岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/09/23
今日は、2019/09/08配信の岡田斗司夫ゼミ「宮崎駿を精神分析できるのが、『風立ちぬ』でも『もののけ姫』でも『千と千尋』でもなく、『ポニョ』である理由」からハイライトをお届けします。
今週の『なつぞら』です。
今週は、死んでしまった天陽くんとなつの対話のシーンがありました。
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【画像】天陽くんの絵 ©NHK
ちょっと暗くてわかりにくいんですけど。ここにあるのは天陽くんの絵なんですよね。なつが天陽くんの絵と向かい合って話すシーンで「いつの間にか天陽くんがそこに出てきて、なつと2人で話すことになる」という話になっています。
別に、オカルトっぽい話というわけではなくて、「なつが自分の思っていることを天陽くんに整理してもらう」というか「後ろから背中を押してもらう」という感じなんですけど。これがまあ、なかなか良いシーンなんですね。
なぜ、良いシーンだと僕が言うのかと言うと、ただ「この天陽くんの絵が、いつの間にか本物の天陽くんに変わってた」くらいだったら、別に何とも思わないんですよ。でも、実は、6月くらいの放送では、この天陽くんが描かれた絵には、もともとなつが描いてあったんですね。
【画像】なつの絵 ©NHK
自分の好きな女の子の絵を肖像画として描いてたんだけど、その女の子は東京に行ってしまって、その時に貰った手紙には「私は仕事を頑張らなければいけないので、もう帰らない」と、ハッキリとした意思が書いてあったんですよね。
その手紙を見た天陽くんは、大好きな女の子の肖像画の上から、赤い絵の具でググッと塗り潰して、その上に自分の肖像画を描いたんですよ。
なので、このシーンは「なつが天陽くんに話しかけている」ように見えて、実は「なつは天陽くんの肖像画の奥にある自分自身と話している」というふうに作られているんです。
なので、「ああ、脚本家はこれを狙っていたんだな」と。6月の放送を見た時点で「このなつの肖像画を塗り潰すシーンは、後々の伏線だな」と思ってたんですけど、ようやっとここで伏線が解消されたか、と。
まあ、このシーンは僕的には「はいはい、なるほどなるほど」くらいだったんですけども。ちょっと感動しちゃったのが、その後なんです。
天陽くんの遺作となったのが、この「雪月」っていう十勝のお菓子屋さんのお菓子のパッケージなんですね。このパッケージの包装紙を天陽くんが描いたんです。この包装紙が、超カッコよかったんです。
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【画像】包装紙 ©NHK
まあ、あの、ツッコミどころとしては、いろいろあるんですよ。「雪月」なんですよ、このお菓子屋さんの名前は。「雪月」なのに、この包装紙には「雪」もなければ「月」もないという。「昭和40年代にこれはありえないだろう」というような、アバンギャルドな包装紙なんですけど(笑)。
この包装紙に描かれているのは、十勝の大自然の中、女の子が1人立って景色を見てて、その視線の先には農場の柵がバーっと走ってて、向こうの方には山が見える。
この風景が、ちょっとカッコよくて、グッと来てしまいました。
・・・
というわけで、お待たせしました。ついに『アルプスの少女ハイジ』が始動したわけですね。
『アルプスの少女ハイジ』をドラマの中で扱うことは、もう、前からわかっていた通り。「ああ、これはクライマックス前で、スタッフ全員で十勝にロケハンに行くぞ」と言ってたら、もう、来週の予告で、みんなでロケハンに行ってるシーンがありました。
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【画像】ロケハン ©NHK
イッキュウさんが娘の後ろでズッコケてて見えないんですけど、おそらく、全員集合しています。
ロケハンで一番大事なのは「美術監督を連れて行くこと」なんですよね。「美術監督を連れていって、実際の世界を見せる」というのが大事なんですけど。でも、美術監督は天陽くんのお兄ちゃんなので、別に連れて行かなくてもいいんですよね。だけど、一応、一緒に行っているという感じになっています。
この元ネタになったのが、『アルプスの少女ハイジ』製作時に実際に行われた、スイスでのロケハンですね。
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【画像】スイスのロケハン
左から、若き頃の宮崎駿、若き頃の小田部さん、若き頃の高畑さんと並んでいますけど。
この『アルプスの少女ハイジ』という、1974年1月に始まったアニメ。ロケハンに行ったのは73年なんですけど。このアニメが、もう、どれだけ画期的で、どれだけその後のアニメの作り方を変えたのか。特に、その頃まで、アニメはテレビマンガと言われてたわけですね。
