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「【NHK朝ドラ『なつぞら』を語る 1 】 長編アニメ『わんぱく牛若丸』のモデルとは?」
僕は “アニメ史の歴史モノ” として見ているので、興味があるのは「どのように描くのか?」なんです。
実際に歴史の中に、あえて架空の人物を入れたり、もしくは、いくつかの人物を1つの人物に統合したり、時間軸をズラしたりして、面白い戦国漫画を作ってくれてるみたいな感じで見てるんです。
左から、主人公のなつ。
セカンドの原画をやっている、これ大塚康生さんがモデルになっている下山さん。
井戸原チーフ作画監督。
で、ここにマコさんが座ってて。
ここが仲作画監督ですね。
この女の人が、三村さんといって、後に宮崎駿の嫁になる人なんですけど。
今回の『わんぱく牛若丸』という作品は、この後ろにキャラクターのイメージボードが貼ってあるところから分かる通り、作画班全体からキャラクターを募集してるんですね。
縦割り体制ではなく、現場型になっている。
これ「現場型に改善する」と言いながら、すでに、後に出てくる労働組合でのセクト闘争、「それぞれのセクト(集まり)ごとに対立する」という前触れになっているんですね。
これ、一見すごく良いシーンなんですけど、後に演出の方から「作画班に口を出すのが大変だった」とか、「あいつら、プライドが高いから、なかなか認めない」というセリフがちゃんと出てくるんですけども、これが生まれるなんかこう前提になっているんですね。
なので、アニメーションの歴史を語る上で、もう本当に、かつてないくらいのすごい作品になっていってると思うんですよ。
だから、ぜひ皆さんにも見て欲しい。まだまだ間に合うので、見て欲しいと思います。
この下山班が、今、作ってる『わんぱく牛若丸』という長編作品が、現実のどの作品をモデルにしているのかというのが、まだ特定しづらいんですね。
こんなふうに、どの作品がモデルになっているのかが特定しづらいというのがあるんですけども。
僕、最初は『わんぱく牛若丸』のモデルは、この『わんぱく王子の大蛇退治』じゃないかと思ってたんですけども。
たぶん、『わんぱく牛若丸』というのは、『安寿と厨子王』と『わんぱく王子』の合成なんですね。
一応、これは平安時代の衣装とかを反映しているということで、さっきの常盤御前と、まあまあ同じような感じになってるんですね。
なので、この辺りの時代なんだろうと思ってます。
そして、「わかりやすく感動させたいから、わりと昔話みたいなものを持ってきたい」。
なので、実際に『安寿と厨子王』では、当時のスターだった北大路欣也と佐久間良子が、声優を担当したんですね。
これが現場で大反発を呼んでですね、この作品の制作が終わった後、このドラマの中でマコさんと呼ばれる人を含めた何人かのメインスタッフは、結局、この会社の管理体制が嫌で、東映動画を辞めてしまって、虫プロに引き抜かれて、『鉄腕アトム』を作るという事件に発展しました。
なので、実際には『わんぱく王子の大蛇退治』には、マコさんは参加してないわけですね。
後に、この奥原玲子の夫になる、つまりなつの旦那になる小田部羊一さんが原画補だから、この時点で、旦那になる人よりも偉くなっちゃってるんですね。
後の宮崎駿の嫁になる大田朱美は、この時、まだセカンドですから、本当にねブチ抜きでどんどん出世していくんですね。
なので、今回、ドラマでも班体制にわかれ “下山班” というのができてるんですけど、実際の歴史上は「なつはこの頃にはもっと上手くなって出世していた」というふうに考えてください。
「天才やん」(コメント)
その結果、『アトム』をきっかけに虫プロに引き抜かれたマコたちが退社して、残されたなつや下山達の元に、ついに翌年、宮崎駿が入社してきます。今週、高畑勲が入って来たんですけど、この翌年には宮崎駿が入ってくるんです。
だから、その大展開のために、たぶん来週は、お休み同然の話になるんでしょう。お菓子屋で修行している友達が、なんか「演劇をやりたい」と言うような。
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いかがでしたか?
