• このエントリーをはてなブックマークに追加
岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【NHK朝ドラ『なつぞら』を語る 2 】 ついに登場! やっぱりモテモテだった高畑勲」
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【NHK朝ドラ『なつぞら』を語る 2 】 ついに登場! やっぱりモテモテだった高畑勲」

2019-07-04 06:00
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/07/04
    ───────────────────────────────────
    今回は、ニコ生ゼミ6月23日分(#287)から、ハイライトをお届けいたします。

    動画や全文が気になった方、【ブロマガチャンネル】メルマガ専用 岡田斗司夫アーカイブ(月額2,160円)のご入会はこちらから!

    ─────────────────────────────

     【NHK朝ドラ『なつぞら』を語る 2 】 ついに登場! やっぱりモテモテだった高畑勲


     じゃあ、2つ目ですね。『なつぞら』のもう1つの話なんですけど。

     今回、「技術革新として “タップ” というのが導入されました」というシーンがありました。

     870f6776bfaa67a87a0f96cd1b5b9d622ea9272a

     下山さんが用紙をセットする時に、使ってるんですけど。


     これが実際のアニメーションのタップというやつです。

     2c8e814e0daa13adc87b946032be73903905d617

     こういうふうに、アニメーションの作画用紙上に3つ穴が空いていて、ここにピッタリ入るようになっている。

     これだけのものなんですけども。

     792521f8722c167bf17409ce204f7de337402d8b

     何が技術革新だったかと言うと、それまでは “隅合わせ” と言う、要するに紙をまとめて、端っこをヘアピンかなんかで止めていたんですね。

     これでも作画が出来ないことはないんですけど。


     やっぱり紙って、同じところで買っていても、それぞれの形というのは、そんなにね均一じゃないんですよね。

     紙の角も完全に直角ではないし、裁断の時のタイミングによって、幅も高さも微妙に1ミリくらいの差があるんですよ。

     なので、実は、隅合わせをしていると、徐々に徐々に狂ってきちゃうんですね。


     当時、アメリカのアニメスタジオでは、このタップというのが使われていたんですけど、たぶん、今、なつ達が使っているタップは、アメリカから輸入している高級品なんですよ。

     まだまだ国産で作られる時代ではない。

     ここから先、町工場とかに依頼して作ってもらうようになって、ようやっと安くなるんでしょうけども。


     このタップによって正確に紙を重ねることが出来るようになり、たとえば「キャラクターの腕だけを動かす」とか、「口パクだけ動かす」とか、もしくは “ブック” と呼ばれる「背景が前にあって、そこからヌッと顔を出す」というアニメを作る時に、絶対にズレないように組セルが出来る、と。

