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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「都市伝説+新スパイダーマン「NASAとLINEの陰謀」&70年代トラウマ・マンガ」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「都市伝説+新スパイダーマン「NASAとLINEの陰謀」&70年代トラウマ・マンガ」

2019-07-27 07:00

    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/07/27

     今日は、2019/07/07配信の岡田斗司夫ゼミ「新スパイダーマン+都市伝説「NASAとLINEの陰謀」&70年代トラウマ・マンガ〜今夜のゼミは甘辛ミックス!」から無料記事全文をお届けします。


    7月の予定と『On Your Mark』解説の告知

    nico_190707_00000.jpg【画像】スタジオから

     こんばんは、岡田斗司夫ゼミです。
     ちょっと開始が遅れてしまいましてすみません。YouTubeライブの方の準備してたら、今日は機材の問題ではなくYouTube側の問題で、配信しようとしても映像を向こう側で受けてくれないという、変な事態になってしまいました。
     YouTubeの方は、たぶん、また明日以降、切り出しの動画で、というふうなことになるのではないでしょうか。
    (YouTubeライブ用のモニターを見ながら)

    nico_190707_00027.jpg【画像】YouTubeモニタ

     ……あれ? なんか今、動いた様な気がするけど、気のせいかな? YouTube、動いてるよ?
     急に直ったのかな? 流れてるのかな? じゃあ、YouTubeの皆さん、こんにちは。よろしくお願いします(笑)。

     あの、誕生日を無事に迎えることが出来て、61歳になりました。
     どうもありがとうございます。メッセージもいっぱい頂きまして、あとはコメント欄でもいっぱい祝ってくれて、ありがとうございました。

     今月、7月は、積み残しを色々やらなきゃいけなくて。
     来週の7月14日は『進撃の巨人』を特集するんですけど。たぶん、『進撃の巨人』の連載って、年内あと6回くらいで終わると思うので、今のうちにやっておきたいと思ってます。

     再来週の7月21日は、アポロ計画の特集ですね。去年からのまとめというのをやってみたいと思います。
     1969年の7月16日にアポロ11号が打ち上げになって、20日に月着陸、24日に地球に帰還なので、21日のニコ生というのはちょうどいいくらいのタイミングではないかと思います。

     ……あっ、気がついた人もいますね。ステッカーがいつの間にか増えてますよね。
    (本立てに貼られたステッカーを指して)

    nico_190707_00146.jpg【画像】ステッカー

     これも、後でまたプレゼントコーナーの方でちょっと話をします。

     今月の17日に『ジブリがいっぱい』のBlu-rayが発売されます。『ジブリがいっぱい』というのは、ジブリの短編集を収めたBlu-rayなんですけど、その中に、問題作である『On Your Mark』が入っています。
     CHAGE&ASKAの曲のプロモーションビデオで、一時期はジブリのBlu-rayが出る時にも、その中に収録されることがなかったという作品なんですけど。それがようやっと『ジブリがいっぱい』の中に入って、ボックスを買わない人でも視聴できるようになりました。
     7月17日に発売される『ジブリがいっぱい』のBlu-rayの中に、『On Your Mark』が入っているので、皆さんも買い逃がさないようにしてください。
     8月に入ってか、もしくは近い内に、『On Your Mark』を、3分くらいの映像ですけど、とりあえず全カット説明してみたいと思いますので、よろしくお願いします。

     さて、こういう情報を手軽に簡単に伝えるために、LINE@を始めました。
     このLINE@は無料ですので、ぜひ登録してください。

     今のところ、自動応答のメッセージを、30パターンくらい入れてみました。いろいろ書いてくれると、返事をするようになっています。
     特定のワードに対応する返事も入れてみたので、いろいろ試して遊んでみてください。よろしくお願いします。

     あとは、YouTubeでの動画公開とか、ニコ生の最新情報とかも、来週くらいからぼちぼち僕がメッセージとして使ってみようと思います。
     しばらくは、個人的にテストメッセージでやってみるような感じであります。

    『なつぞら』の人物モデルと『どうぶつ三国志』の謎

    nico_190707_00338.jpg【画像】スタジオから

     最初の話題は『なつぞら』からいきましょうか。
     先週は、ハッキリ言って、アニメ制作的な動きというか、アニメファンとしての『なつぞら』の見どころは、あんまりなかったんですね。
     昭和34年の5月になって、ドラマの中では1年経って、なつも動画班に配属されてから、もう1年以上。いつのまにか入社から3年が経っていました。

