを決めたんですよ。
そういうビジョンを、ソフトバンクの社長とかが言うよりも、ずっとずっと前から『攻殻機動隊』は予言していたんです。
これが、第1のキーワード「終末戦争とサイバーパンク」です。
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