岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/10/26
今日は、2019/10/06配信の岡田斗司夫ゼミ「味を超越した“文化としてのハンバーガー論”」から無料記事全文をお届けします。
スーツと引っ越し
【画像】スタジオから
はい、こんばんは。10月6日、10月最初の岡田斗司夫ゼミです。
なんとかアロハから脱してスーツに戻りました。そしたら、スーツの前のボタンが留まらなくなっていて。まあ10月中は留まらない状態でもいいとして、11月になったら、ちゃんと留まるようにしたいと思います。
やっと涼しくなってホッとしました。
仕事場の引っ越しが始まって、やっとジブリ関係の本が1箇所にまとまってきた感じですね。
家具はIKEAなんですけど、テーブルはIKEAの電動式のスイッチを押したら上がったり下がったりするやつにしました。これで、やっている仕事によってテーブルの高さ変えるということをやってみようと思います。
まだね、パソコンは全然出してないんです。箱に入ったままなので。来週の『バットマン』の資料は全部仕事場の方だから、明日から仕事場で仕事しようと思ってるんですけど、ノートパソコンを持って仕事に行く感じです。
一応、一軒家なので「将来はここで博物館をしたいな」という野望も持っておるという話であります。
『宇宙戦艦ヤマト』オープニングがいかに優れているか
【画像】スタジオから
じゃあ、最初はこいつの話からしましょう。
(机の上のヤマトの模型を見せる)
【画像】ヤマト模型
おっ、いいね。ご機嫌。「1つの砲塔を動かすと、全部が連動する」というこの感じですね。
今日はヤマト記念日ということで、『宇宙戦艦ヤマト』の初放送が1974年の10月6日なので、今日でちょうど45周年なんですね。
『ヤマト』については、そのうちゆっくり話したいと思ってるんで、今日はさわりだけ。『宇宙戦艦ヤマト』のことを少しだけ話したいと思います。
やっぱね、『ヤマト』のデザインなんですけど。デザインのすごさは松本零士の功績ですよね。
(模型を見せながら)
【画像】ヤマト第3艦橋
この「第3艦橋」と言われている部分の説得力というのかな? これ1つあるおかげで……なんだかんだ言って、宇宙戦艦ヤマトって戦艦大和なんですよ、やっぱり。下半分が赤く塗ってあって、上と下がキッパリあって「これのどこが宇宙戦艦なんだ!?」って思うんですけど。
ところが、この一番下に第3艦橋と言われているブリッジ(指揮所)が1つついているだけで、なんか、これ、この形だったら着陸できないんですよね。なので「ずっと宇宙にいる」という感じが出てて、なかなか見事なデザインだと僕は思ってます。
本当にね、好きなデザインなんですよ。
その他にも……これを出すのを忘れてた。
(パネルを見せる)
【画像】『宇宙戦艦ヤマト』タイトル
初っ端から、ちゃんとタイトルのフリップを出しておけばよかったな。この「宇宙戦艦ヤマト」というロゴも好きなんですけどね。まあ、その話はそのうちするので、置いといて。
あとは、『宇宙戦艦ヤマト』のメインブリッジ、第1艦橋の内部のレイアウトですよね。
(パネルを見せる)
【画像】ヤマト第1艦橋 ©東北新社
この「上に大きいモニター、スクリーンがあって、人がいっぱいいて、艦長が1段高いところにいる」っていうデザイン。
やっぱり、このヤマトのブリッジを見ると「『機動戦士ガンダム』に出てくるホワイトベースのブリッジというのは、これのアンチだ」というのがよくわかります。
ヤマトのブリッジのデザインが、もう、あまりにもよく出来過ぎていて、カッコ良過ぎるので、どうにか違うものを見つけよう、違う雰囲気を見つけようとしたと思うんですけど。これが出来過ぎていたために、なかなか違うものを見つけにくい。その結果、ホワイトベースは、これの反対を選んだデザインになっています。
この辺は、まあ、そのうち宇宙船のデザイン講座みたいなことをやりたいと思いますので、そっちの方で話してみようと思います。
あとは、まあ、イメージのすごさですね。
(パネルを見せる)
【画像】第1話ラストシーン ©東北新社
これは『宇宙戦艦ヤマト』第1話のラストシーンですね。
九州の沖に沈んだ戦艦大和。しかし、この時代には、地球の海はガミラスの放射能爆弾の攻撃によって、真っ赤に干上がっている。そんな中、夕日が沈む。
古代進と島大介の2人は「こんなところにガミラスはいったい何を偵察に来たんだろう?」と見に来て、この戦艦大和の残骸を見つけ、愕然とするというラストシーンなんですけど。
ものすごいカッコいいですよね? 僕、このカットがあまりにもカッコよかったので、『宇宙戦艦ヤマト』の再放送の時、テレビの前に35ミリの一眼レフを構えて写真を撮って、それを自分で引き伸ばしたものを、15年くらい、自分の部屋の一番良いところに飾ってました。それくらい、僕が好きなシーンです。