     そういう、リミテッドアニメを助ける意味での技術革新になってます。


     どの辺が技術革新なのかというと、ここから先はなんか面倒くさい話になっちゃうんですけども。

     このタップというのを出してくれただけでも、僕的にはちょっと感動でした。

    ・・・

     こうやって作画してるところへ、ついに登場した高畑勲。

     劇中では、新人の演出助手の坂場という名前なんですけども。

     この男が、下山に対して「この絵、動きがおかしくないか?」と、質問に来ます。


     この、なつが描いた「馬が坂を駆け下りる」というシーンの、作画がおかしくないかと言ってくるんです。

     99f1b39d1148050014f12791675aad72605aadda

     もう、俺はこのキャラクターを高畑勲として見てるから、以降は「高畑勲」と呼びますけど。

     高畑勲が言うには「この馬は急な坂を下りているんだから、怖いはずだ。なのに、なぜ、前のめりに作画しているんだ?」ということを聞いてくるんですね。

     なつは、それに対して、一生懸命「いや、ディズニーのアニメではこういうふうになっている」とか、「キャラクターだ。性格だ」というふうに説明するんですけども。


     高畑が言いたいことは「デフォルメするんだったら、まず、正確なデッサンをしてからにしてくれ」と。

     たとえば、「急な坂を馬に乗った人が駆け下りる時、乗っている人物が怖くないんだったら、馬にはちゃんと怖がっているように見せろ」と。

     さらに「怖がっているということを “表情” で見せるな」と。

     「怖がっている顔で伝えたら、それは説明であって、表現ではない」というのが高畑勲の主張なんですよ。

     なかなか厳しいですね。


     本当の事を言えば、彼は正確なデッサンを元にしてデフォルメをして欲しいわけですね。

     「馬が怯えているというのを表情だけで見せるのは手抜きだ」というのが高畑勲の主張なんです。

     この少し前に、“ライブアクション” という、人間が実際に牛若丸の衣装を着たり、常盤御前の衣装を来たりして動く様子を撮るという工程が出てきたんですね。

     この時に「実際の服がどのように翻るのか?」とか、「人間が走ると、どういうふうな歩幅になるのか?」というのを、なつたちは一生懸命スケッチしていたんですけども。

     ディズニーは、『バンビ』において、スタジオ内に馬とか鹿を持ち込んで、スケッチをやってるんですよ。

     8f4338faa27b701e39b83651a51df31a2bf32035

     高畑勲が望んでいるのは、このレベルなんですよね(笑)。


     「出来れば、本当に馬を坂まで連れて行って、駆け下りてくれ」と。

     「それが出来ないんだったら、変に中途半端な動きで馬なんか出すな!」という考えなんですよ。

     「馬を出すからには真面目にやれ!」と。


     これを突き詰めて行った結果、『かぐや姫の物語』は大変なことになったんですけども(笑)。

     基本的に、高畑勲というのは、もう最初から主張が変わらない。

     そういうふうに考えているんですね。

    ・・・

     さて、この段階で「こんなデフォルメは変だ」と、演出が作画に口出しすることに関して、ドラマ内でも、明らかに、下山さんもマコさんも先輩方は不愉快そうにしているんですよね。

     下山さんは、ついに「それは演出の露木さんの意見なのか? それとも、ただの演出助手のお前の意見なのか?」と聞きます。

     で、「いや、露木さんの意見です」と言われたら、渋々「直す」と答えるんですよ。

     これで、一応は解決するんですけども。


     結局、高畑勲がここで言っている「現実的なリアリティを追求すべきか、アニメにしかできない表現を目指すべきか?」というのは、高畑勲の遺作、もう死ぬ何年か前に完成した『かぐや姫の物語』で、ようやっと達成されたようなものなんですけどね。

     この頃から、作画と演出の間にヒビが入るというか、対立が出来てくるんですね。

     b2516d37c542cbf3d9577f259799eb9bd6e0d2c9

     この後、高畑勲くんは、制作課に帰って、露木に報告するんですよね。

     「今、こういうふうになっています」と。

     すると、「よくプライドの高い絵描き達を納得させたなあ」と驚かれるんですね。


     もう、この段階で、本当に対立が生まれてきているのがわかります。

     前に話した「スタッフ全員で今回のアニメのキャラクターを作ろう!」という集まりの中に、演出は参加してなくて、演出には「このキャラクターで行く」という決定事項だけを事後承諾させる形になってしまっているという、この歪み。

     後に、労働争議の中で出来ていくセクト主義も、ここに現れていると思います。

    ・・・

     あと、まあ、先週の『なつぞら』で面白かったのは、“ももっち” という仕上げ部のお姉さん、なつの友達が「新人の演出助手の坂場君が、東京大学出身だ」ということを知っていた、ということですね。

     ドラマの中では「哲学科」と言ってたんですけど、実際の高畑勲は文学部フランス文学科です。

     ただ、フランス文学科というのは、小説をやるのではなくて、“フランス文学” という哲学を行うから、まあ、事実上は哲学科と言ってもかまわないんですけども。


     なぜ、「東京大学で哲学をやっていた」と知っていたのかっていうと、「そういう情報は仕上げ部にはすぐに伝わるから」と、ももっちは言います。

     この仕上げ部にいる女性たちは “お嫁さん候補” であり、その中の女性たちは、作画とか制作の中で偉くなりそうな男達、出世しそうな男達に対して…

     …まあ “狩場” って言うんですかね?

