• このエントリーをはてなブックマークに追加
岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『ラ・ラ・ランド』OPミュージカル徹底解説 2 】 テーマは “夢を追う素晴らしさ” ではなく “夢を信じられる若さ” にある」
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『ラ・ラ・ランド』OPミュージカル徹底解説 2 】 テーマは “夢を追う素晴らしさ” ではなく “夢を信じられる若さ” にある」

2019-02-20 06:00
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/02/20
    ───────────────────────────────────
    今回は、ニコ生ゼミ02月10日(#268)から、ハイライトをお届けいたします。

    動画や全文が気になった方、【ブロマガチャンネル】メルマガ専用 岡田斗司夫アーカイブ(月額2,160円)のご入会はこちらから!

    ─────────────────────────────

     【『ラ・ラ・ランド』OPミュージカル徹底解説  2 】 テーマは “夢を追う素晴らしさ” ではなく “夢を信じられる若さ” にある
     

     ここから先はサビですね。

     589ae1380f06a03d131adf8a67f9bc363d02d1e9

     どんどん人数が増えてきて「今、私は頂きを目指す」と歌うシーンです。

     「Climb these hills.I'm reaching for the heights.Climb these hills.I'm reaching for the heights. And chasing all the lights that shine~♪(今、私は頂きを目指す 輝く光を追い求めて)」と歌い上げながら、周りの車からも一斉に人が飛び出して来るんですね。

     5f799e9f279a86983964d6406a4310238f79ce8f

     同じ車線の全ての車から、一斉に人が飛び出してきて、サビの部分を歌い出すんですよ。

     つまり、これは「ここにいる全員、夢を諦めかけていたり、押し殺していたりしたところから、我慢できずに本音を語り出す」というシーンなんですね。

     それを、「主人公の演説セリフでみんなが感動して~」という形ではなく、ミュージカルの中で、“動き” としてやっちゃってるところが、演出としてはすごいところなんですよ。

     「ミュージカルって、なんでいきなり歌い出すんだよ?」とか、「なんで見ず知らずの人間が、同じ歌を歌うんだよ?」っていう、よくあるツッコミを逆に利用して、「それは “ハリウッド” という場所に集まっている若者だからですよ」と説明してるんです。

    ・・・

     実際にハリウッドに行くとわかるんですけど、ハリウッドにいるUberの運転手とかタクシーの運転手って、もう、本当に、100%と言っていいくらい、脚本家かプロデューサーを名乗るんですよね。

     「実は俺、脚本を書いてるんだ」とか、「実は俺、映画のプロデューサーやってるんだ」って。

     もう本当に、あの街は特殊なんですね。そういう夢を持った人が集まって来ているようなところだから。

     なので、これって、あり得るシーンだと思うんです。


     だから、夢を諦めかけた人達が、我慢できずに車から飛び出して、本音を歌として語りだすんです。

    ・・・

     ここのポイントは何かと言うと。

     僕はこのシーンをすごいって言ってるんですけど、歌詞自体は安直なんですよ。

     「しょーもない」と言ってもいい。

     安直で幼稚でくだらない夢なんですよ。


     だって、「故郷に彼氏も家族もいたのに、女優になりたくて飛び出したの」って言ったり、それを周りのみんなで一斉に「そうだ、そうだ! 俺達は夢を追い求めて、トップを目指すんだ!」って言ってるんですから。

     なんか、それって、すごく子供っぽくて、「お前、もっと自分のことを見つめろよ」って言いたくなるような夢じゃないですか。


     ……だから!

     だからこそ、ですよ!