     そんな中、これは、なつが「君も原画をやってみないか?」と言われるシーンなんですけど。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_00409.jpg【画像】会議室 ©NHK

     なんか、この呼び出された会議室の背景をよく見てみると……あれ? ちょっと待って。今まで劇中で制作風景が描かれていた『白蛇姫』と、『わんぱく牛若丸』以外に、もう1枚、別のアニメのポスターがあるぞ、と。
     そう思って拡大してみたのがこれです。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_00435.jpg【画像】どうぶつ三国志 ©NHK

     ここに『どうぶつ三国志』という、これまで見たことのないアニメのポスターが貼ってあったんですね。
     どんな話かメッチャ気になるんですけど、今のところ、この『どうぶつ三国志』に関する資料は出ていない状態で、ちょっと悔しいです。気になりますよね。

     ここで、なつは、坂場さん……つまり高畑勲と、マコさんと、3人で短編の企画をやれと言われるんですけど。
     この短編のために、なつが自分で集めた資料というのがこれです。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_00518.jpg【画像】資料 ©NHK

     『グリム童話集』、『イソップ童話集』まではわかるんですよ。だけど、この間に挟む形で、さりげなく『東方見聞録』が入っているんですね。
     これ、不自然なんですよね。この時のなつは、子供向けアニメの短編を企画するはずなのに「これ、なんなのかな?」って思うんだけど。
     これ、たぶん、『太陽の王子ホルス』に繋ぐための伏線じゃないかな、と僕は思っているんですね。
     なんか、徐々に徐々にそういうネタが出てきてます。

     あと、次週予告、つまり、7月8日からの放送の予告に、ついに出ました! 宮崎駿!
    (パネルを見せる)

    nico_190707_00600.jpg【画像】宮崎駿1 ©NHK

     劇中では神地航也という役名なんですけど、そんなものはどうでもいい。僕はこの神地航也という役名を覚えるつもりもなければ、この役者がどこのどいつかも知りません。……現実の宮崎駿とはエラい違うイケメンであることは確実ですけども。「背が低い」くらいしか一致点がないんですけど(笑)。
     でも、そんなことはどうでもいい。「ついに宮崎駿が出た!」というのが、まあ嬉しいんですよね。

     この宮崎駿君は、まあ、一癖あるヤツらしくて。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_00626.jpg【画像】宮崎駿2 ©NHK

     これ、会議風景なんですけど。左端から宮崎駿。その隣が後の宮崎駿の嫁ですね。で、一人飛ばして大塚康生。高畑勲。そして、その奥になつがいて、ここにマコさんがいるということなんですけど。
     この宮崎駿、腕の組み方から何から、ちょっと癖のある感じですね。
     あと、これを見るとわかると思うんですけど、単なる短編アニメの企画のはずなのに、この全容。ほぼメインスタッフ全てが揃っている感じなんですよね。
     こういうところからも「短編にするはずだったのが、どんどん話が大きくなっているな」という感じがしますね。

     おまけに、またもや僕が気になったのが、この後ろにさりげなく貼っているカラーボード。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_00715.jpg【画像】カラーボード ©NHK

     拡大するとこんな感じなんですけど。
     これは、例の「宮崎駿が『太陽の王子ホルス』をやった時に、単なる1動画マンに過ぎなかったのに勝手に描いて、無理やり会社に提出したカラーボード」というやつではないかな、と(笑)。
     宮崎駿というのは、そういう手法でグイグイと制作現場の中心に入って来たという、歴史的な事実があるんですけど。それを表すようなものではないかなと、僕は勝手に想像して楽しんでおります。
     なんか、ツイッターを見てたら「今、岡田斗司夫は日本で一番『なつぞら』を楽しんでいる」って書かれてたんですけど、確かにそうかもしれません(笑)。

     あと、もう1つ。大阪のDAICON FILM時代の知り合いに、須田葦也さんという友達がいるんですけど。
     その須田さんが、Facebookにこんなことを書いていたんです。


    『なつぞら』で咲太郎の劇団仲間・土間レミ子は、もしかすると市原悦子さんがモデルかなあ?
    以前、咲太郎が「声だけなら絶世の美女を演じることもできる」と言ってたのが伏線で、たぶん次に作るのが太陽の王子ホルスの大冒険で、レミ子がヒルダ演じるの。


     咲太郎の劇団仲間に、土間レミ子という、ちょっとデブッちょの、可愛げのある女の子がいるんですけど、そのモデルは、もしかしたら市原悦子さんなんじゃないか、と。
     須田さんは、ホームページに証拠写真まで載せてたんですね。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_00845.jpg【画像】土間レミ子