まあ、そういう話は、そのうちしたいと思います。
これをやるからには、『アルプスの少女ハイジ』をドラマ内で扱うということなんですけど。タイトルは、『十勝の少女そら』にして欲しいところですけど。
予想通り、最終回では、オープニングのアニメとドラマ内のアニメ、あと登場人物を混ぜるくらいのことはやるかもわかりません。
つまり、登場人物が動いているところをビデオで撮って、それをロトスコープでアニメーションとして動かして、キャラクター達と合わせる。または、『メリー・ポピンズ』みたいに、実写の人物とアニメとの合成は……しないと思うんですけど。「オープニングのアニメと劇中のアニメが重なる・繋がる」というのはやるはず。
まあ「やるはず」という言い方にはなるんですけども。
・・・
さらに今週、ついに、その企画書が出てきました。
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【画像】企画書 ©NHK
企画書には、「作品紹介:テレビ漫画」「タイトル:未定」とあります。まだ『大草原の小さな家』か、もしくは『大草原の少女ローラ』をやると見せかけていますけど、絶対にそんなことはないはずです。
「作画監督:奥原なつ、演出:坂場一久」と書いてあります。ところが、注目すべきは「放送開始:1974年10月、全39話」という部分。ここが、ちょっと不思議なんですよ。
なぜかというと、実際の『アルプスの少女ハイジ』は、1974年1月6日から放送がスタートしてるんですね。
じゃあ、なぜそれを10月と言うのか? 書かなくてもいいんですよ。別に「1974年夏」とか「秋」とか書きゃあ良いんですけど。
なぜ10月と書かなきゃいけなかったのかというと、まあ『宇宙戦艦ヤマト』があるからですね。実は『宇宙戦艦ヤマト』は『アルプスの少女ハイジ』の裏番組なんです。
そこら辺を少しまとめてみたんですけど。
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【画像】なつ37才の番組
『アルプスの少女ハイジ』というのは、74年1月から4クール=1年間放送されてるんですね。
それに対して、『宇宙戦艦ヤマト』は74年10月。
だから、「『ハイジ』と『ヤマト』はライバルだった」とか、もしくは「『ハイジ』の大ヒットによって『ヤマト』が打ち切られた」という話があるんですけども、実際はそうではなくて、被ってた期間は、実際には3ヶ月くらいしかなかったんです。『ヤマト』が打ち切られたころには、『ハイジ』がもうとっくに終わってたから、別にそれが理由で打ち切られたわけでもなんでもないんです。
じゃあ、なぜ……ここには、僕が勝手に『北海道の少女そら』って書いてるんですけど、これは勝手に僕がつけたタイトルですからね。
なつとイッキュウさんが北海道に行った時に、空に向かって「やるぞ! そら!」と叫ぶという、不自然なセリフがあったので、「これはもう、脚本家の伏線だ」と。まあまあ、伏線をちゃんと張りたいんだけど、あんまり上手くない人なんですよ。なので、クライマックスで作ることになるアニメのタイトルは「そら」になるだろうというのが僕の予想なんですけど。
なぜ、現実の歴史では放送期間にズレがあったところを、ドラマでは揃えて来たのかというと、「おそらく『宇宙戦艦ヤマト』がライバルになったことで、『そら』は視聴率で負けて打ち切りの危機に瀕する!」というのが、クライマックスの一山になるに違いないからですね。
あ、これはもう、僕の妄想ですよ? 僕の妄想なんですけど。「打ち切りの危機に遭うに違いない」と。
となると、この人が登場するわけですね。「のんの出番はここだ!」という予測なんですけど。
(パネルを見せる)
【画像】のんの出番予想
前回、「『宇宙軍艦ムサシ』の悪のプロデューサーとして出演するんじゃないか?」と言いました。
しかし、「NHKもそこまで冒険しねえだろう」と。「レプロエンタテインメントと、そこまで正面切って喧嘩する根性はねえに違いない」と。「元SMAPのメンバーもあんまり使わねえしな!」と。
ということは、そら役の声優として、なんか「山へ帰って来たんだよ、わーい!」という声だけやらせて、本人は後ろ姿しか映さないという、ちょっとレプロ側に気を使いつつも、「朝ドラ100作目ですから、今までの全主演女優を出します!」というのをやるんじゃないのか、と。
ということで、「のんの出番はここだ!」予想としては、僕の本命は「悪のプロデューサーとして『宇宙戦艦ムサシ』を打ち出して、『そら』を打ち切りに追いやりかけたプロデューサーとして出てくる」というのをやって欲しいんですけども。対抗としては「ちょい役の声優」くらいでしょう。
・・・
となると、最後のクライマックスは「『そら』が打ち切られるかどうか?」になるはずなんですよ。……あ、これ、僕の妄想ですよ?