     自分達をアピールして有利な結婚をする場でもあった、と。

     ももっちには、この感覚があるので、なつの世間知らずぶりを笑っているんですね。


     社内の女の子は、だいたい、ももっちと同じ視線で、誰か新しい社員が入って来たと聞いたら、そいつが出世しそうだったら、自分達をアピールしまくって結婚しようとするという話なんですよ。

     現実に、この当時の東映動画でもそんな感じで。

     高畑勲も爪弾きにされるのではなく、モテていました。

     みんなでパンも食べてたんですけど、まあ、パンをパクパク食べてるから「パクさん」と呼ばれてたんですけどね。

     「仕上げの女の子が順番でお弁当を作って持って来た」というふうに言われるくらい、モテモテでした。


     じゃあ、宮崎駿はその時どうだったのかというと、高畑勲が後に「あの顔でしょ? 無理ですよ」って言ってたんですけど。

     背が低く、メガネがやっぱりハンデだった時代なんですね。

     なので、宮崎駿は全然モテずですね、高畑勲はモテモテだったそうです。

     そういうふうな部分も頭に入れておくとですね、ももっちのあのセリフも、なかなか味わい深く聞けるのではないかと思います。
     

    **************************************

    動画や全文が気になった方は、【岡田斗司夫アーカイブ】でご覧になれます。
    【岡田斗司夫アーカイブ】は、以下のいずれかにご入会頂ければ、利用可能です。

    (株)ドワンゴ運営の【岡田斗司夫ゼミ プレミアム】月額2,000円(税抜)
    会員特典として、岡田斗司夫ゼミ放送終了後の「放課後雑談」生放送が視聴できます。

    (株)オタキング運営の【岡田斗司夫アーカイブ】月額2,000円(税抜)
    ニコ生配信は「生」で視聴できませんが、アーカイブで「放課後雑談」まですべてご覧になれます。

    ───────────────────────────────────

    いかがでしたか?

    「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。

    番組内で取り扱う質問はコチラまで!

    よい質問は、よい回答にまさる、と言われます。
    みなさんの質問で、僕も予想外の発想ができることも多いです。
    だから僕は、質疑応答が大好きです。

    みなさんからの様々な質問をお待ちしています

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    企画編集:のぞき見のミホコ(FREEex)
         ヤムアキ
         起こしのヤスタカ(FREEex)
         マグネシウムのタツヤ(FREEex)

    ───────────────────────────────────


    岡田斗司夫
    and
    Special Thanks To読者のあなた
    ───────────────────────────────────
    Copyright(C) OkadaToshio. All Rights Reserved.
    ───────────────────────────────────
    ■お問い合わせ
    有料メルマガの購読、課金、メール未達に関するお問い合わせは、
    『ニコニコヘルプ』のページよりお願いします>http://qa.nicovideo.jp/category/show/501
    次回配信予定
    • 2019/09/19
      岡田斗司夫の毎日ブロマガ「実は皇居と同じ大きさ〜言ってはいけないラピュタの謎」
    • 2019/09/20
      岡田斗司夫の毎日ブロマガ「ラピュタ都市伝説〜実在した「天空の王国」記録を検証する」
    • 2019/09/21
      岡田斗司夫の毎日ブロマガ「スラッグ渓谷とポムじいの秘密、そしてラピュタの本当のサイズが明らかに!」
    チャンネル会員ならもっと楽しめる!
    • 会員限定の新着記事が読み放題!※1
    • 動画や生放送などの追加コンテンツが見放題!※2
      • ※1、入会月以降の記事が対象になります。
      • ※2、チャンネルによって、見放題になるコンテンツは異なります。
    ブログイメージ
    岡田斗司夫ゼミからのお知らせ
    更新頻度: 毎日
    最終更新日:
    チャンネル月額: ¥540 (税込)

    チャンネルに入会して購読

    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。