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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「心霊スポットに20年住んでいた岡田斗司夫の経験談」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「心霊スポットに20年住んでいた岡田斗司夫の経験談」

2019-08-26 07:00

    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/08/26

     今日は、2019/08/11配信の岡田斗司夫ゼミ「『千と千尋の神隠し』の「不思議な話」、その他“幽霊” “UFO” “怪奇現象” ……の「少し怖い話」特集!」からハイライトをお届けします。


     最近、怖い話が好きになってきたというのは、別に「個人的にオカルト体験があって、それで考え方が変わった」とかいうわけじゃなく。
     たぶん、オカルト体験はこれまでにも何度かあるにはあったと思うんですけど、まあ、全然、興味がなかったんですね。
     例えば、今の家に引っ越したのは4年前なんですけど、その前は、吉祥寺の井の頭公園の近くの一軒家を借りて暮らしてたんですよ。
     借りたのは、1995年の春。もう本当に25年前ですね。広さや場所を考えたら、家賃もやたら安い物件だったんです。
     なので、物件の内見に行った時に「ここ、気に入りました。契約します」と不動産屋に言うと、「じゃあ、ちょっと店まで来てください」と言われて。不動産屋まで行くと、奥の応接室に案内されて、お茶を出されたので、「もう契約するのかな?」と思ったら、支店長が出てきて「実は……」という話が始まったんですよ。
     「あの家は、実はいわくがありまして。井の頭公園の事件を知ってますよね?」と。
     いや、「事件」と言われてもよくわからなかったから、「なんですか?」と聞くと、「あの、バラバラの……」って言われて。それで「ああ」と。
     新聞やニュースを見ない僕でも知っていたんですけど、昔、井の頭公園バラバラ殺人事件というのがあって。平成日本で最大の残酷事件で、いまだに犯人も見つかってないし、動機もわからないまま、未解決の迷宮入りをした事件なんですよ。
     僕がその家を借りる1年前、1994年4月23日の朝に、井の頭公園のゴミ箱から、ポリ袋に入った変な物体が出てきたんですね。ゴミ袋を開けると、人間の足首が出てきた。
     あわてて、捜査員が周り一帯を捜索すると、合計で27個、バラバラになった人体のパーツ、手足とか胴体が出てきたんです。
     そのゴミ袋も、魚を獲る漁師さんが、網とかで使う、臭いが漏れない特殊な結び方をされていたり、遺体の手足の指紋がすごく丁寧に削られてたんですけど。
     DNA鑑定で、被害者は近くに住む一級建築士の35歳の男性だとわかったんです。
     その男性は、妻と子供と、あとは自分の母親と一緒に暮らしていて、建築士として自分が設計して建てた家に住んでたんですね。
     僕が借りた家というのは、その被害者の家だったんですよ。

    ・・・

     ただ、僕は幽霊というのを全く信じていないので、気にせずに、安いから借りたんです。
     まあ、こういうことの告知義務がある不動産屋さんとしても、ホッとして、すごく喜んでくれて。
     なんでも、こういう物件のことを事故物件と呼ぶらしいんですけど、最初に借りる人には、こういったことを告知しなきゃいけないらしいんですね。
     でも、「1人でも借り手がついて、その人が退去したら、次の借り手にはもう言わなくてもいい」という、そういう申し合わせがあるみたいです。

     それでも、ちょっと気持ち悪いので、入居の前に、1階に住んでるおばあちゃんに挨拶に行ったんですよ。
     というのは、一軒家といっても3階建てて、僕が借りたのは2階と3階だけなんですね。外階段から2階に上がれるようになっていて、1階には大家さんのおばあちゃん、つまり被害者の方の母親が住んでたんですよ。
     まあ、一応、ちょっと気を使って、東急百貨店でちょっと高級なゼリーのパックを買って、「お線香だけ上げさせてください」と言うと、おばあちゃんは、奥にあるメチャクチャ大きい仏壇に案内してくれたんです。
     この1階には、おばあちゃん以外の人の気配がないんですよ。どうも、奥さんや子供さんは、もうすでに実家に引っ越されて、おばあちゃんは1人で息子さんの設計した家に住んでるらしいんですね。
     仏壇の写真には、すごく普通な、どこにでもいそうな男性が写っていました。なので、僕もその写真のことをほとんど覚えてないんですよね。
     僕は、お線香を頂いて、1本つけて、一応、それが燃え尽きるまで、手を合わせて拝んでたんですよね。

