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今回は、ニコ生ゼミ6月23日分(#287)から、ハイライトをお届けいたします。
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「【NHK朝ドラ『なつぞら』を語る 1 】 長編アニメ『わんぱく牛若丸』のモデルとは?」
なので「なつが誰と恋愛して結婚するのか?」みたいなことも、どうでもいい。
僕は “アニメ史の歴史モノ” として見ているので、興味があるのは「どのように描くのか?」なんです。
実際に歴史の中に、あえて架空の人物を入れたり、もしくは、いくつかの人物を1つの人物に統合したり、時間軸をズラしたりして、面白い戦国漫画を作ってくれてるみたいな感じで見てるんです。

左から、主人公のなつ。
セカンドの原画をやっている、これ大塚康生さんがモデルになっている下山さん。
井戸原チーフ作画監督。
で、ここにマコさんが座ってて。
ここが仲作画監督ですね。
この女の人が、三村さんといって、後に宮崎駿の嫁になる人なんですけど。

今回の『わんぱく牛若丸』という作品は、この後ろにキャラクターのイメージボードが貼ってあるところから分かる通り、作画班全体からキャラクターを募集してるんですね。
縦割り体制ではなく、現場型になっている。
将来的にはそういう体制にしようとして、徐々に徐々に、この頃から「作画班全体でキャラクターを描いていこう」ということになっています。
これがちょっと面白いところです。
これ「現場型に改善する」と言いながら、すでに、後に出てくる労働組合でのセクト闘争、「それぞれのセクト(集まり)ごとに対立する」という前触れになっているんですね。
これ、一見すごく良いシーンなんですけど、後に演出の方から「作画班に口を出すのが大変だった」とか、「あいつら、プライドが高いから、なかなか認めない」というセリフがちゃんと出てくるんですけども、これが生まれるなんかこう前提になっているんですね。
1日15分とはいえ、毎週6日間やって、それを25週も続けるもんだから、かなりいろんなことが描けるんですね。
なので、アニメーションの歴史を語る上で、もう本当に、かつてないくらいのすごい作品になっていってると思うんですよ。
だから、ぜひ皆さんにも見て欲しい。まだまだ間に合うので、見て欲しいと思います。

この下山班が、今、作ってる『わんぱく牛若丸』という長編作品が、現実のどの作品をモデルにしているのかというのが、まだ特定しづらいんですね。
ドラマ内では『白蛇姫』の制作はとっくに終わってるんですけど、現実の歴史では『白蛇伝』の制作は1958年に始まるので、ちょっと現実の時間とズレてる。
こんなふうに、どの作品がモデルになっているのかが特定しづらいというのがあるんですけども。
その次は『西遊記』。
手塚治虫が参加したやつですね。
『安寿と厨子王』。
『アラビアン・ナイト』。
『シンドバットの大冒険』と続いて、その後に『わんぱく王子の大蛇退治』になります。
僕、最初は『わんぱく牛若丸』のモデルは、この『わんぱく王子の大蛇退治』じゃないかと思ってたんですけども。
たぶん、『わんぱく牛若丸』というのは、『安寿と厨子王』と『わんぱく王子』の合成なんですね。

一応、これは平安時代の衣装とかを反映しているということで、さっきの常盤御前と、まあまあ同じような感じになってるんですね。
なので、この辺りの時代なんだろうと思ってます。
そして、「わかりやすく感動させたいから、わりと昔話みたいなものを持ってきたい」。
なので、実際に『安寿と厨子王』では、当時のスターだった北大路欣也と佐久間良子が、声優を担当したんですね。
これが現場で大反発を呼んでですね、この作品の制作が終わった後、このドラマの中でマコさんと呼ばれる人を含めた何人かのメインスタッフは、結局、この会社の管理体制が嫌で、東映動画を辞めてしまって、虫プロに引き抜かれて、『鉄腕アトム』を作るという事件に発展しました。
なので、実際には『わんぱく王子の大蛇退治』には、マコさんは参加してないわけですね。

後に、この奥原玲子の夫になる、つまりなつの旦那になる小田部羊一さんが原画補だから、この時点で、旦那になる人よりも偉くなっちゃってるんですね。
後の宮崎駿の嫁になる大田朱美は、この時、まだセカンドですから、本当にねブチ抜きでどんどん出世していくんですね。
なので、今回、ドラマでも班体制にわかれ “下山班” というのができてるんですけど、実際の歴史上は「なつはこの頃にはもっと上手くなって出世していた」というふうに考えてください。

「天才やん」(コメント)
この頃の東映動画って、天才しかいないというくらい、すごい体制でアニメを作ってたんですね。
その結果、『アトム』をきっかけに虫プロに引き抜かれたマコたちが退社して、残されたなつや下山達の元に、ついに翌年、宮崎駿が入社してきます。今週、高畑勲が入って来たんですけど、この翌年には宮崎駿が入ってくるんです。
だから、その大展開のために、たぶん来週は、お休み同然の話になるんでしょう。お菓子屋で修行している友達が、なんか「演劇をやりたい」と言うような。
実は、僕的には、わりとどうでもいい話が展開するのではないかと思います。
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