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/07/03
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今回は、ニコ生ゼミ6月23日分(#287)から、ハイライトをお届けいたします。
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「【NHK朝ドラ『なつぞら』を語る 1 】 長編アニメ『わんぱく牛若丸』のモデルとは?」
ではでは、『なつぞら』の話から行ってみましょうか。
僕、やっぱり『なつぞら』の見方も特殊で、登場人物の人間関係なんかは、わりとどうでもいいんですね。
なので「なつが誰と恋愛して結婚するのか?」みたいなことも、どうでもいい。
なので「なつが誰と恋愛して結婚するのか?」みたいなことも、どうでもいい。
僕は “アニメ史の歴史モノ” として見ているので、興味があるのは「どのように描くのか?」なんです。
実際に歴史の中に、あえて架空の人物を入れたり、もしくは、いくつかの人物を1つの人物に統合したり、時間軸をズラしたりして、面白い戦国漫画を作ってくれてるみたいな感じで見てるんです。
・・・
まずは、新作アニメ『わんぱく牛若丸』に出てくる “常盤御前” というキャラクターの会議がありました。
69話の、会議をしているシーンです。
左から、主人公のなつ。
セカンドの原画をやっている、これ大塚康生さんがモデルになっている下山さん。
井戸原チーフ作画監督。
で、ここにマコさんが座ってて。
ここが仲作画監督ですね。
この女の人が、三村さんといって、後に宮崎駿の嫁になる人なんですけど。
今回の『わんぱく牛若丸』という作品は、この後ろにキャラクターのイメージボードが貼ってあるところから分かる通り、作画班全体からキャラクターを募集してるんですね。
縦割り体制ではなく、現場型になっている。
たとえば、「キャラクターデザインはキャラクターデザイナーだけがやって、現場の人間は絵を描くだけ」という、それまでのちょっと窮屈なスタッフ分けではなくて、現場のみんでわいわいやっていこうという形でやってるんですね。
その中で「常盤御前というのを、どんなキャラクターにするのか?」と話し合っているシーンなんですけども。
これは、まあ、例えばウォルト・ディズニー・プロダクションは、これのずっと前、長編第1作の『白雪姫』の頃から、「キャラごとにアニメーターを変える」というのをやってるんですね。
「7人の小人の中のこのキャラクターはこの人に描かせる」とか、「この動物はこの人に描かせる」、「王子様はこの人に描かせる」と。「このシーンをこの人に描かせる」からもう一歩進んで、キャラクターというのも、アニメーションの作画をする人間が作り出す動きを “演技” として捉えて、「この人にはこのキャラクターを描かせよう」というようなことを実験的にやっていたんです。
なので、東洋のディズニーを目指している東洋動画……現実には東映動画なんですけど。
将来的にはそういう体制にしようとして、徐々に徐々に、この頃から「作画班全体でキャラクターを描いていこう」ということになっています。
将来的にはそういう体制にしようとして、徐々に徐々に、この頃から「作画班全体でキャラクターを描いていこう」ということになっています。
ポイントは、作画班スタッフ全員が集まっているんですけども、この中に露木監督の姿がないことなんですね。
つまり、「作画セクションが決めて、演出には事後承諾させる」と。
これがちょっと面白いところです。
これがちょっと面白いところです。
これ「現場型に改善する」と言いながら、すでに、後に出てくる労働組合でのセクト闘争、「それぞれのセクト(集まり)ごとに対立する」という前触れになっているんですね。
これ、一見すごく良いシーンなんですけど、後に演出の方から「作画班に口を出すのが大変だった」とか、「あいつら、プライドが高いから、なかなか認めない」というセリフがちゃんと出てくるんですけども、これが生まれるなんかこう前提になっているんですね。
『なつぞら』って、尺が長いんです。
1日15分とはいえ、毎週6日間やって、それを25週も続けるもんだから、かなりいろんなことが描けるんですね。
1日15分とはいえ、毎週6日間やって、それを25週も続けるもんだから、かなりいろんなことが描けるんですね。
なので、アニメーションの歴史を語る上で、もう本当に、かつてないくらいのすごい作品になっていってると思うんですよ。
だから、ぜひ皆さんにも見て欲しい。まだまだ間に合うので、見て欲しいと思います。
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その中で、大塚康生さんがモデルの、麒麟の川島さんが演じている下山くんという人が中心となって、下山班というのを5人で作ってるわけですね。
この下山班が、今、作ってる『わんぱく牛若丸』という長編作品が、現実のどの作品をモデルにしているのかというのが、まだ特定しづらいんですね。
というのも、この前まで作ってた長編アニメ『白蛇姫』というのは、まあ『白蛇伝』だから、わかりやすいんですよ。
ただ、どうも『なつぞら』の中の時代は、昭和33年辺り、つまり1958年なんですよね。
ドラマ内では『白蛇姫』の制作はとっくに終わってるんですけど、現実の歴史では『白蛇伝』の制作は1958年に始まるので、ちょっと現実の時間とズレてる。
ドラマ内では『白蛇姫』の制作はとっくに終わってるんですけど、現実の歴史では『白蛇伝』の制作は1958年に始まるので、ちょっと現実の時間とズレてる。
こんなふうに、どの作品がモデルになっているのかが特定しづらいというのがあるんですけども。
この後、歴史的に言えば、次の長編アニメは『少年猿飛佐助』。
その次は『西遊記』。