     拝む時の内容は「お化けとして出るんだったら、どうぞ1階に出てください」と。
     「2階には他人である僕が住んでいます。あなたのお母さんに、毎月毎月、お金を払って、そのおかげであなたのお母さんは生きていけるんですよ?」と。
     「恩を着せるつもりはないんですけど、もし僕がビックリして逃げたら、あなたも困るでしょう?」と。
     「1階にはあなたのお母さんが住んでいますから、何か言いたいことがあったら、ぜひ1階に化けて出てください」と。

     マジでそういうことを考えながら、何度も何度も心の中で唱えて、その場を立ち去りました。
     以後、その家の1階には立ち入ったことはありません。

    ・・・

     結局、その家には、1995年から2015年まで、20年以上、住んでいたんですけども。
     当時は「怪奇現象なんて、何も起こってない。やっぱりオカルトは嘘だな」というふうに思ってたんですよ。
     でも……別に脅かすつもりはないんですけど。でも、今、考えると、ちょっとだけ変なんですよ。
     例えば、家鳴りが激しいんですよね。家がしょっちゅうギシギシ言うんですよ。
     でも、新築の家というのは、もともと家鳴りが激しいものなんです。というのも、結構良い家だから、木材とかも豊富に使っていて、それが乾燥する周期とかがあるんでしょうね。だから、キシキシ鳴るんですけど。
     あとは、まあ、井の頭公園の踏切も近くて、電車が通ると家が揺れるから「それで家鳴りがするんだろうな」と思ってたんですね。
     2つ目が、天井裏とか屋根裏から、やたらと音がするんですよ。
     でも、これもね、そんなにお化けっぽい音じゃないんです。もっと乱暴な、ドッタンバッタンという、怖さも何もない音で。
     たぶんね、井の頭公園が近いから、テンとかタヌキとか、そういう小動物が住んでたんだと思うんですよね。
     ネズミのサイズじゃ絶対にないんですよ。僕、ネズミが住んでる家に住んでたこともあるんですけど、ネズミの走り方じゃないんですよね。
     あと、3つ目。なぜか、リビングのちょうど真ん中あたりの壁と天井に裂け目が入っているんですよね。
     一番最初、入居した時は気付かなかったんですけど、どうも、入居した時から薄っすら裂け目があったみたいなんです。それが、15年くらいかけて、メキメキ広がっていくんですよ。
     つまり、僕の住んでた家は、ゆっくりとリビングが2つに裂けて行っているんですよね。
     これはいまだに原因不明で、なんのこっちゃかよくわからないんですけども。

    ・・・

     ただ、まあ、おかしなことと言ったら、以上のことだけで。たぶん、日本でも有数の事故物件……週刊文春とかも取材に来ましたから。そんな事故物件に20年以上も住んでたんですけど、結果的に、別に何も起こらなかったんですよ。

     今、コメントで「設計ミス」って書いてあったんですけど。
     一級設計士の人が自分用に作った家だから、材料もそれなりに吟味しているはずなので、あんまり設計ミスではないと思うんですけどね。

     まあ「3階で寝ている時に、2階から物音する」とか「例の裂け目が年々大きくなってきて、嫌な感じがする」とか「天井裏に住んでるんだろう小動物が、やたら走り回る」ということがあったんですけど。
     「こういうことは、どこの家でもあることだ」というふうに解釈してたんですよ。
     今考えると、「家が裂ける」というのは、あんまりどこの家でもあることじゃないと思うんですけども。
     ひょっとしたら、こういう僕の「いや、別に関係ないんじゃないの? いいんじゃないの?」と思っている態度が、怪奇現象みたいなものがあったとしても、それに気付かせないのかもなと思いました。


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