━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/11/11
───────────────────────────────────
おはよう! 岡田斗司夫です。
メルマガ読者の方から、多数質問をいただいています。
かたっぱしから答えてみましょう。
───────────────────────────────────
ささやんさん/23歳/学生/クラウド市民
「アニメーターの未来について?」
【質問】
“今後、アニメーターという存在はどのようになっていくのでしょうか?私は今後アニメーション、特に紙で描いて動かすアニメーションが今のように存在し続 けられるのか疑問を抱いています。今は普通にアニメというものを見る事ができていますが、果たして20年、30年後、今のように紙で描いたアニメを多く見 れるとは思えません。
 今はまだ素晴らしいアニメーターが活躍していますが、果たして今後その技術が受け継がれていくのか不安です。これからアニメーターという存在はどのようになっていくのでしょうか? アニメーターの未来について、返答のほど宜しくお願い致します。”


【回答】
 紙で書いて動かすアニメーションは、今、生きているアニメーターの世代で、正直終わりだと思うんだよね。確かに、紙でないと出来ない部分も多いんだ。でも、アニメ業界が、経済的に限界があるというのは、みんなも知ってるよね。

 というのは、僕たち自身が、”コンテンツを金を払ってみる”という習慣が、なくしてしまってるからだよな。例えば、僕はここでニコ生をやっている。ニコ 生を見てくれているのは、大体が無料だからなんだ。このあとチャンネル放送が切り替わって、「ここから限定になります」って言ったら、限定に来る人は、見 ている人の最大5%くらいなんだよ。

 これはもう、どうしようもない。つまり、何か面白いものやっていても、見る人が100人いたら、その中で「お金を払ってでもみたい」という人は、最大5%なんだ。ネット社会の中では、この公式ができちゃってる。

 昔は、テレビでオンエアされたものは、「もっといい映像でみたい」とか、「何回も見たい」とか、「自分で所有したい」とか、いろんなものがあったから、 5%以上の人が、モノを買おうとした時代があったんだ。でもそれは、ビデオデッキとかDVDが、普及する過渡期のものだから。今は面白いものがあっても、 次の月には、新しいものが始まるから、もう世の中に、無料で溢れているものだけで、充分だし、あとはネットをみたら、古いものだったら、いくらでもある し、有料だったものも、期間限定で、無料で観れるところもある。

「所有欲なくなったなー」(コメント)

 今、コメントで流れたんだけど、その通り。僕たちは、コンテンツに対する所有欲ではなくて、コンテンツを共有する時の”盛り上がり”に対して、お金を払 う。例えば、ニコ生でコメントとかを言って、みんなで、一緒にわ~っと盛り上がるとか、コミュニティの盛り上がりに対しては、ある程度、お金を払うかもし れないけど、”コンテンツの所有”には、もう金を払わなくなっちゃった。

 ここから先、アニメとかゲームを作る人は、正直すごく大変だと思うんだ。なので、ささやんさんの質問の「アニメーターの未来について」は――、ピラミッド書くよ。

(岡田、ホワイトボードにピラミッドを書く)

 アニメーターが、上手い奴から下手な奴まで、ピラミッド構造だとしよう。ピラミッドの上位5%は、生き残る。でも、その下の95%のうち半分は、生活が厳しくなって、残り半分は食えなくなる、と思うんだよ。

 だから、「絶滅する」とは言わないんだけど、よほど上手い人じゃないと、プロのアニメーターとして、食っていくのは難しい。そして、そこそこ上手い人 は、アマチュアとか、ボランティアとして生きる。もしくは動画職人、ニコ生でいう職人みたいな人として、生きていくしかない、っていうのが、この15年か 20年じゃないかな。コンテンツ産業で、お金をとれるのは、世界レベルで見て、本当にハイクオリテイーの人にだけになるんじゃないかなと思います。

【まとめ】
お金をとれるアニメーターは、本当に実力のある上位5%の人だけになる。残り95%の半分は生活が厳しくなって、もう半分は食えなくなる、と思います。