やっぱり、この滅亡感。地球が滅亡して「もう人類はダメなんじゃないか?」という感じを出しつつも美しいシーンというのは、難しいと思うんですけど。それを可能にしたという名シーンですね。
もう1つ、「地球が滅亡しているのに~」という意味では、同じく第1話のこのカット。
(パネルを見せる)
【画像】真っ赤な地球 ©東北新社
沖田艦長が「ダメだ。もう我々は勝てない」と言っている時に、この真っ赤になった地球が映るんですね。
これ、「地球がもう滅びつつある」という状況をたった1枚の絵で表現しているんですよね。これ以上のビジュアルというのは、僕、世界の映画史上に存在しないと思っているんですけど。
「地球が滅びている」という状況を説明するためには、やっぱり、何段階かの絵を見せないと絶対に表せないんですけど。これをポンと1枚出して、それを説明している。この真っ赤な地球に雲が適当にかかっているところで「ああ、巨大な惑星なんだな」と思わせて、そこに砂漠化した日本列島みたいなものを見せることによって「ああ、これが地球なんだ……」という、絶望感を伝えるというのが、やっぱり、すごい上手いと思います。
本当に、世界の映画史上、これ以上のビジュアルというのはないと思うんですけど。
・・・
まあ、ここからは「僕の好きな『宇宙戦艦ヤマト』のオープニングが、いかに素晴らしいか」という話なんですけども。
もう本当に、今日は『宇宙戦艦ヤマト』の話がしたいんです。
映像のすごさで言うと……まず、歌から始めますね。この主題歌って、前奏が長いんですよ。
「チャーン、チャッチャ、チャーン、チャッチャ、チャッチャチャーン、チャカチャ、チャチャチャチャ、チャーン、チャカチャ、チャーン♪」って。まだ前奏が終わらないですよ。「チャーン、チャッチャ、チャーン、チャン、チャーン、チャッチャ、チャーン、チャン♪」まだ始まらなくて「チャカチャ、チャカチャ、チャカチャチャーン、チャチャン♪」と来て、いきなり「さらば~♪」って始まるんです。
この前奏の長いフリの後、「さらば、地球よ、旅立つ船は、宇宙戦艦~♪」って。またここで溜めるんですよ。「宇宙戦艦~(パパパパー)♪」という風にトランペットが入って、で、「ヤー、マー、トー♪」と。
この「ヤー、マー、トー♪」の3文字のところだけ、男性コーラスが入るんです。
で、最初、佐々木功のボーカルで始まって、男性コーラスが入るから、てっきり「これは男臭い歌かな?」と思ったら、次の展開部「宇宙の彼方、イスカンダルへ~♪」というところで、佐々木功の歌声に、今度は女性スキャットが重なるんです。
女性スキャットが「宇宙の彼方、イスカンダルへ、運命背負い~♪」ってほぼ同じメロディラインのところに「アーッ、アーッ、アーッ♪」って、上がりながら入ってくるから、なんかこうゾクゾクするんですよね。
「宇宙の彼方~♪」と歌っている時に、画面に映るのは、ヤマトのブリッジ。
(パネルを見せる)
窓から見えるのは、沖田艦長と、古代、島、森雪の4人です。
そこからカメラが下がって行くと……これ、ごめんなさい。画像の順番が間違ってました。真ん中のが一番目で、上のが2番目ですね。
(パネルを見せる)
【画像】艦橋に立つ4人 ©東北新社
カメラが下がって行くと……まだ何が映っているのかわからないですね。実はこれ、ヤマトの艦橋構造物が映ってるんです。
(パネルを見せる)
で、「宇宙の彼方、イスカンダルへ、運命背負い、今飛び立つ~♪」まで行って、ようやっとヤマトの全貌が見えてくる。
【画像】ヤマトオープニング ©東北新社
この「運命背負い~♪」の時には、ヤマトの主砲が目の前を通り過ぎて行って、目の前が少し混乱するような映像になるんですけど。
しかし、「今飛び立つ~♪」に入ったところで、やっと全身が見えたと思ったら、今度はこの船体が右へ傾くんですね。「えーっ?」って思うんですよ。
この部分の作画、でも、本当にすごいんですよ。「宇宙の彼方、イスカンダルへ~♪」で、この艦橋の艦長席のドアップからカメラが下へ降りてきて……メチャクチャ複雑な形を描いているわけですよ。
主砲の砲塔の間をカメラが通って……この時、砲塔も同時に動いているんです。船の前の方までカメラが行って「今飛び立つ~♪」で、全身が見えたと思ったら、この船体が右へゆっくりと傾き始める。
【画像】ヤマトオープニング ©東北新社
そして「必ず、ここへ~♪」の歌詞になったら、こいつが加速し始めるんですね。
加速する直前に、このヤマトという宇宙船は、船体を右へ傾けている。つまり、これで「右旋回しつつあるところだ」というのがわかるんですよ。
これをですね、その1カットで見せているんです。