手塚治虫が参加したやつですね。
『安寿と厨子王』。
『アラビアン・ナイト』。
『シンドバットの大冒険』と続いて、その後に『わんぱく王子の大蛇退治』になります。
その次は『西遊記』。
手塚治虫が参加したやつですね。
『安寿と厨子王』。
『アラビアン・ナイト』。
『シンドバットの大冒険』と続いて、その後に『わんぱく王子の大蛇退治』になります。
僕、最初は『わんぱく牛若丸』のモデルは、この『わんぱく王子の大蛇退治』じゃないかと思ってたんですけども。
たぶん、『わんぱく牛若丸』というのは、『安寿と厨子王』と『わんぱく王子』の合成なんですね。
これは、大塚康生さんの本に載っている、当時の森康二さん、このNHKのドラマの中では、仲さんが描いている『安寿と厨子王』の “安寿” のキャラクター表なんですけど。
一応、これは平安時代の衣装とかを反映しているということで、さっきの常盤御前と、まあまあ同じような感じになってるんですね。
なので、この辺りの時代なんだろうと思ってます。
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会社側としては、なぜ、こんな『安寿と厨子王』という作品を作ったのかというと、「東映という会社自体が時代劇で有名だったので、時代劇っていうのをやりたい」ということ。
あとは、「西洋ネタではディズニーにとても敵わないから、輸出するにしても、西洋ネタをやったら不利だ」ということ。
そして、「わかりやすく感動させたいから、わりと昔話みたいなものを持ってきたい」。
なので、実際に『安寿と厨子王』では、当時のスターだった北大路欣也と佐久間良子が、声優を担当したんですね。
その結果、作画班の方にも「出来るだけこのキャラクターは北大路欣也に似せてくれ」とか、「ヒロインは佐久間良子に似せてくれ」という指示があり、そのおかげで、これまでキャラクターを自由にアニメらしく描けていた作画班は、実写を写したような作画をさせられたそうなんですよ。
これが現場で大反発を呼んでですね、この作品の制作が終わった後、このドラマの中でマコさんと呼ばれる人を含めた何人かのメインスタッフは、結局、この会社の管理体制が嫌で、東映動画を辞めてしまって、虫プロに引き抜かれて、『鉄腕アトム』を作るという事件に発展しました。
なので、実際には『わんぱく王子の大蛇退治』には、マコさんは参加してないわけですね。
・・・
当時の『わんぱく王子』の作画システムというやつを、大塚さんがちゃんと表にして残しているんですけども、なつのモデルになった奥原玲子はAグループの原画担当です。もう本当にトップにいるんですよ。
後に、この奥原玲子の夫になる、つまりなつの旦那になる小田部羊一さんが原画補だから、この時点で、旦那になる人よりも偉くなっちゃってるんですね。
後の宮崎駿の嫁になる大田朱美は、この時、まだセカンドですから、本当にねブチ抜きでどんどん出世していくんですね。
Aグループ、Bグループ、Cグループとわかれて、このBグループのトップが大塚康生さんなんです。
なので、今回、ドラマでも班体制にわかれ “下山班” というのができてるんですけど、実際の歴史上は「なつはこの頃にはもっと上手くなって出世していた」というふうに考えてください。
「天才やん」(コメント)
そうなんですよ。
この頃の東映動画って、天才しかいないというくらい、すごい体制でアニメを作ってたんですね。
この頃の東映動画って、天才しかいないというくらい、すごい体制でアニメを作ってたんですね。
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ここから先の『なつぞら』は、「東映の労働組合争議と、アニメ暗黒歴史というのをどこまで描くのか?」というのが、僕は見どころだと思ってます。
まあ、理想的な展開としては、『わんぱく牛若丸』というこの作品、おそらく失敗すると思うんですね。
「下山班は、すごく頑張って作画をやったんだけど、売上はそこそこ上がったものの、内容的には満足できない」という展開になるんじゃないかと思います。
その結果、『アトム』をきっかけに虫プロに引き抜かれたマコたちが退社して、残されたなつや下山達の元に、ついに翌年、宮崎駿が入社してきます。今週、高畑勲が入って来たんですけど、この翌年には宮崎駿が入ってくるんです。
ここからが、もう大展開になると思います。
だから、その大展開のために、たぶん来週は、お休み同然の話になるんでしょう。お菓子屋で修行している友達が、なんか「演劇をやりたい」と言うような。
これも、後になって、たぶん、伏線になるんでしょうけど。
実は、僕的には、わりとどうでもいい話が展開するのではないかと思います。
実は、僕的には、わりとどうでもいい話が展開するのではないかと思います。
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動画や全文が気になった方は、【岡田斗司夫アーカイブ】でご覧になれます。
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ニコ生配信は「生」で視聴できませんが、アーカイブで「放課後雑談」まですべてご覧になれます。
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「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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よい質問は、よい回答にまさる、と言われます。
みなさんの質問で、僕も予想外の発想ができることも多いです。
だから僕は、質疑応答が大好きです。
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