岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/09/09

 今日は、2019/08/25配信の岡田斗司夫ゼミ「『崖の上のポニョ』を精神分析する〜宮崎駿という病」からハイライトをお届けします。


 はい、『なつぞら』のお話です。
 もう、先週と先々週の2週間分溜まってるんですけども。

 先々週の月曜の放送回で、昭和42年、1967年になりました。
 主人公のなつは、西荻の新居に引っ越したんですけど。そんな中、『魔法少女アニー』というアニメの作画作業が始まりました。
 『魔法使いサリー』のそっくりのアニメです。オープニングの「サリー、サリー~♪」というところに、サリーちゃんがステッキを振って魔法をかけるシーンがあるんですけど、あれと全く同じ作画が出てきて、なかなか笑いました。
 そして「早くもこのステッキが商品化される」という話も出てきて、流石だなと思ったんですけど。

 そんな先々週の月曜日。なつ30歳。早くも、虫プロや東洋動画以外に、いくつものテレビマンガ専門スタジオが出来ていきます。
(パネルを見せる)

nico_190825_00646.jpg【画像】バケモノくん ©NHK

 こういう『バケモノくん』というアニメ……これ、もちろん『怪物くん』がモデルになっているんですけど。こういうアニメが始まって、いよいよテレビマンガブームの時代に入っていきます。
 いろんなテレビ局、例えば「TBSだったら〇〇スタジオ」というふうに、具体的には忘れちゃったんですけど、テレビ局ごとに自分達の局で流すアニメを外注するためのアニメスタジオが作られ始めて、どんどんアニメが作られるようになりました。

・・・

 その中で、成仏していなくなったと思っていたマコさんが再登場して、「マコプロダクションというのを作ったのよ」と、名刺を持ってくるんですけども。
(パネルを見せる)

nico_190825_00710.jpg【画像】名刺 ©NHK

 この名刺の端っこに書かれている住所、ちょっと薄くて読みにくいんですけど、「東京都 武蔵野市 吉祥寺」と書いてあるんですよ。「おっ、吉祥寺だ」と思ってよく見たら、「吉祥寺 西町」って続いているんですね。
 この「西町」というのは、なかなか良いチョイスで。現実の武蔵野市の吉祥寺には、南町、東町、北町はあるんですけど、西町はないんですよ。西に行くと、すぐに隣にある三鷹市に入っちゃいますので。
 なので、「武蔵野市 吉祥寺 西町」というのは、なかなか面白いチョイスだと思います。

 このマコさんのマコプロというのは、おそらく、西荻にスタジオがあった東京ムービーがモデルになっていると思います。東京ムービーは、後に『ルパン三世』を作る会社ですから。
 そんなマコプロが企画提出中の作品が、これなんですけど。
(パネルを見せる)

nico_190825_00808.jpg【画像】三代目カポネ ©NHK

 なんか、園田健一のキャラクターみたいになってるんですけど、『三代目カポネ』というアニメで。まあ、もう、誰が見ても『ルパン三世』がモデルになっているってのがよくわかる作品ですね(笑)。
 この『三代目カポネ』の企画が通らずに、困っているところです。
 まあ、実際の『ルパン三世』がテレビ放映されるのは、1971年の秋だから、まだまだ先なんですけども。

 当時の東京ムービーは、『巨人の星』のアニメ放映でガッポガッポ儲けた時代なんですね。
 なので「大人向けのアニメです」っていくらプレゼンしても、「それよりは『巨人の星』みたいなスポーツ根性モノ、いわゆるスポ根と言われる、血の汗流せ、涙をふくな、みたいな感じで主人公が特訓して特訓して、みたいな企画を持って来てよ」となってしまう。
 そんな中で「俺の名はルパーン三世!」みたいな大人のアニメの企画を持って行っても、なかなか通りにくいので、マコさんは苦労しているようです。