この模型でいうと……すみません、わかりにくくて。
(模型を使って解説する)
【画像】ヤマト模型
最初は、こういう状態になっているわけですね。この位置から始まって、カメラがゆっくりとここを通って、動き続けるこの第2砲塔の砲身の間を通って、前へ行って、ここまで来ると、ゆっくりと船体から右へ傾いていて、加速が始まるという、かなり複雑なことをやっているんです。
だけど、あんまり、そこら辺を「この時代に、こんな難しいものを手書きで動かすことのすごさ」というのを、あんまり見てくれる人がいないんですけど。
で、「必ずここへ~♪」の部分です。
さっきの「運命背負い、今飛び立つ~♪」という歌詞の時には、画面に映っているものと歌詞とが合ってるんですよ。
でも、「必ずここへ~♪」って時は「あれ? 歌詞と絵が合ってないぞ」と思うんですけど。そうすると、ここで、さっきのブリッジの絵が映るんですね。
(パネルを見せる)
ここは「必ずここへ、帰ってくると、手を振る人に、笑顔で応え~♪」という歌詞なんですよ。
その歌詞とこのシーンの何が合っているかというと、ここで映るブリッジには徳川機関長という人がいて、ちゃんと手を挙げて、挨拶してくれてるんですよ。
つまり、「必ずここへ、帰ってくると、手を振る人に~♪」という、人間ドラマっぽい、湿っぽい歌詞の時には、ちゃんと人間のいる空間を映すというような配慮をしているんです。
「宇宙の彼方、イスカンダルへ~♪」という時は、宇宙空間を進むヤマトを映し、「帰ってくると、手を振る人に、笑顔で応え~♪」のところでは徳川機関長を映して、焦らすわけですよ。
そして「笑顔で応え~♪」の「え~♪」と盛り上がるところで、ヤマトが半分土の中に埋まっているところからドーンと上がってくるという盛り上がりを見せるわけですね。
この「笑顔で応え~♪」というところで「ウーッ、ワーッ♪」という男性コーラスが入るんです。
まあ、こうやって歌を無理矢理、言葉で説明するのは難しいんですけど。「笑顔でこた~♪」の辺まで、男性の声で「ウーッ♪」って入ってて「応え~♪」で上がったところで「ワーッ♪」って。これ、あとでYouTubeでオープニングを探して見てください。
男性女性のコーラスの切り替えも、メチャクチャ上手いんですよ。つまり「どの部分で男性なのか? どの部分で女性なのか?」という使い分けの際に、勇気が出そうな歌詞は男性が、そして、宇宙空間を自分達だけで旅しなきゃいけないという不安さが出ている歌詞の時には、女性の「アーッ、アーッ、アーッ、アーッ♪」というコーラスが入るという、この上手さがすごいですよね。
で、最後「銀河を離れ、イスカンダルへ~♪」という時は、ヤマトは、もう後ろ姿が見えているだけ。ヤマトのお尻と星空が映っていて、ヤマトが段々段々と小さくなるだけなんですね。
ここでは、また、女性コーラスで「アーッ、アーッ、アーッ、アーッ♪」ってかかってて、ちょっと寂しい感じを出しています。
そして「はるばるのぞむ~♪」という、「おっ盛り上がってるぞ! サビの最後だぞ!」という感じで「宇宙戦艦~♪」まで行ったら、最後「ヤー、マートー♪というところだけ、佐々木功のボーカルに、また男性コーラスの「ヤー、マー、トー♪」というのがついていて。
「わあっ、勇ましくなった!」と思ったら、「ヤー、マー、トー♪」の「ト」の音と同時に、女性の「アーッ、アーッ、アーッ、アーッ♪」というスキャットがエンドレスでかかって、また、なんだか寂しい切ない感じに持って行く。
もう本当にね、曲も名曲ですし、この絵の合わせ方もあまりに上手くて。
『宇宙戦艦ヤマト』って、自衛隊とかがよく演奏してくれたり、あと「アニメソングの傑作を見せます!」みたいなテレビ番組で、佐々木功さん本人が出てきて歌ったりするんですけど。
やっぱり、このテレビ尺の、コーラスとかが完全に入ってるやつが一番良いんですよ。
あの、やっぱりね、生のボーカルとか、オケをオーケストラにしたバージョンってね、このスキャットの声が小さすぎたり、男性のコーラスのタイミングが変わってたりするから、違うんですよ。
そうじゃなくて、一番最初のテレビ尺の『宇宙戦艦ヤマト』が、男性コーラスの入る場所、女性コーラスの入る場所、ボリュームのバランスまで、全て完璧なので「皆さんは是非こっちを見てください」という、60男からの心からの忠告でした。
僕は、テレビアニメの歴史上、一番優れている最高だと思う作品は『機動戦士ガンダム』なんですよ。
もう本当に、テレビアニメの歴史上、一番すごいと思う作品は『機動戦士ガンダム』だと思っているし、その次は『ガンバの冒険』かなとか、色々思うんですけども。
ただ「一番好きなアニメは?」と聞かれたら、もう、1も2もなく「『宇宙戦艦ヤマト』です!」って、僕は答えるんですね。
