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今回は、ニコ生ゼミ03月31日(#275)から、ハイライトをお届けいたします。
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「【『平成狸合戦ぽんぽこ』予習 3 】 高畑勲の仕掛けたミステリー なぜジブリキャラが登場するのか?」
あのね、クライマックスの “妖怪大作戦” というのがあるんだけど…
…「クライマックス」って言っても、中盤だから、クライマックスと言えるかどうかわからないんだけど。
妖怪大作戦というのは、狸達がやる百鬼夜行みたいなものなんだけど、ものすごく小さい阿波踊りから始まるんだよ。
人々が見ていると、街の中をすごく小さい阿波踊りを踊る一団が現れるところから始まるんだけど。
「こういう不思議なことがあった。狸の仕業じゃないか?」っていうような『御伽草子』とか伝承、噂とか、武家の記録にあった話を、ものすごく丁寧に組み合わせている。
つまり、日本の様々な文献や古文書にある狸伝説を全て持ってきたような映像で、どちらかというとアニメファンよりも民俗学者がビックリしたと言われてる。
それが『平成狸合戦ぽんぽこ』なんだよね。
「よくこんなものを調べたな。なんでこんな細い話を知っているんだ。それをまた、すごく正確に映像化してるぞ」と。
だから「学説がアニメになったようだ」というふうに言われてた。
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“トトロ” もいて、『おもひでぽろぽろ』の “タエコ” も、一番下の段に出てくるニャ。
なーんだ、高畑さんって真面目そうに見えて、パロディ大好きなただのオタクのおじさんだったんじゃないかニャ。
高畑勲という人は、自分のアニメ内で意味もなく遊んだりしないんだよ。
そういうパロディーなんかするはずがないんだ。
しかし、「なんで出てくるのか?について考察したブログとかYouTube動画って、ほとんどないんだよ。
これね、すごくもったいない。
高畑さんのアニメっていうのは「なぜ?」を考えさせるための教科書みたいなものであって、だからこそ、この妖怪大作戦のシーンというのも、執拗なまでに公証されているんだ。
「だから、アニメファンより民俗学者が驚いた」ってのは、さっき話したよね?
たとえば、一番有名な “ナウシカ” が入ってない。
『トトロ』のキャラクターが出てくるんだけど、なぜかトトロであって、妖怪であるはずのネコバスではない。
これには、ちゃんとした理由があるんだよ。
そもそも、『おもひでぽろぽろ』のタエコって、本来、空を飛ぶキャラじゃないよね。
にも関わらず、ここで水平にスーパーマンみたいに飛んでいるのはなぜか?
なぜ登場するのかもわからない。
でも、高畑勲は、そういうものを入れることによって「なんで出てくるのかを考えて欲しい。それが高畑勲からのクエスチョンです」という…
…面倒くさいオッサンなんだけどね(笑)。
そういうことを考えさせるためのアニメを作る人なんだよ。
監督とかプロデューサーとかに無断で入れる場合はよくあるんだよ。
ハッキリと「『ルパン三世』の次元だ」とわかるヤツが、鍋を見る演技までしてやがるんだよ(笑)。
なぜって、アニメーター達には「若いやつらが自分たちの好きなことをするアニメだ!」って言ってスタッフに誘ったわけだよ。
俺もそう誘ったわけだよ。
そこに「そんなアニメじゃない」なんて言ったら「なーんだ、結局はそうなのか」って思われるから。
そういうスタッフの遊びじゃない。
というか、そういうのをスタッフの遊びとして勝手に入れるなんてことを高畑勲が許すはずがないんだよね。
これには、ちゃんと理由がある。
どのキャラがどのような動きをするのかにも、全て理由がある。
答えは、この映像内にあります。
だいたい金曜ロードショーの映像で見たら、5秒くらいだと思うから、注意して見てください。
どっちを向いて、どういう動きをしているのかで、見れば、ちょっと考えるヒントになると思います。
『平成狸合戦ぽんぽこ』で、なぜ、ジブリキャラを高畑勲は出したのか?
ここまで言っておけば、ちょっと考えるモードになって見れると思うので。
今、コメントでも、みんないろいろ書いてるんだけど。
そうそう、だんだん近づいてきてるかな? その通りです。
はい、それではみなさん、頑張って考えてみてください。
楽しみにしましょう。答え合わせは来週です。
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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