・・・

 先週、先々週の『なつぞら』は、ハッキリ言って、僕的には、もう本当に面白くなくて。ところによっては2倍速で見てたんですけど(笑)。
 妊娠出産の話だったので。そんなドラマはどこの局でも作ってるし、これまでの朝ドラでも散々やっている。そんな当たり前のことをやってもしょうがないんですよ。
 今までの『なつぞら』が面白かったのは、なぜかと言うと。
 僕は、メジャーにヒットする作品というのは2通りしかないと思ってるんです。1つは「新しいことを当たり前の表現でやる」。または「当たり前のことを新しい表現でやる」。この2パターンしかないんですよ。
 新しいことを新しい表現でやっちゃダメなんですよ。それでは過激すぎる。当たり前のことを当たり前の表現でやっちゃダメなんですよ。それでは平凡すぎる。
 この『なつぞら』って、表現はひたすら平凡なんですね。もう、ドラマの作りはベタなんです。脚本家さんに、そんなに新しい表現をやれるような力もないし、そもそも朝のドラマというのはそんなもんなんですけど。
 ところが「アニメ業界の黎明期を描く」という中味の部分は新しかったんです。つまり、これまでの『なつぞら』は「新しいことを平凡に描いてた」んですよ。
 でも、そんな中で「妊娠と出産」とか「母親として育児と仕事とのぶつかりあいが~」みたいに、当たり前の内容を、これまでの『なつぞら』と同じ当たり前の表現でやってたら、それはもう、つまらないんですよ。
 そして、つまらなくなると、どうしても役者さんの演技頼みになっちゃうんですね。
 テレビドラマというのは、役者の演技に頼り始めたら、もう終わりなんですよ。
 演技がなくても面白いシナリオを組めるからこそ、テレビドラマというのが成立するのであって。役者さん自身がそれまで培ってきたキャラクターとか演技とかに頼り始めると、ドラマというのは急に面白くなくなっちゃうんです。

・・・

 でも、来週の予告くらいから、またちょっと楽しみになってきて。来週の予告、つまり、明日からのやつなんですけども。

 なつの娘のゆうという女の子が生まれて1年後、時代は1970年。
 本当は、その前の年にアポロの月着陸があって、『なつぞら』の世界では、今、ちょうど大阪万博のはずなので、もっと日本中が浮かれているはずなんですけど。まあ、そういう描写は今のところありません。
 なつは33歳になっています。そんな中、予告編で衝撃のアニメが出てきます。それが、これなんですけど。
(パネルを見せる)

nico_190825_01159.jpg【画像】予告アニメ絵 ©NHK

 なんか、ボクシングものみたいなんですけど、あまりに絵が下手くそで、よくわからないんですけど。まあ、たぶん『あしたのジョー』だと思うんですね。
 ただ、『あしたのジョー』は虫プロで作られるはずだから、なつが関わる作品ではないし、マコさんがやる作品でもないんですよね。
 たぶん、虫プロかどっか他のスタジオが、『あしたのジョー』か、『タイガーマスク』か、『キックの鬼』か、どれかをやって「それによってスポ根ブームがやってきた」という流れになるんですよ。
 これまで、子供達のテレビマンガを作っていたところから、一気にアニメ業界全体が「これからはスポーツ根性モノだ!」というふうに、大きく流れてきて。
 そこでまた「新しい仕事が発生してくる」とか、もしくは「自分達が本来やりたかった企画が通らない」とか「『三代目カポネ』が通らない」とか、そういう話になるんじゃないかと思います。
 「『巨人の星』が大ヒットした」というのは、さっきも言った通りなんですけど。この『巨人の星』というのは、1968年に始まったんですよね。
 つまり、ちょうどなつが妊娠・出産のために現場をリタイアし、イッキュウさん(夫の坂場一久)も新しい現場に入ろうとしていた頃ですから、彼らには『巨人の星』の大ヒットというのが、あまり身近にわからなかった時代なんじゃないかと思います。

・・・

 さらに、予告編には、こんなシーンが写ってたんですよね。
(パネルを見せる)

nico_190825_01323.jpg【画像】なつの娘ゆう ©NHK

 この女の子は、なつの娘のゆうが成長した姿だと思うんですけど。今週は、まだ赤ちゃんだったんですけど、予告編ではこうなってましたから、3歳か、下手したら5歳くらいになっているんですね。
 赤ちゃんだった娘が5歳になっているということは、『なつぞら』の舞台は、来週には1975年まで進むんじゃないかと思っているんですよ。