テレビ版のこの『宇宙戦艦ヤマト』が、あらゆるアニメの中で、僕は一番好きなんですよ。「好き」という意味で。
なので、皆さんにも『ヤマト』を味わっていただきたいなと思います。ちょっと、そんなふうに語ってみました。
『ヤマト』については、もう少し語りたいので、申し訳ないけど後半で語ります。よろしくお願いします。
ハンバーガーについてお便り紹介
【画像】スタジオから
じゃあ、今日の特集のハンバーガーです。
ハンバーガーについてお便りを貰いました。ハンドルネームコウコウ(koukou)さん。
私にとっての初めてのハンバーガーはモスバーガーです。
ああ、モスバーガーね。
私の地元(福井)では、確か中学1,2年生の1980年~81年頃にモスバーガーが初めて出来て、その頃はまだマクドナルドはありませんでした。
地方あるあるですね。
田舎育ちなので、中2頃に初めて友達同士で駅前に買い物に行って、帰りのバスを待つ間、ドキドキしながら「モスバーガー」を食べました。
マクドナルドが地元に出来たのは、5年くらい経った、1985年(昭和60年)頃でした。
駅前にあった「モスバーガー」も「マクドナルド」も、10年前くらいに店じまいして、今は郊外店や、ショッピングセンターにあるだけです。
田舎の駅前は今はそんな寂れた感じです。
そうですね。「いつ自分の街にマクドナルドが来たのか?」とか「モスが来たのか?」とか「ケンタが来たのか?」って、やっぱりあるじゃないですか。
東京に住んでいると、そういうことを感じないんですけど。やっぱり、地方に住んでいると「どのファーストフードが自分のところに来たのか?」っていうのが、あるあるでね。やっぱり、思い出すといい思い出なんですね。
コウコウさんには、新しいステッカーあげます。
(ステッカーを見せる)
【画像】新しいステッカー
これ、新しいステッカーです。ハンバーガー特集ということで、ちょっと太った自分を「『かりそめ天国』のマツコ・デラックスのイラストをパクってくれ!」とイラストレーターにお願いして、完全にパクった感じに作って貰いました(笑)。
このステッカーを差し上げます。
僕も、モスバーガーじゃなかったんですけど、一番最初に近所に出来たのが、沢ノ町という駅に出来たドムドムバーガーで。僕はそこに散々通ってました。
まあ、マックがなかったから我慢してたんですけどね。
・・・
次は、ペンネーム麻ぴー最高さんからのお便りです。
ハンバーガー、それは『ポパイ』のウィンピーが食べてるモノ。
当時6歳以下だった自分にとって、ハンバーグは未知なる食べ物で「それがパンに挟んである!?」という、ほんとにおいしそうに見えて食べたい食べ物でした。
幼稚園での昼食時、友達の弁当にハンバーグなるものが入っているのを見て、すごくいい匂いでおいしそうに見え、どうしても食べたくなって、家に帰って母に「アレが食べたい!」と必死で訴えました。
『ポパイ』でハンバーガーの名称は知ってはいても、実物は見たこともないし、それこそがパンに挟まってたハンバーグだと気が付くはずもなく、「アレがどのような食べ物か」「お肉でできた外見」とか「ケチャップがかかってた」とか、なんとか説明したのだと思います。
後日、ほんとうにハンバーグを作ってくれて、お弁当にも入れてくれて、それがほんとにおいしくて、強烈な記憶として残っています。もうじき58になりますが、今でもハンバーグは大好物です。
ああ、もうあるあるですよね、これ。
あのね、僕みたいな昭和30年代生まれの人間というのは「いつコカ・コーラが入って来たか?」とか「いつピザが日本に入って来たか?」とか「ピザの前にはピザトーストというのが喫茶店で入った」とか「ハンバーガーが来た」「チキンが来た」というのが、本当に鮮明な記憶としてあるんですね。
それが後ろの方になって、平成生まれの人になってきたら、「いつタピオカが来た」とか、そういう記憶に変わっていくのかもわからないんですけど。
こういう話、僕ね、わりと好きなんですよ。なので、ステッカーを差し上げます。
「ウィンピー」と言われてもピンと来ない人もいると思いますけど、『ポパイ』の中に出て来る、こういう、ちょっとダサいオジサンのキャラなんですね。
(パネルを見せる)
【画像】ウィンピー
このウィンピーというのは、ハンバーガーが好きで、バーベキュー用のグリルで焼いているのを食べてたんですけど。本当に、何を食べているのか全くわからないわけですね。
当時の『ポパイ』って、モノクロのアニメだから、余計に色がわからなくて「何を食べてるんだろう?」と思ってたんですけど。
・・・
ペンネーム海じじいさん。
岡田さん、ハンバーガーのお話楽しみにしています!
日本でハンバーガーの売上に最も貢献したのは、スレッガー・ロウ中尉と狸だと思っています!
特に『ぽんぽこ』を見た後は、マクドナルドにダッシュしたくなります!