     確かに、このレミ子さんは、若い頃の市原悦子にクリソツです。彼女が後に『太陽の王子ホルス』のヒルダの声優を演じる、と。
     さらに、この流れで、咲太郎兄ちゃんは声優事務所を持つことになるという説が、前からあったんですけども。

     これね、やっぱりね、オタクにとって『なつぞら』というのは、単なる朝ドラではなく、別の意味を持っている画期的なドラマですね。
     つまり、『アオイホノオ』というのが、単なる深夜ドラマではなく、何か別のヘンテコな面白さがあったように、『なつぞら』というのは、別の見方をすると、思いっきり面白いアニメ界の誕生秘話、創生神話みたいで面白いなあと思います。
     なので、「絶対に見逃さないように!」というのが、僕からのご忠告ですね。

     その他、僕にとってはわりとどうでもいいんですけど、メインストーリーとしては「生き別れになった妹・千遥」の話が語られました。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_00947.jpg【画像】千遥 ©NHK

     これですね。妹の千遥は、置屋、つまり、芸者さんの所属している組織みたいなところで育てられて、もうすぐ結婚することが決められているそうです。
     で、「すごく良いところに結婚に行くから、戦災孤児だという過去がバレたら、この縁談がダメになってしまう。だから、もうお姉ちゃんとは会えない」というようなことを言って、涙、涙の別れになったんですけど。

     この、千遥のシーンも、僕の見どころは、千遥が家の中に入って来た時の場面なんですね。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_01016.jpg【画像】千遥とポスター ©NHK

     「ちょっと待て!」と。「千遥のこの左側を見ろ!」と。「カメラさん、もうちょっと左! 左を見せて!」と。
     そう。またもや、『どうぶつ三国志』のポスターが、チラッと映っているではないですか。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_01029.jpg【画像】どうぶつ三国志ポスター ©NHK

     「これを見ると、関羽は虎で、張飛はワニだということがわかるぞ!」と。「ああ、どんなアニメか知りたい知りたい! 早くこのアニメが見たい!」と(笑)。

    「え?そこ?」(コメント)

     そこでしょう! それ以外はどうでもいいと思っちゃうんだけど、俺。
     それは、俺がサイコパスだからかもしれませんね(笑)。

     まあ、そんな悲劇のヒロインになっている千遥さんなんですけども。
     「彼女はここから先、どうなるのか?」と、まあ、どうでもいいと言いながらも、僕も気になっております。
     そこで、この先の展開予想として、本命、対抗、大穴、というのを考えてみました。

     本命というのは「たぶん、こうなるんじゃないかな?」という予想。
     それに対して対抗というのは「いや、ひょっとしたら、こっちをやるかもしれないぞ」という予想。
     大穴というのは、「まさかとは思うけど、こういう可能性もあるかもしれない」という予想。
     こういう3つの予想を考えてみたんですけど。

     本命は「名家にお嫁に行った後、夫や家族、生まれた自分の子供に、お姉ちゃんが作ったアニメを見せて自慢する」というもの。
     まあまあ、ありがちなハッピーエンドとしての終わり方ですね。

     それに対して、対抗の「いや、ひょっとしたらこっちもアリかな?」というのが、「ここから先、なつが会社の社会運動、労働運動、あと男女の格差問題とかに目覚めて運動を始めた結果、自分の妹の千遥に対しても、『自分で選んだ相手と結婚しなさい!』というふうに救い出す」というもの。
     まあ、ドラマとしては、こういうこともやるかもしれないということで、対抗です。

     で、大穴なんですけど。
     大穴は、「実はこの千遥の結婚相手はスカルノ大統領ではないか?」という、千遥=デヴィ夫人説ですね。
    (パネルを見せる。千遥とデヴィ夫人の写真を並べた画像)

    nico_190707_01231.jpg【画像】千遥とデヴィ夫人

     これ、時代的にピッタリ合うんですよ。おまけに、それくらいの相手だったら、これは戦災孤児であったことは内緒にしなければいけない。そして「もう二度とお姉ちゃんには会えない」と、彼女が言い出すのもわかる。僕的には全てが繋がるんですね。
     『なつぞら』のラストでは、この千遥役の女の子に変わって、デヴィ夫人本人が出てきて「わたくしのお姉ちゃんも~」って言ってくれたら、超面白いんだけど。「まあ、大穴狙いだよなあ」と思います(笑)。