そして、もう1つ「離ればなれになった妹とどう再会するか?」なんですよ。
なつには千遥っていう妹がいましたよね?
でも、あの妹の役者さんって、たぶん、16か17くらいだと思うんですけど、『アルプスの少女ハイジ』がオンエアされる頃って、なつは37歳なんですよ。なつと妹は3歳か4歳差だったから、再登場する頃には、34歳くらいになってなきゃいけないわけですね。
でも、あの妹の役者さんに34歳の妹を演じさせるのは、これはもう、無理なんですよ。
では、どうするのか? こうなると、もう「妹はその頃、既に死んでいて、残されたその一人娘は妹にそっくりだった」という設定で出す以外にないと、僕は思っているんです。
「死んだ妹の遺言を伝えにきた、残された一人娘は妹そっくりだった」とかなら、19歳で娘を生んだとしても、その時点での年齢は14歳くらいだから、可能だろうと。
ということで、「妹千遥の出番はここだ!」予想というのも作ってみました。
(パネルを見せる)
【画像】千遥の出番予想
設定としては「千遥の遺児」です。立場は「カルピス乳業の跡継ぎ」です。そして、決め台詞は「『そら』をもっと見たい!」です。
『宇宙戦艦ヤマト』……じゃないな。『宇宙軍艦ムサシ』の爆発的な人気に負けて、『そら』は打ち切り寸前になります。しかし、そこへ助けの手が伸びる。
なつの妹千遥は、実はスポンサーとなるカルピス乳業の御曹司と結婚していたんですね。こんな結婚をしたから、戦災孤児という過去を隠したわけです。
その後、跡継ぎを生んだあと死んじゃったんですけど。ここで、一人娘であり母千遥にそっくりな女の子が「『そら』をもっと見たい! 私が打ち切りにはさせません! 私に出来ることは何かありませんか?」と言いに来るんです。
その結果、カルピス一社提供の『カルピスまんが劇場』がここで誕生して、資金援助する、という話になるんじゃないかと。
さらに後には、この千遥の一人娘は、カルピス乳業……ドラマの中では名前は変わるでしょうけど。カルピス乳業みたいなところの協力を取り付けて、十勝にアニメスタジオを作ってくれる。
なつたちが勤める、理想のアニメを作れるというスタジオです。
たぶん、そのアニメスタジオの名前はスタジオシロッコというんですよね。「シロッコ」というのは、イタリア語で「熱い風」という意味なんですけども(笑)。
そして、そんな、イタリア語で「熱い風」という意味の名前を持ったスタジオシロッコは、後に、劇場アニメ『なつと千遥の神隠し』でアカデミー賞を穫ることになる。
もう、これでいいじゃん!
いや、『なつぞら』って、最終話までの撮影はもう終わってるそうだけど、「ナレーションで、なんとかこう、こっちの方に持って来てよ!」と思うんですよ(笑)。
というわけで、今週の『なつぞら』予想でした。
また来週は違うことを言うと思います。
「鈴木プロデューサー役は?」(コメント)
ああ、鈴木プロデューサー役ね。あんな悪い顔が出来る人は誰だろうね?
「鈴木さん本人がいいんじゃない?」(コメント)
そんな、酷いな。まあ、それでもいいんだけどね。
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