ああ、スレッガー中尉のことを忘れてたな。
確かに、『機動戦士ガンダム』で、ソロモン戦いの途中で、燃料補給に来たスレッガー中尉がハンバーガー食べているシーンがありましたよね。
(パネルを見せる)
【画像】スレッガー中尉 ©創通・サンライズ
ただ、このハンバーガー、美味しくなさそうなんですよ。というのは、パンがやたら硬そうで。「ああ、これ、軍の支給のハンバーガーで、おまけに自動販売機から出てくるようなやつだから、パンが硬いんだろうな」と。
スレッガー中尉も、ものすごい力こめて、こう、むしり取るように食べてたんですよね。それが印象的でした。
『平成狸合戦ぽんぽこ』のハンバーガーのシーンは、食べ方が小汚くてあんまり美味しそうに見えないんですけど。
(パネルを見せる)
【画像】『ぽんぽこ』 ©1994 畑事務所・Studio Ghibli・NH
でも、確かに見た後に、マクドナルドとかのジャンクな感じがするようなハンバーガー、それも一番安いような、ノーマルのハンバーガーかチーズバーガーが、やっぱり食べたくなりますね。
「狸ってハンバーガー食えるの?」(コメント)
狸は基本的に食べますよ。
あれね、実話だったんじゃなかったかな? 「所沢かどこかでゴミに出されたハンバーガーを狸が食べていた」というニュースがあったと思いますよ。
ステッカー差し上げます。
この他にも、アニメの中の食べ物って、『ハイジ』のチーズとか、あと『カリ城』のパスタとか、『ラピュタ』の目玉焼きトーストとかがあるんですけど。
それに比べれば、スレッガーさんのハンバーガーは、あんまり美味しそうじゃなかったんですね。
存在しなかったアメリカ料理とその土台の歴史
【画像】スタジオから
ということで、ここからは「試験に出るハンバーガー年表」というのを見てみましょう。今日ハンバーガー特集なので、ハンバーガー年表ですね。
(パネルを見せる)
【画像】ハンバーガー年表
19世紀末にハンバーガーが誕生して、まあ、いろんなところがあるんですけども。
この中で大事なこと、皆さんに覚えておいていただきたいことが、1876年のフィラデルフィア万国博覧会です。
(パネルを見せる)
【画像】フィラデルフィア万博
このフィラデルフィア万国博覧会でアメリカンチョッパーと言われる挽き肉器が発売されました。
それまで挽き肉というのは、肉屋が鋭い包丁で、デカい肉の塊をこそげ取るようにして作ってたんですね。なので、挽き肉って、作るのが結構大変だったんですよ。
そんな中、この19世紀末のフィラデルフィア万博で、手回し式の挽き肉器というのが発表された結果、5年か10年くらいでアメリカ中に広まったんです。
やっぱりね、肉屋さんも苦労してたんですよ。というのは、柔らかくて美味しい肉は売れるんだけど、硬い肉とか、すじ肉とか、内蔵みたいなものは、やっぱりなかなか売れないんですよね。
それを挽き肉にして他の肉に混ぜると、まとめて柔らかい肉として売ることが出来る、と。
というわけで、万博で発表されたアメリカンチョッパーと、他にもパシフィックチョッパーというメーカーもあったそうなんですけど、こういった挽き肉器は、あっという間にアメリカ中に普及しました。
・・・
19世紀末には、一応、焼いた挽き肉をパンに挟んだハンバーガーという料理が誕生したらしいんですけど。
アメリカ中に「うちこそが元祖だ!」と言う店があるんですよ。
例えば、1880年にテキサス州アセンズで、同じ頃にウィスコンシン州シーモアで、1885年にはニューヨークで「うちが最初だ!」って言うところがありますし、1900年にはコネチカット州のニューヘブンという土地にある店が「うちが元祖だ!」と言ってます。
こんなふうに、アメリカ中に「うちの街が~」とか「うちの店が元祖だ!」と言うとこがあるんですけど。
【画像】ルイーズ・ランチ(「別冊Lightning vol.49 ハンバーガーの本」枻出版社より)
まあ、一応、コネチカット州ニューヘブンにある、1900年に作ったというルイーズ・ランチという店が、当時の調理器具とか写真とかがそのまま残っているので、証拠を辿っていった場合、ここが最初と言えるかもしれません。
それ以前の、1885年とか1890年にやったというところもあるんですけど、証拠がないんですよね。
その点、このルイーズ・ランチは「当時、幌馬車のワゴンでステーキサンドイッチを売っていて、そこでハンバーガーを始めた」という証拠があるので、まあ、ここが最初じゃないかと思います。
・・・
こういうふうに、ハンバーガーというのは、アメリカ料理の代表みたいなものなんですけど。
この「アメリカ料理」ってね、実はちょっと難しくて。もともと、アメリカ料理なんていうものは存在しなかったんですよね。
正確に言うと、黒人料理とか、インディアン料理……これは「いわゆるインディアン」ですね。アメリカ原住民のことです。そういうものは存在するんですよ。ところが、アメリカ料理というのは存在しなかった。
なぜかと言うと、ヨーロッパ人がアメリカを発見してから、この新大陸アメリカに来たのって、みんな金儲け目的の人らばっかりだったんですよ。
投機目的の農場主が来たわけですね。それも、大部分が不在農家というやつで。ヨーロッパでアメリカの土地の権利を買ったり、もしくは船団だけを出したんだけど、実際に米国に来るのは大金持ちに雇われた手下とか、身分は低いけれど信頼されている召し使いだったんです。
