• このエントリーをはてなブックマークに追加

中川先生の経営学はじめの一歩

生放送

放送済みの番組はまだありません。

動画

     

ブログ・メルマガ

  • 管理会計は食える技術。

    本日の勉強はこちら。関東学院大副学長・やさビ講師、江頭幸代先生の原価計算&管理会計の新刊。 原価計算→管理会計→意思決定会計という大構造が体得できる。 初学者向けでありつつ計算問題まで用意する江頭先生の本。 1冊マスターすれば、管理会計で就職できる。管理会計は、食える技術。 管理会計、役立つ技術なのに、みんな回避するのがもったいない。学生も社会人も、専門でなくてもやるべき。 私の経験上、実務家になって一番生きた経営学分野の1つ。 その意味で、ざっくり単価・固定費・変動費がイメージできりゃいい、という私の教育アプローチも、入口戦略としては正しい…はず!

    6日前

    • 0 コメント
  • 明治期に、専門経営者が登場するという話。

    経営は、ある時期に社会的な機能として必要性から発達し、それを担うものとして経営者・マネジャーが誕生する。我々はこの事実を忘れがちになる。 チャンドラー『組織は戦略に従う』が、かつて20世紀には経営学徒にとっての必読書であった理由はここにある。「社会の発展に応じて、どういう経営機能が、どういう文脈で必要になったのか」を学び、専門経営者はこの社会のなかで何を為すべきなのかか、なぜ為すべきなのかを、体得させてくれる歴史書だった。 宮本又郎ほか『日本経営史』を久しぶりに開く。これも積読のひとつ。やさビでも教鞭をとってくださった阿部武司先生による、明治期の専門経営者の登場と、そこからの経営組織・手法の発展の節。オマージュのようにチャンドラーをなぞる構造にようやく気が付く。こんなの学部生では気が付かないでしょ笑。 とはいえ、改めて、生産管理、人事労務、財務会計など、ひとつひとつの経営機能がその現場の希求から導入されていき、発達を遂げていく様子が頭の中に再構築される。こういうダイナミズムが大切なんだと思う。理論として何百年も前から整然とそこにあるものだと捉えるのではなく、時代の中で、必要性によって...

    2024-11-10

    • 0 コメント
  • 世のスタートアップには助成金が必要だという現実。

    アマゾンとかフェイスブックみたいな稀有な例外事象に頭を引っ張られてはいけないのだという話。 スタートアップ生成には、ある程度まで政府・自治体の助成金が必要だということ。 近藤祐大(2024)「助成金を通じたスタートアップの資源獲得」組織科学57(4)37-53. 早稲田・井上さんのところのお弟子さんですね。会ったこともあるのかな? 本研究ではテックスタートアップがそのアーリーステージで助成金を得ることで、 ・チームの成熟 ・パートナーとの信頼関係構築 ・製品実用化 ・起業家自身の成熟 ・ミッション・構想の具体化 ・ビジネスアイデアの発展 ・業界での正当性 などを獲得していたことがわかった。実はこうした検証結果は米国ですら観察されることで、こんにちの技術スタートアップを育てるためには、民間の資源だけでは事足りなくなっているという実態が浮かんでくる。 政府支援で事業化をするなんて何か変なんじゃないの、という引っ掛かりは誰しも覚えると思いますが、そういう時代じゃないのだということ、技術をもって社会を変えるスタートアップには、政府支援も必要で、そういう競争枠組みになっているのだというように、理解をアップデートしなけれ...

    2024-11-07

    • 0 コメント
  • AI/生成AIはデザインマネジメントをどう変えるか

    10月は忙しかった。。 では11月以降はどうかと言えば変わらず忙しいので、つまるところ自分が「やる」と決めなければやれてないことは今後もやれないのである。 そんなわけで、10月まではコンスタントに続けられてきた積読解消…私の場合は「積み論文解消」になるのですが、手元にたまってしまった最新ジャーナルの論稿を勉強していこうと思います。 さて、本日はこちら。筑波大・立本先生のところで研究されておられる、原寛和さんの論稿。ホンダに所属されておらるようですね。 原寛和(2024)「生成AI時代のデザインマネジメント」組織科学58(1)4-19. 結論は要するにこれ。 ダブルダイヤモンドというのはデザイン思考で広く知られる概念で、問いと答えの都合2回、発散と収束をさせるべきだというもの。AIはこの発散について、人間を補助して新しいアイデアを出すのに役に立つ。 スッキリ、シンプルなまとめだ。これを知れただけで今日の勉強は価値があったと思う。さあ頑張るぞ、何日続くかな笑、勉強していこう!

    2024-11-06

    • 0 コメント
  • トゥキディデスの罠

    昔からある諺のようにも見えますが、2017年初出、アメリカの政治学者アリソンが作った言葉。 トゥキディデス。古代ギリシアの人で、アテネの軍人にして歴史家。アテネの台頭がスパルタを不安にさせたことで戦争が起こった、という意味の言葉を受け、「新興国の台頭は、新たなNo.1を目指す新興国と従来の秩序・順位を変えたくない先進国との間での軋轢を生む」として、アリソンはこの言葉を作った。 要するに米中対立は歴史の必然であると述べたのである。 実際そうだろう。世界史、日本史を紐解けば、新興勢力の台頭は常に争いを生み、新旧の交代は激しいぶつかり合いの末に起こる。戦争は歴史の必然なのだと。 ずいぶん嫌な研究成果であり命題であるが、ある種、歴史の本質をついているのだとすれば、無視はできないどころか、我々はこのアリソンの成果をよくよく噛みしめなければならない。さて、どうする。経営学も経済学も、国際政治と無縁でいられない時代だ。そんな時代に、どういう経営学を語るのが正しいのか。国際情勢を無視して、経営学の教科書を書くことが、正しいことなのか。