    「このかわいい女の子が、これになるのか」(コメント)

     まあまあ、それは『天空の城ラピュタ』で、若い頃にあんなに美少女だったドーラが、婆さんになった今、どんなに恐ろしくなったかというのを、僕らは散々見てるじゃないですか。
     『千と千尋の神隠し』の湯婆婆も、たぶん、若い頃メチャクチャ美少女だったんですよ。その末路を見ている我々にとっては、そういうラストも面白いなというふうに思います。

     ということで、また来週も『なつぞら』を語ろうと思います。
     とりあえず、7月8日からの週は、アニメの方にも大きく動きがあると思うので、ナンボでも語ることがあるでしょう。

    『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』をさらに楽しむための参考書籍

    nico_190707_01417.jpg【画像】スタジオから

     では、予告していた『スパイダーマン』の話をしましょう。
     『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』、見てきました。見てない人のためにネタバレなしで話をします。

     『エンドゲーム』で終わったと思ってた『アベンジャーズ』シリーズの、気の利いたエピローグという感じでした。
     残念ながら、ピーター・パーカーと、その友達の「太っちょで岡田斗司夫にクリソツ」と言われている彼(ネッド)は、年を取って身体が大きくなってしまったこともあって、あんまり可愛げがなかったんですよね。
     あの、『ホームカミング』の時は、2人ともメチャクチャ可愛かったんですけど、『ファー・フロム・ホーム』を見たら……なんか『ハリー・ポッター』の第3作目の映画を見た時のようで。「あれ? ハーマイオニーはまあ仕方ないとして、ロンまでこんなに可愛くなかったっけ?」という、あの感じがちょっと漂っていました(笑)。

     今回は嵐とか水を操る敵が出てきて、あとは謎のヒーロー、ミステリオというヤツが出てきます。ミステリオというのはトリックスターですね。
     今回は、新生スパイダーマン3部作の中間の作品となっていて。『ホームカミング』が第1作で、今回の『ファー・フロム・ホーム』が第2作。で、この第2作のラストでちょっとひと山あって、第3作への興味を繋ぐという、『スター・ウォーズ』でいう『帝国の逆襲』のような構造になっているんですけど。
     このミステリオというキャラクターは、原作でも登場するんですね。ヴィラン(悪役)ではないまでも、スパイダーマンを嫌っている、ジョナ・ジェイムソンという新聞社の社長さんです。
     『スパイダーマン』の世界にはデイリー・ビューグルという新聞社があって、主人公のピーター・パーカーは、その写真部で働いているんですけど。そのデイリー・ビューグルの社長のジョナ・ジェイムソンが、今回は出てきて「彼のでっち上げるフェイクニュースがスパイダーマンを落ち込ませる」という、原作にもある展開に、今後なっていくような感じになっています。

     映画全般としては、孤独で疎外感の強い、原作に近いスパイダーマンに徐々に近づいていますね。
     1作目を見た時は、友達にも恵まれて平和そうだったのに、2作目から3作目にかけては、ちょっと暗くなる感じを予感させます。

     今回は、そんなスパイダーマンに関する、お薦めの本を紹介します。

     まずは、『スパイダーマン大全』ですね。
    (本を見せる)

    nico_190707_01637.jpg【画像】スパイダーマン大全

     これ、すげえ高い本なんですよ。定価は3600円なんですけど、今、プレミアがついちゃって、Amazonでも5300円くらいするんですね。
     たぶん、放送が終わった頃には7000円か8000円くらいのプレミアついていると思います。

     これ、パラパラ見ているだけで楽しいです。
    (中身を見せながら)

    nico_190707_01710.jpg【画像】デイリー・ビューグル

     例えば、今、話したデイリー・ビューグル社のページでは、「デイリー・ビューグル社と社長」とか、「デイリー・ビューグル社の風景」というのが、こんなふうに載っています。
     だいたい、見開き1ページ単位で1つの話題が載っていて、『スパイダーマン』の世界が、図解風にわかりやすく解説されています。
     謎のヒーロー・ミステリオについても、こんな感じにドーンと見開きで紹介されています。

    nico_190707_01730.jpg【画像】ミステリオ

     やっぱり、基本的にこの本、高いんだけど良い本だと思うので、まあ、6000円までだったら買ってもいいんじゃないかと思います。
     僕も、定価の3800円じゃなくて、しょうがないからAmazonで5000円くらいで買いました。