そんな人らがアメリカ大陸まで来て、もう本当に追放みたいに一方通行で送られて、アメリカの現地に着いてから、アフリカの奴隷を買いまくって、現地で農業を始めるわけなんですよ。
なんかね、すごい特殊でしょ? アメリカという国は建国時点から、なんかすごい特殊なんですけど、その理由は、まず「ほとんどが金儲けで来る人ばっかりだった」ということなんですね。
金儲けで来る人達というのは、現金を持っているので、それで黒人奴隷を買って農業を始めようとするんです。
ところが、その農業というのはサトウキビの栽培なんですよね。小麦じゃないんですよ。
「小麦みたいに、自分達が食えるものを作って自活していこう!」というのではなくて、完全に貿易目的、金目的なんですね。金目的なので、使える土地には全部サトウキビを植えちゃうんですよ。
だって、全員召し使いですから、主人に命令されているわけですよ。「とりあえず、土地を耕したら、そこにはサトウキビを植えろ!」と。「サトウキビを作っとけば、ヨーロッパでメチャクチャ高く売れるから、とにかくサトウキビ作れ、作れ!」と言われているんです。
しかし、そういう人達が「ああ、サトウキビを作るのか。俺たちが食べる食料は、まあ、現地に行ったらなんとか買えるだろう」なんて思ってたんですけど、この時点でのアメリカには、まだ農産物の取引市場なんか成立してないので、手に入らないんですよね。
なので、食べるものにいきなり困っちゃって。さっきも言ったように、小麦の種も持って来ていませんから。
とりあえず、サトウキビをヨーロッパに輸出して儲かるんですけど、その儲けた金は、やっぱり「農園をどんどん広げて、奴隷を買って~」というふうに使われるわけですよ。
仕方がないから、インディアン達、現地の原住民からトウモロコシの調理方法を聞くんですね。
トウモロコシというのは、ヨーロッパ大陸ではみんな見たこともない食材で、下手に加熱すると弾けてポップコーンみたいになってしまうし、粉を作るにも、小麦とは全然勝手が違うんですね。なんか、こう、小麦よりもずっと固まってて、おまけに粘り気もあるし、湿ってるし、扱いにくくて扱いにくくてしょうがない。
「これどうやって食べたらいいんだ?」というのも、まずインディアンに聞くしかなかったんです。
と、同時に、アフリカの奴隷を買って来る時というのは、前からいる奴隷に混ぜるわけですね。現地のアフリカ奴隷に。
最初にアフリカから来た奴隷たちというのは、アメリカ大陸に来て、もう10年20年も経っているので、アメリカでの暮らしに慣れてきているわけです。
なので、アメリカ原産の作物を使って、なんとか食い物を作る方法がわかってきている。
ここで、黒人の奴隷料理というのが生まれて来るわけですね。アフリカは、もともと、アジア圏のような米食文化なので、彼らは米をちょっと持ち込んだりしてたんです。
そういう、ヨーロッパ人にとっては「なんじゃこれ?」というような、米文化とトウモロコシ文化、それぞれインディアンと黒人が持ってた文化というのが混ざってきて、徐々に徐々にアメリカ料理の土台が出来つつありました。
アメリカ料理のベースとなった食材、料理人、調味料、労働者
【画像】スタジオから
このアメリカ料理ってのは面白くて、これに限らず、基本的に「その後に来たドイツ人」「その後に来たポーランド人」「その後に来たイタリア人」というふうに、新しく来たいわゆるイギリス人が差別するような人達から、次々に料理法を教えてもらって、取り入れるんですね。
もともとあったイギリス料理というのは、もう、影も形もなくなって来て、全部、後から来た奴隷とか、もしくは貧しい移民たちの料理というのが混ざっていった結果、アメリカ料理というのが出来ていく。そこら辺が特殊なところだと思います。
さっきも言ったように、ヨーロッパから来るのは、投機目的の商売人に雇われた農夫か、または、カソリックの締め付けが厳しくて逃げてきたピューリタン(清教徒)か、そんな人らしかいないんですよ。
つまり、とにかく、圧倒的な料理人不足でもあったんですね。
これも特殊なところで。人がこんなに来ているのに、ヨーロッパ人が食べる小麦がなく、採れる魚も、採れる肉も、バッファローの肉みたいな、それまで見たことのない食材ばっかり。そんな中で、料理人が圧倒的に少ないという状態が、まず、アメリカの建国から100年くらい続くわけです。
この100年くらい続いている状態で、さっきも言ったように、奴隷歴が長い黒人や、現地での料理に慣れている人に、トウモロコシとかバッファローの料理をやらせて、徐々に徐々に「黒人が料理を作る」という文化が出来ていく。
つまり、西洋と違って、奴隷から上がって来て、家の中に入って来た「ハウス奴隷」とでもいう人達が、調理を担当するようになってきたわけですね。
このような「ヨーロッパから来た本職の料理人がいない」、あと「未知の食材ばっかり」という条件によって、インディアンや黒人の料理を、なぜか白人までもが食べるようになってしまうという、アメリカ料理のベースが出来上がりました。
・・・
しかし、そんな中、唯一定着しなかったのが、最初期の移民であるイギリス人のイギリス料理なんですよね。
