昨日のメルマガで朝日新聞『悩みのるつぼ』、相談文をお届けしました。
今日は、いよいよ回答文もお届けします。
【相談】
学校にはきれいな女子生徒がたくさんいますので、容姿に対する自然な気後れはごく平均的女子高校生として、娘も普通に持ち合わせています。
さて、この夏に日本の名門大学主催の高校生サマースクールがあり、一週間の日程で参加しました。
普通の生活は金輪際、出合うことがなかろう超高偏差値集団で、多様性の魅力を知り、知的好奇心を満たして帰って来ました。
それなのに、土産話をするうち、娘はハラハラと涙を落とし、「なぜに美人に生んでくれなかったの」と親を責めました。
そんなの無理です。
スナップ写真を見せてもらい、びっくりしました。
天下の東大生のこぎれいさ、さわやかさ、イケメン度といったら、ン十年前に大学生だった自分の頃とは雲泥の差です。
東大生ですらこの完成度ですので、他の学生は推して知るべしです。
「女は愛嬌だ」などは何の慰めにもならず、「若さ」を犠牲にして勉強しなさいと親が言っている場合か、他にすることがあるんじゃないか、でもそれって、「花嫁修業じゃん」と悩み出したらとまりません。
これだけ高偏差値の男子学生のレベルが上がると、容姿に自信のない女子はどこへ向かえばよいのでしょう?
ちなみに両親から可愛いと言われ続けている高学歴の義妹は「箱入り娘」のまま、親と仲良く同居しています。
【回答】
「リア充」という若者用語をご存じでしょうか?
元々は「リアル=現実生活が充実」という意味です。しかし私は「この世界をためらいなく受け入れ、楽しめる資質」と定義しています。
ハロウィンに仮装して渋谷に繰り出したり、テーマパークで撮影した「可愛い私」の写真をネットで公開できる人。
それがリア充です。
リア充以外の人を「非モテ」と呼びます。
「この世界の素晴らしいことや楽しいことに参加するには資格がいる」と思ってる人のことです。
非モテは自分の写真を公開しません。「私は美人でも可愛くもないから、資格が無い」と考えます。
リア充はあつかましく軽薄で、そのかわり世界の楽しみ方を知っている。
非モテはひがみがちで根暗だけど、世界の真実に気付いてます。
どっちが正しい、ではありません。どっちが自分らしいか、というキャラの問題です。
さて、お嬢さんはサマースクールで「イケメンで高学歴の男の子たち。そういう世界に飛び込むには資格、たとえば美人である、とかが必要」と思い込んじゃった。
つまり非モテ女子高生になっちゃったわけです。
これがリア充女子高生なら、発想が違います。
自分に資格がある・なしを考えない。イケメン東大生を見たら、「やった!頭も良いのに顔もいい。ラッキー」と考えます。
自分が可愛くなくても「こんなにいっぱいイケメン東大生がいるなら、いろんな趣味の男子がいるはず」と考えるはず。自分に資格を問わないのがリア充だからです。
お嬢さんはいま、二つのキャラで揺れています。
非モテキャラなら、娘にバランスの取れた真実を伝える。
「東大生でイケメンなら、チヤホヤされすぎてイヤな性格になってるわよ。そんな男と付き合うだけ損。もっとあなたを大事にしてくれる彼氏を見つけるために、自立できる力をつけなさい」
娘をリア充キャラに切り替えるなら、誉めるべき。
「美人は男をチヤホヤしないから売れ残る。あなたは美人じゃないけど可愛いから、素直にイケメン東大生を尊敬していたら絶対にモテる!」
いまは泣き言を言っても、お嬢さんはこのどっちかを選んで、自分のキャラにするでしょう。
その時のために、「どうして美人に産んでくれなかった」などというしょーもない思春期グチは、さっさと忘れてあげましょう。