     で、「そこまで出せねえや」と言う人には、これは今、定価で売っている発売されたばかりの本、『ベスト・オブ・スパイダーマン』ですね。
    (本を見せる)

    nico_190707_01758.jpg【画像】ベスト・オブ・スパイダーマン

     これ、第1話から、最近の新しいエピソードに至るまでの8作品、8本の『スパイダーマン』のマンガがノーカットで載っているんですけど。

     この中に収録されている「スパイダーマンを集める少年」というエピソードは、ちょっと衝撃的で、感動があります。
     是非買って読んでください。

     最後にもう1冊。池上遼一が絵を描いた、月刊少年マガジンに連載されたマンガ版『スパイダーマン』ですね。
    (本を見せる)

    nico_190707_01834.jpg【画像】マンガ版『スパイダーマン』

     これ、面白いです。

     例えば、今回の悪役ミステリオも、こんな感じで、ドーンと出てきます。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_01853.jpg【画像】マンガ版『スパイダーマン』のミステリオ

     「われわれ都民の味方、ミステリオ。今すぐスパイダーマンをやっつけてくれ!」というふうな感じで。

     まあ、原作の『スパイダーマン』は総天然色なんだけど、それとはちょっと変わったテイストです。
     いわゆる日本のヒーローモノとは違うし、あとは、映画の『スパイダーマン』とも違う。なんとも言えない「70年代の日本」という匂いのする作品。
     うーん、そうですね、『太陽にほえろ!』以前の刑事ドラマと言うんですか? 結局、そういう刑事ドラマって、わりと暗い話が多いんですけども。なんか、そういう話になっていて面白いです。

     この池上遼一版『スパイダーマン』は、あまりにも語ることが多いので、ちょっと後半、ゆっくり話したいと思います。
     これ、本当に面白いんですよ。

     池上遼一版の『スパイダーマン』は、たぶん、今の段階ではAmazonでも古本として安く手に入りますけども、今のところ、一番のお薦めは、この『ベスト・オブ・スパイダーマン』ですね。
     あんまりアメコミとかを見慣れてない人は戸惑うかもしれませんが。これ「1コマ1コマを読む」というアメコミの読み方なんですね。日本のマンガを読む場合とは、ペースが違うんですよ。
     1ページを5分から10分くらい掛けて眺めて「コマとコマの間を、映画を見ているような感じで自分の頭の中で動かすようなイメージで見ながら、決めのシーンだけをコマとして見る」という形で見てもらえると、楽しめるんじゃないかと思います。

     以上、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』を見てきました。
     主人公と友達は、年を取って、あんまり可愛くなくなったのが残念なんですけど、それ以外はなかなか良い映画だったと思います。

    「アメコミ、読んだことない」(コメント)

     そういう人、多いですよね。
     本当に、1回読んでみると、ハマって楽しいと思います。アメコミを読まない人のイメージの中のアメコミよりもレベルが高くて、ビックリしますよ。

    オウムアムアについてのNASAの「無理矢理」な説明について

    nico_190707_02050.jpg【画像】スタジオから

     では、「今週の都市伝説」……ということでもないんですけど。ちょっと、変な話も時々話していこうと思ったんで、これの話をします。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_02107.jpg【画像】オウムアムア Credit: NASA/JPL-Caltech

     これは「オウムアムア」という物体で、歴史上、最初の恒星間移動天体とか、恒星間移動物質と言われています。
     つまり、「別の太陽系から来て、僕らの太陽系に来て、また他の太陽系に去って行った物質」なんですけど。長さ400メートル、直径40メートルという、すごく長い形をしています。

     正しくは「オウム・アムア」と発音するのではなく、「オウ・ムアムア」です。ハワイの天文台が発見したハワイ語なんですよ。
     なので、「カ・メハメハ」と同じように、「オウ・ムアムア」と発音すると、ちょっと本格的になると思います。

     これ、2年前に太陽の近くまで来て、その後、地球をかすめて通り去ったんですけども。地球をかすめる、わずか4日前に発見されました。
     では、その正体は何だったのか?