それはなぜかというと、アメリカへの入植が始まってから、50年か100年くらい経った時に独立戦争が始まって、これによってアメリカ全土に「愛国ブーム」というのが起こったんですね。
まあ「愛国ブーム」と言うか、ハッキリ言って「アンチ・イギリスブーム」なんですよ。「とにかく、イギリス製のものは食べない、飲まないことが愛国的だ!」という国民運動が、独立戦争の時にザッと広がった。
そのおかげで、みんなウィスキーを飲まなくなったんです。「ウィスキーでない! 俺達はアメリカ人だ! アメリカ的な飲み物はないのか!?」という時に「トウモロコシから酒が作れるぞ?」って、またインディアンが教えてくれたんです。その結果、バーボンを作ったわけですね。
なので、『キングスマン』に出てくる、アメリカ版の諜報員、ステーツマンの本拠地がバーボンの工場なのは「バーボンこそがアメリカの酒だ!」と言われているからで、それは、元を辿ればアンチ・イギリスなんですよ。
とりあえず、「俺たちはウィスキーなんて1滴も飲まない!」って言ってたんだけど、ワインは作れないので「なんとか俺たちでも作れる酒はないか?」ということで、バーボンなんです。
あと、紅茶についても、入植初期のアメリカ人は結構飲んでたんですけど、独立戦争の辺りから、これまたやっぱりアメリカ人は意地でも紅茶を飲まなくなって、その結果、まだ未知の飲み物だったコーヒーというのをやたら飲むようになったんです。
「西洋文化の中で最も紅茶を飲まない国・アメリカ」というのが成立したのは、独立戦争で「イギリス憎し! メイド・イン・アメリカ万歳!」という運動が10数年続いたからなんです。
その結果、「バーボンとコーヒーの国・アメリカ」というのが出来上がったわけです。
・・・
まあ、しかし、ついにそんなアメリカにも、本当のアメリカ料理が誕生する時が訪れます。
それが、19世紀末。この当時、ある万能調味料が現れました。
中国とか日本との貿易を始めたヨーロッパ人は、ビックリしたんですよね。「東洋には万能調味料がある!」と。
例えば、彼らは塩コショウにしても何にしても、ソース類にしてもそうなんですけど、台所で使う調味料と食卓で使う調味料は別だったんですよね。
ところが、東洋には醤油というのものがある。醤油というのは何かというと、台所で使うことも出来れば、食卓に置いてそのままかけることも出来るという、そういう万能の調味料なんです。
「そんな万能の調味料が我々西洋の料理にも欲しい!」と。
まあ、ヨーロッパの方では、食材とかが豊富だから、そこまで切迫してなかったんですけど。
しかし、アメリカでは、今言ったように、とりあえず、食材があまりにも変わっていたし、プロの料理人もほとんどいなかったので、万能調味料というのが必要とされたんです。
その結果、ヨーロッパには全く存在しない野菜だったトマトというのを使ったケチャップなるものが誕生しました。
ケチャップが発明された場所自体は、たぶんヨーロッパらしいと言われているんですけど。アメリカで急速に普及したんです。
それはなぜかと言うと、「ドイツ系移民が増えたから」なんですね。
ドイツ人の食事というのは、またヨーロッパの中でも特殊なポジションで。「食卓に必ず酸っぱいものがないとダメ」なんです。キャベツの酢漬けみたいな酸っぱいものが。
ところが「アメリカで手に入るものでは、酸っぱいものがなかなか作れない!」と。そんな中、トマトをソースにしたケチャップというのを作ったら、「これはちゃんと酸っぱいし、まあ、ギリいける!」と。
おまけに、煮込んでもよし、直接かけてもよしということで、ケチャップというのが、ドイツ系移民を中心に、アメリカ中に普及した。
これにて「何にでもケチャップをかける」というアメリカ料理の基礎が出来上がるわけですね。
他にも、ドイツ移民たちは「もっと酸っぱいものはないのか?」ということで、それまで台所ではちょっと使う程度だったマスタードというものまでテーブルに置くようになり、これをガンガン食べるものにのっけたりするようになりました。
つまり、マスタード(辛子)という調味料が、台所から食卓へ上がってくるようになったんです。
と同時にピクルスというものが開発されたんです。「キュウリを酢漬けしておいたら、ドイツ料理っぽくなるよ!」と。「だったら、とにかく何でもかんでもピクルスを入れちまえ!」と。「まあ、本当のドイツ料理じゃないけど、そうすれば、ドイツ料理に段々近づいてくる!」ということで、これが流行りだしたんです。
その結果、マスタード、ケチャップ、ピクルスという、いわゆるハンバーガーの3種の神器がようやっと揃ったわけですね。
・・・
そこにダメ押しで来たのが南北戦争です。
……すみません、ハンバーガーにまだまだ話がいかなくて。もう30分を超えてるのに(笑)。
そこでダメ押しで来たのが南北戦争(シビル・ウォー)。南部の農業主義と、北部の工業主義。この2つが戦ったわけですね。
このゼミではよく話してるんですけど、この南北戦争というのは、いわゆる奴隷解放戦争というよりは「奴隷ビジネスである巨大農業対奴隷と、それを排して、黒人を全て消費者にした上で工場で働ける人手として考える工業主義の戦い」だったわけなんですけど。
結果、北部の工業主義が勝ち、南部の巨大農園というのは、次第に分割されて、アメリカは工業国への道を歩みはじめました。
すると、何が変わるか?