 ただ、75年から先の時代には行かないと思うんですね。
 『なつぞら』って、あと5週間あるんですけど。この5週間で描くのは、この1975年までの3年間。ここら辺を集中的に描くんじゃないかなと思います。
 なぜかというと、75年から先になってくると、代表的なアニメ作品が、例えば78年の『未来少年コナン』とか、79年の『ルパン三世 カリオストロの城』や、『機動戦士ガンダム』になっちゃうんですね。
 この辺りの時代になると、なつの年齢も40歳を超えてくるし、娘のゆうも9歳とか10歳くらいになっちゃうんですよ。そうなると、大きくなりすぎて、母娘の関係を描くのが難しくなってくる。
 なにより、『コナン』にしても『カリ城』にしても『ガンダム』にしても、もうビッグタイトルになり過ぎて、なつを主役に出来ないというか、そろそろ問題が起きてくるというか(笑)。

 最終回の9月28日まで、あと5週間。
 つまり、あと、たったの5週間で、夫である坂場さん、つまり高畑勲の大成功と、『なつぞら』というタイトルにちゃんと繋げるための伏線回収まで一気にやって、おまけに、生き別れの妹・千遥との再会という大団円まで持って行かなきゃいけないんですよね。
 なので、僕、すごく期待しているんですけど。

 この1975年までの、30代のなつが関わることになるだろうアニメ界の出来事は何かと言うと。
 例えば、1971年に東京ムービーが作ることになる『ルパン三世』。劇中では『三代目カポネ』ですか。これが、まあ、たぶん動くんだろうと思います。
 あとは、もうその次の年の1972年には『マジンガーZ』が始まります。この時、なつは35歳です。
 さらに、1974年、オフィス・アカデミーの『宇宙戦艦ヤマト』。なつは37歳です。
 そして、『アルプスの少女ハイジ』。ここら辺が、最後のクライマックスになってくると思います。

・・・

 さて、今日の僕の『なつぞら』大予想です。いわゆる「千遥はデヴィ夫人として帰ってくる」みたいな大予想なんですけども。
 僕、「のんが出演するんじゃないか?」って思ってるんですよ。能年玲奈ですね。

 たぶん、のんの出番は……これ、もう完全に僕の妄想なんですけど。9月4日辺りなんですよ。
 で、役柄としては、悪役じゃないかと思うんですよね。
 なんで、のんが出るのかと言うと、『なつぞら』のキャスティングには、どうも「これまでの朝ドラのヒロインを全員出す」というコンセプトがあるみたいで、ずーっとその流れで来ているんですね。
 なので「これはもう『あまちゃん』もやるだろう」と思ってるんですけど。

 ということで、「のんの出番はここだ!」大予想です。
(パネルを見せる)

nico_190825_01620.jpg【画像】のんの出番

 僕の予想では、役柄は女プロデューサー。
 見た目は、ちょいワルでサングラスをかけています。
 そして、決めゼリフは「テーマは愛です」になる。

 何をやるのかというと、もちろん、こういうのです。『宇宙軍艦ムサシ』(予想タイトル)をやるのではないのかと。
(パネルを見せる。青島文化教材社のプラモデル「合体レッドホークヤマト」のパッケージ)

nico_190825_01635.jpg【画像】レッドホークヤマト

 『宇宙戦艦ヤマト』のプロデューサーの西崎義展さん、元・虫プロ商事の社長代理でした。
 この西崎さんをモデルにして、「マコさんの元同僚で、マコプロの企画の邪魔をする」という悪役として登場するのがふさわしいな、と。
 来週の『なつぞら』では、9月4日か5日、水曜か木曜辺りで、のんが「『ムサシ』のテーマは愛です」って言うに違いないと思います(笑)。

 以上、今週の、岡田斗司夫が語る本物より面白過ぎる『なつぞら』のコーナーでした。
 どうもありがとうございました。
(パチモンプラモのパネルを指して)

 いいよね、これ。このプラモ、欲しいんだけどね。なかなか売ってないんですよ。


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