     これね、形からして、あまりにも変なんですね。
     というのは、こいつは自転しているんですけど、この天体自体が持っている質量と、自転による遠心力というのを考えてみたら、いつバラバラになっても全然おかしくないんですよ。
     なのに、この形を保ったまま、太陽系から太陽系へ、4千万年くらい掛けて旅をしてるんですね。
     「これはありえない!」というふうなことで、正体は何だったのかということが調べられて、大騒動になったんですよね。

     大騒動になった原因は、ハーバード大学の天文学部長という、立場のある責任者エイブラハム・ローブ(Abraham Loeb)という人が、「これは宇宙船ではないか?」という仮説を立てたことなんです。
     この「宇宙船ではないか?」という仮説を立てたのが、単なる素人とか、怪しげな人ではなく、ハーバード大学の天文学部長だったということで、大評判になったんですけど。

     その理由は、「このオウムアムアは、太陽系を脱出する時に加速している」ということなんですね。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_02340.jpg【画像】スイングバイ

     物体が、ある大きな質量を持ったものに近づいて離れる時、その質量がこっちを向いていて、その後ろ側を通るように近づいた場合、物質は加速するんです。これを加速スイングバイ、もしくは重力カタパルトというふうに言うんですけど。
     しかし、オウムアムアを発見したハワイの天文台が精密に観測した結果、それらでは考えられないような異常な加速が発見されたんです。
     重力カタパルトの理論値ではこの加速度が説明出来ない。ハッキリと観測できるくらい多い、と。
     天体現象として「観測できるほど多い」ということは、明らかに、重力場による加速以上の何かの力が掛かっているわけです。
     まあ、一応「表面の物質が太陽の熱で蒸発したことにより、ジェット噴射が起きたんだけど、それが観測では見つからず、わからなかっただけだ」という説で、納得する人は納得するんですけど。
     その後も、発見されてから2年くらい、議論が続いているんですよね。

     で、議論が続いている中で、1週間くらい前に、NASAが「これは宇宙船ではない」と、公式発表をしました。
     その発表によれば「たぶんジェット噴射である」と。これが公式発表なんですよ。
     「たぶんジェット噴射である。ただ、そのジェット噴射は観測されていない」と。だから、もう変なんですよね。

     科学的に「これは宇宙船ではない」と立証するのは、すごく難しいんですよ。
     立証するためには、「じゃあ、あの変な加速は何だったのか?」という原因を特定しないと、そんなこと言えるはずがないからです。
     それを「たぶん、僕らには見えないところで、表面の物質が蒸発して、それが太陽の熱でジェット噴射された結果、加速した」って言ってるんですけど。
     さっきも話した通り、このオウムアムアは「回転している」わけですよね? 「この細長いモノが回転しながらジェット噴射をしたからといって、都合よく加速するのか?」というのがあって(笑)。

     僕は普段、アポロの月着陸は嘘だった説とか、宇宙人はすでに地球に来てる説みたいなものに対しては、「そんな馬鹿なことあるかよ!」というふうに懐疑論の立場から疑って掛かるんですけど。
     でも、このオウムアムアの加速に関しては、「ちょっとNASA、説明できないことを無理矢理、説明しちゃったな」という気がしています。

     「今、探査機の1つを、オウムアムアを追いかける軌道に乗せる」という計画が進んでいます。
     やっぱり、他の惑星の重力を使った重力カタパルト、加速スウィングバイというのを使うんですけど、それを2回くらい重ねると、2049年にはオウムアムアに追いついて近くから観測出来る。そうなれば、今回の不思議な加速の謎、もしくは、オウムアムアの正体もわかるのではないかと言われています。
     つまり、正解は30年後になるんですけども。
     30年後なら、僕らもなんとか生きてますよね? つまり、30年待てば、オウムアムアの加速の正体、イコール、これが一体何だったのかというのもわかると思います。
     その時まで楽しみに、「流石に宇宙船ではないと思うけど、万が一の可能性もあることはあるよね」というふうに考えておけばいいんじゃないかと思います。

    「ギリギリ生きてるかな」(コメント)

     気弱なことを言わないで!(笑)

    「マクロスじゃない?」(コメント)

     そんなには大きくないんですよね。
     長さ400メートルくらいだから、宇宙戦艦ヤマトより、ちょっと大きいくらいなんですけれど。

    「岡田斗司夫、根性あるな」(コメント)

     そうですね。

    「生きるつもり?」(コメント)

     もちろん、そうですよ! 30年後と言ったら、僕はまだ91ですよ?
     流石に、この岡田斗司夫ゼミが、ドワンゴのニコニコ生放送という企業形態ではなくなっているかもわからないし、もしかしたら、火星人に征服された後の地球で、細々とレジスタンス放送としてやってるかもわからないですけど、生放送は続けてますよ!
     ひょっとしたら、もう、お年寄りのために、15分くらいで終わる放送になっているかもわからないですけど、続ける予定でございます(笑)。