それまでは「巨大農地」と言っても、しょせん、みんなは農地の周りに住んでいたんですよ。つまり、それ以前のアメリカ人の大部分は、奴隷を含めて職場の近くに住んでいたんですね。農地を耕して生きていたから。
ところが、工業化によって次々と生まれた工場というのは、街の近くにあったり、川の近くにあったりするもんだから、必ずしも、住んでいる家の近くにはないんですよ。
それまでのアメリカの普通の人というのは、農地の近くに住んでいた。イコール、お昼になったら、一度、家に帰って、ご飯を食べて、また農地に行くわけですね。だって、近くに住んでいるんですから。
ところが、工場で働くようになると、職場に行って帰ってきたら、やっぱり今と違って電車とかがないので、平気で1時間以上かかっちゃうわけですね。
当時の工場の休み時間って、1時間弱、40分くらいと言われていたので、もう家に帰ってご飯食べることは出来ない。
じゃあ、家から持って来たものを食べるのかと思っても、当時の食料というのは保存品質とかが悪いから、パンみたいなものかリンゴとかなら持って来れるんですけども、本格的なサンドイッチとかは、途中で痛んじゃって、なかなか持ってくることが出来ない。
なので、「アメリカ中に屋台が溢れかえった」と言われています。
工場の周りは屋台だらけ。街の道路という道路は屋台でいっぱいで、馬さえも通れないような状態だったんですね。
こういう、アメリカの、街中、屋台がいっぱい並んでいる風景って、あんまり写真が残ってないので、見たことがない人が多いんですけど。当時の資料によると、とにかく工場で働く人はみんな屋台で昼飯を食べるしかないから、とんでもない数の屋台があったらしいんです。その中でご飯を食べていたと。
そこで売れてたのは、サンドイッチとか、ソーセージとか、あとはベーグルとかなんですけど。ベーグルはユダヤ人が食べるんですけどね。
ベーグルって、調理工程の中で1回茹でるんですよ。すると、茹でるイコール水の中をくぐらすことによって、ユダヤ人にとっては「戒律を守った食べ物」になる。なので、ベーグルというのはユダヤ人が支持する食べ物だと言われているんですけども。
その中でも、一番売れたのが、当時、ようやっと牧畜が発達してきた結果、いっぱい増えた肉牛を使った、牛肉の塩漬けとか、牛肉をいっぱい使ったビーフサンドイッチでした。
・・・
さて、ビーフサンドイッチというのを屋台で売るんですけども、困ったことに、その当時の貧しい人というのは、歯が揃ってないんですよ。
これまた意外なんですけど、「当時の労働者の歯の数は平均4本」と言われてて……本当にね、あの国、面白すぎるんですけど(笑)。
みんな、歯の数が4本か5本くらいしかないんですよ。なので、ビーフサンドイッチは栄養があるんですけども、食べられないわけですね。
「どうにかして、このビーフサンドイッチみたいな栄養のあるサンドイッチを食べられるように出来ないか?」ということで、そこで、このフィラデルフィア万博で発表された挽き肉器がすごい注目されたんです。
ここなんですよ。つまり、ちょうど南北戦争が終わって、アメリカ中が農業から工業に切り替わって、人々が外食するようになった。
「農業から工業に変わる」ということは、どういうことかというと「みんなが通貨を使う」ということなんですね。
農業やっている時は、なんだかんだ言っても、物々交換に近かったものが、お金を持って街で物を買うのが当たり前になる。屋台で物を買うのが当たり前になる。
しかし、歯が4本しかない。これでは美味しいビーフサンドイッチが食べられない。
「柔らかいビーフサンドイッチを作ってくれないか?」というニーズが高まって来たところで、ようやっとここでハンバーガーの話になって来るんです。
「歯磨きしろよ」(コメント)
今、コメントで流れましたが、まだ、当時のアメリカは「歯磨きの時代」には達していないので、無理を言わないでください(笑)。
「挽き肉に玉ねぎを混ぜて焼けば安いし、歯が少なくても食べられる!」さらに「アメリカンチョッパーによって作られた、この挽き肉料理には、ケチャップ、マスタード、ピクルスがよく合った!」ということで、ついにハンバーガーの誕生となるわけです。
すみません、無料放送はここまでです。
皆さんが思っていたであろうマクドナルドの話なんか、とんでもない! 言っときますけど、今日、有料放送でも、マクドナルドの話まではいきません。
むしろ、「マクドナルドに行くまでのハンバーガーの歴史を、俺は語りたい」というか。
そもそも、なんでこんな語りたいんだろうね?
それは、ハンバーガーが、やっぱり、自分にとって、特別の食べ物だからですね。
まあ、この「どんなふうに特別なのか?」というのも、後でもう少し振り返ってみようと思いますけど。
やっぱりね、「自分にとって、ラーメンは特別!」みたいなことって、よくあるじゃないですか。それと同じように、僕の中でハンバーガーというのは、ちょっと特別なので、もう少し語らせてください。
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