     こいつらは全員、普段はそういった夢を押し殺して、高速道路の渋滞の列に並んでるんですね。


     そんなふうに、渋滞に並んでいるヤツら、自分でも「幼稚だな。もうそんな夢ばっかり見てる場合じゃないな」と押し殺してたヤツらが、一斉に踊り出すからこそ、ここのシーンの爆発力というのが生まれているんです。

     「これでいいの?」という自分自身の問いに押し潰されないように。

     それまで彼らが、それぞれ違った自分自身の音楽を車の中で聞いていたのは、自分自身の問いに押し潰されないように、自分の世界に閉じ籠もっているからなんですね。


     「Climb these hills」とか「to the heights」という歌詞の中で、あえて目指すべきものについて「丘」とか「高み」といった漠然とした表現で書いているのは、もうね、何を目指してるのか、何を夢見てるのか、自分でもわからないからなんですよ。

     「hills」とか「heights」、「乗り越えなければいけない丘」とか「目指す高み」というのが、もう自分でもわからなくなってる。

     「だけど、とりあえずそれを目指すのを忘れてはいけない」という歌なんですね。

    ・・・

     この歌の感動というのはどこにあるのかと言うと。

     さっきも言ったように、歌詞自体は安直でくだらないんですよ。

     子供っぽいんですよ。幼稚なんですよ。

     だから、ここで語られる夢自体が素晴らしいわけでもなければ、「夢を諦めないでいることが素晴らしい」と訴えているわけでもないんです。

     よく、『ラ・ラ・ランド』の評論として「そういうメッセージが素晴らしい」という意見があるんですけど、それはね表面的なものだと思うんですね。

     その表面的なメッセージの1段奥にあるのは「そんな夢に酔いしれることのできる “若さ” と “愚かさ” 」なんですね。

     「そういった愚かさが、それを見ている自分の中にもまだ残っていたんだ」って驚くことなんですよ。


     これは、完全に観客に向けて作られているんです。

     なので、夢を諦めきれない若者が踊っているところを見て、「ああ、自分にもそんなことがあったよな」とか、「そんな人もいるんだな」と、僕らも自分の心の中を探って行く。

     そして「ああ、なんかこいつらを笑うことはできないわ。ちょっと感動しちゃってるわ」という驚きを見つけるようなシーンになってるんですね。

     自分の心の中、観客の心の中に、とうに終わっていた、失われていたと思っていた、そういう若さや愚かさが蘇ってくるからこそ、僕らはこういうシーンに感動するんですよ。

     自分の心の中にないものなんて、見せられても、別に感動しないですから(笑)。

    ─────────────────────────────
    ──────

    動画や全文が気になった方、【ブロマガチャンネル】メルマガ専用 岡田斗司夫アーカイブ(月額2,160円)のご入会はこちらから!
    http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51552665.html

    ───────────────────────────────────

    いかがでしたか?

    「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。

    番組内で取り扱う質問はコチラまで!

    よい質問は、よい回答にまさる、と言われます。
    みなさんの質問で、僕も予想外の発想ができることも多いです。
    だから僕は、質疑応答が大好きです。

    みなさんからの様々な質問をお待ちしています

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    企画編集:のぞき見のミホコ(FREEex)
         ヤムアキ
         起こしのヤスタカ(FREEex)
         マグネシウムのタツヤ(FREEex)

    ───────────────────────────────────


    岡田斗司夫
    and
    Special Thanks To読者のあなた
    ───────────────────────────────────
    Copyright(C) OkadaToshio. All Rights Reserved.
    ───────────────────────────────────
    ■お問い合わせ
    有料メルマガの購読、課金、メール未達に関するお問い合わせは、
    『ニコニコヘルプ』のページよりお願いします>http://qa.nicovideo.jp/category/show/501
    チャンネル会員ならもっと楽しめる!
    • 会員限定の新着記事が読み放題!※1
    • 動画や生放送などの追加コンテンツが見放題!※2
      • ※1、入会月以降の記事が対象になります。
      • ※2、チャンネルによって、見放題になるコンテンツは異なります。
    ブログイメージ
    岡田斗司夫ゼミからのお知らせ
    更新頻度: 毎日
    最終更新日:
    チャンネル月額: ¥550 (税込)

    チャンネルに入会して購読

    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。