    特集「LINEスコア」からはじまる大きな枠組みの変化

    nico_190707_02757.jpg【画像】スタジオから

     じゃあ、第1特集「LINEスコアの真実」の話をしましょう。

     6月末に、LINEが新しく始めたサービス「LINEスコア」。
     これ、LINEのウォレットの画面を開くと、こんなふうに、スコアというのが表示されるんですよね。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_02803.jpg【画像】LINEスコア

     この「スコア」というところをタップすると査定が始まって、15問くらいの質問に答えると、スコアが出てきます。

     最初、僕は何も答えない状態で144でした。
     あるフリーターの人がやったら「一番最初は110くらいだった」と言ってるから、たぶん、年代によって差があるんだと思います。
     僕がその質問に答えていったら、もう多いかどうか全然わからないんですけど、535というスコアがでました。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_02836.jpg【画像】スコア535

     「こんにちは岡田斗司夫さん」と書いてある下にある数字ですね。535です。
     まあ、ローンや借金はしてないんですけど、離婚して1人暮らしで住んでいて、住んでるマンションも賃貸なので、これくらいだと思います。

     これ、LINEの家計簿を使ったり、LINE Payというネット決済を使うと、スコアはそれぞれ20ずつ上がります。
     ここにも「LINE Payを使いましょう! 使ったらスコアが上がりますよ?」という案内が出てくるんですけど。

     27歳のフリーターの人が自分の数値を公開していました。27歳男性独身フリーターで、年収150万だったら、スコアは218だそうです。
     この218と、僕の535の差が何なのか、よくわからないけども、たぶん、大きいのは年齢だと思うんですよね。年齢による安定性。
     あとは……そうか、定職か。僕は会社役員なんだ。給料は低いけど会社役員なんですよね。なので、そこら辺だと思います。

     これ、点が上がっていくと「LINEスコアでマイカラーをランクアップ」と、ここに書いてあるように、マイカラーというのがLINEにはあって、それが段々上がっていくそうです。
    (パネルを見せる)

    nico_190707_02947.jpg【画像】マイカラー

     スコアが626以上だとマイカラーがブルーになる、と。で、726以上だとグリーンになって、5%還元。LINE Payの支払いが、最大4%還元とか、5%還元というふうになります。
     こんなふうに、マイカラーとしてブルー、グリーンというふうに徐々に上げていくことが出来るみたいです。

     その他、このLINEスコアに参加するだけで、映画の試写会のサービスの抽選に応募出来たり、ブランドバッグのレンタルとか、カーシェアリングの割引など、各種サービスが開始されています。
     LINEは、たぶん、この参加するだけでサービスというのを、全力で増やしてくるわけですね。
     これは、誰にも損がないからです。なぜかというと、こういう割引サービスとか無料サービスとかというのは、提供する会社は広告のつもりでやるから無料で提供するし、LINEにしてみたら情報を出すだけでいいので、一銭も損をしないんですね。
     なので、こういったタイアップのサービスみたいなものは、どんどん増えて来るでしょう。
     まあ、例えば、スマートニュースとかでやっているクーポンと同じですね。マクドナルドとか牛丼屋などのクーポンサービスも、組み合わせで出て来るはずです。
     だから、今のところ、こういうLINEスコアみたいな格付けサービスみたいなものに対して「いやあ、そんなのは~」と抵抗している人も、徐々に徐々に、例えば、自分が入っている携帯の通信会社でマクドナルドのポテトが半額になるサービスを使うようになるみたいに、抵抗なく、こういうサービスに馴染んでいくと思います。

     本命のサービスは、「この夏」って言ってるから、たぶん、来月くらいから展開される、このスコアによって利息と利用可能額が変更される少額融資サービス、LINEポケットマネーなんでしょう。これが始まるわけですね。
     面白いですね。これ、たぶん、1000点満点なので、これが何点かによって、さっき話したフリーターの218点の人と、535点の僕とでは、LINEからお金を借りる時の利息と利用可能額が違う。

     ブログとかを調べてみたら、もっとスコアが高い人はいくらでもいたんですよね。IT関係のライターの人とか、たぶん、僕よりも東京の中心に住んでいて、奥さんと子供がいるような人は僕より点が高くなるんですよ。
     そういう人は、LINEポケットマネーから、安い利率で利用可能額が多くお金を借りられるわけですね。

    「470点だった」(コメント)

     お、ありがとう。
     やっぱりそうですよね。たぶんね、年齢要素かなりデカいと思うんですよね。

     さっき「LINE Payとか他のサービスを使うと、ポイントがたされる」という話をしたんですけど。
     次の段階では、こういうふうに、LINEのアプリを使えば使うほど、有利に買い物が出来るし、借金も出来るようになる。
     逆に言えば「使わなくては損だ」というふうに、徐々に徐々になっていくわけですね。