    2024-10-02

    • 0 コメント
  • ソローのパラドックス

    ロバート・ソロー。ノーベル経済学者。 ソロー・モデルはシンプルな数理で経済成長を表現するもので、 かつ説明力がそれなりに強いモデル。 学部時代にすごく感動した思い出があります。 そんな経済成長論の大家ソローが1970年代に、米国のIT投資と経済成長の数値を観察して述べたのが「IT投資と生産性の改善は一致しないどころか逆の効果をもたらしている」ということ。この傾向は現在でも見られ、なぜそうなるのかは論争が続いています。 米国では、生産性パラドックスと呼ばれます。日本ではソロー人気からなのかな?印象的であるゆえにソローのパラドックスという言葉が使われます。ただ、私自身はといえば「なぜそうなるのか論理が見えていない」わけですから、パラドックス=論理的矛盾、逆説という言葉は適切な用語ではないように思います。シュレディンガーの猫とかアキレスと亀みたいな論理学上の誤謬とはだいぶ違うような。 ともあれ、IT投資が社会全体として俯瞰した時、生産性改善をもたらさないというのは、大掛かりに統計を眺めていくと避けがたいことなのです。 このような現象が発生する理由については諸説ありますが、古来、生産性について言われて...

    2024-09-27

    • 0 コメント
  • 新刊発売『行動経済学超入門』

    明日、新刊発売です! 『60分でわかる! 行動経済学 超入門』 いつの間にか、世の中からは行動科学の学者として必要としてもらえることが増えてきました。 とはいえこれは大変有難いことで、実際のところあまり知られていないですが私の主要業績は行動科学分野「商業性と社会性を両立したクラファン案件に人々は投資する」だったりするのです↓ https://www.sciencedirect.com/.../pii/S0166497222000554 良くも悪くも感情ベースに、共感性で動く時代だから。 世の仕組みを知り、間違えないためにも、行動経済学を学んでほしいのです。 ちなみに世の中では行動経済学で上手に人を操るタイプの本がよく出ていますが、そうした本を出す人を私は行動経済学の学者と認めません。経済とは、経世済民。世の仕組みを整え、民を救うための学問であって、人の自由意思に侵入し、罠にはめる学問ではないのです。リチャード・セイラーが元々どんな思想でナッジを提唱したのか(あくまで主体的な決定権を残しながら選択のアーキテクチャを整えるのがナッジ)、そこのところが忘れられてしまっている。 まるで、“道徳倫理の基盤の上に”切磋琢磨する...

    2024-09-19

    • 0 コメント
  • 経済安全保障

    当社のようなごく小さな会社でも、こんにち、経済安全保障とか、ディカップリングと呼ばれるものの影響は小さくなかったりする。 たぶん、今後の企業経営の中で、国際政治というのは切り離せないものになっていくのだろうと思います。 そのような形に経営理論を変える必要があるのか。 経営の理論に、政治という要素を混ぜ込むという混色の濁りを、よしとするか、否とするか。 悩ましい問題だと思います。

    2024-09-13

    • 0 コメント
  • 小原歯車工業

    歯車界隈で現在注目の企業の成長史を明らかにした千葉敦氏の法政大学イノベーションマネジメント誌への寄稿より。 1990年、歯車界隈では珍しい標準品カタログ販売で高効率経営。 しかし、業績悪化のなかで「追加工」を行うかたちに。 それを高効率で果たすために工場の能力構築を行い、最終的に短納期の多品種少量生産に至る。 それが今度は海外市場進出を可能にし、新たな事業機会を開いている。 ニーズによって能力が磨かれ、磨かれた能力で新しい事業展開が可能になる。 能力を事業戦略に積極活用していくことで成長のダイナミズムが生まれる。 現場と経営のよいリンケージの事例。能力は高められ、それを活用して経営も積極的に動く。このダイナミズムが大切。

    2024-09-12

    • 0 コメント
  • 持続優位から一時的優位へ

    日本における国際経営論の研究テーマとして「アジア企業との競争」あるいは「なぜアジア企業に後れをとったのか」というものがある。負けるはずもない、圧倒的優位と思われていた日本企業が、わずかに数年であっという間に逆転されていく。 ほんの少し前までは、これを従来型の競争戦略論を用いて「コスト」や「差別化」などの観点で説明をしていた。中国企業よりコストでどうとか、日本企業は技術での差別化の方向性が間違っていたのだ、とか。 だが、近年は論調がちょっと変わったらしい。従来理論で読み解こうとすることが、誤りであったのだ、と。 コスト競争力や技術・ブランド等での差別化は、比較的穏やかな競争環境下で、事業環境が激変するということなど想定せずに、じっくり時間をかけて行っていく能力構築の競争である。 だが、現代の競争は、激変する環境下で、優位の源泉すら変わっていく中での、スピードある意思決定と対応力、仕掛けによる揺さぶりなどを特徴とするものになっている。 まさに、ゲームチェンジである。 この変化に対応できなかったのではないか、というのが、最近の論調なのだ。 この現実社会の動きに呼応するように、アカデミアの...

    2024-09-08

    • 0 コメント