     例えば、クレジットカード会社でも、「旅行中の怪我とか事故に対しては基本的に保険金が降りるけど、飛行機に乗れなかったというトラブルが起きた場合、アメックスのクレジットカードで払っていれば保障があるけど、別の会社のクレジットカードでは保障が降りない」みたいに、カード払いでなければ不利になるようなサービスはいくらでもあるんですね。
     そういうサービスがあるからこそ、みんな「この支払はこっちのカードで」という使い分けをよくやっているんですけど。
     それと同じように、今後は「LINEのアプリを使うものと、使わないもの」みたいに、使い分けをするようになると思うんですね。今までの信販会社のやり方から見ると。
     まあ、僕らは、コンビニでおにぎりが無料になるだけで、セブンイレブンの支払いサービスに登録したり、必死になっちゃうわけじゃないですか。
     そういうふうに「ちょっとした得がある」と聞くと、やっぱり、使いたくなるのが人情みたいなものなんで。

     LINEにとっての「ありがたい客」というのは、「LINEポケットマネーという少額融資サービスを、全く使わない健全財政の客」ではなくて、「LINEポケットマネーで金を借りて、後で利子を払って返済してくれるお客さん」なんですよ。
     つまり、LINEのアプリを使いこなせば使いこなすほど、スコアが上がっていくようになるだろう、と。
     例えば、マイラーと呼ばれる人は、必要もないのに飛行機に乗ることがありますよね?
     この間、テレビのバラエティ番組で見てたんですけど、「JALのマイレージカードのランクを上げたいがために、必要もないのに朝から沖縄の方に行って、そこからまた他所の島に行って、東北に行って帰ってくる」という人の話がやってたんですよ。「1日でこんなにマイルが貯まった。以後、空港のラウンジに入り放題だから、わりと得だ!」というふうに話てたんですけど。
     それと同じく、スコアを上げるために、LINEから、必要もないのにお金を借りるようになってくる人も出てくると思います。

     じゃあ、その次の段階はどうなるのか?
     今、LINEが確実にやっているサービスだけを、ここまで話してきたんですけども。ここから先は、来年、再来年、3年後くらいにやるだろう、ちょっと恐ろしい世界の話です。

     僕は、LINEが目指しているのは21世紀型の奴隷制度だと思っているんですよ。
     本当に、奴隷制度だと思ってるんですけども……内容的に無料公開できるような話ではないので、すみませんけど、そっちの話は後半の有料枠でやりたいと思います(笑)。

     とりあえず、LINEがやろうとしているのは、僕が前から言っている評価経済社会のベースになるものであって、それは何もLINEだけではなく、Yahooも始めているし、色んな会社が一斉に始めている。例えば、みずほ銀行とかがJスコアとかを始めましたよね?
     では、それの正体というか、将来像は何なのか? 実は、かなり大きな、この社会の組み換え、それは経済的な部分だけではなく、政治形態とかそっちの方にも引っかかってくるくらい、大きな枠組みの変化が、これから10年15年くらいで始まろうとしている。

     「それに関して、もう国籍というのはなくなっているな」というのが、僕の感覚なんですよ。
     例えば、アリババが中国の資本だとか、LINEが韓国の会社だとか、AmazonとかGoogle、Appleにしてもアメリカの会社だとかいうことで、「そういう外国の企業がやっていることに僕らが組み込まれて行くということは、結局、日本が負けることじゃないのか?」って、僕らは思っちゃうんですけど。
     日本は日本で、ソフトバンクをはじめ、いろんなところがそういうことを始めようとしてるんですけども。
     でも、そういった企業というのは「どこも、それぞれの国を上げて戦ってない」んですね。「どこも、国という概念が滅びた後の王座をかけて戦っているだけ」で。

     なんでしょうね? 僕らは「そういった中から、どの怪獣が勝つのかを見ているだけ」なんですよ(笑)。
     別に、日本から生まれて来たから、ゴジラが偉いわけでもなんでもなく、俺らにしてみりゃ、ゴジラであろうとラドンであろうと、フランス製の怪獣だろうと、メキシコ製の怪獣だろうと、踏まれりゃ痛いし、逆にその怪獣が俺らを贔屓してくれたらありがたい。
     ということで、「国籍が全然関係ない世界に、僕らはちょっと入りつつあるな」という話を、後半の方でしようと思います。


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