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岡田斗司夫の解決!ズバっと「人間も銀行も、時々は痛い目を見たほうがいい?」
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「人間も銀行も、時々は痛い目を見たほうがいい?」

2015-01-14 06:00
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    岡田斗司夫のニコ生では言えない話
     岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/01/14
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    おはよう! 岡田斗司夫です。
    今日も『解決!ズバッと』をお届けします。

    今回は『「お金」って何だろう?』 からです。
    僕が質問し、山形浩生先生に答えてもらった対談を、Q&A形式で、分載しながらお届けします。
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    岡田斗司夫さん/56歳/作家/「人間も銀行も、時々は痛い目を見たほうがいい?」

    岡田 何だか、子どもの教育方針を聞いているみたいですね(笑)。ある親は、子どもがケンカをするのを許した途端、不良になると決めつけている。別の親 は、ちょっとくらいケンカしたほうがいいと考えている。だけど、どちらが本当にいいのかは、統計を取っているわけでもないから結局わからずじまい。


    【山形浩生先生の回答】

    山形 銀行などの金融機関については、たまに小規模な破綻をさせたほうがいいのではないかという議論はあります。
    岡田 やっぱり(笑)。

    山形 リーマンショックのような大きな経済危機が10年や15年に一度必ず起こるのは、関係者が実際に火傷して学んでいないからだという、極めて真っ当な主張をしている人もいます。

    岡田 こういうリスク対策について、日本人とアメリカ人では根本的な考え方が大きく違う印象を受けます。一度大きな危機が起こったら、日本人はそういうこ とが起きないような予防策を講じようとする。だけど、アメリカ人は、危機からいかにすばやくリカバリーできるようにするかに注力すると。

    山形 そういう文化的な傾向はありそうですね。でも、日本人が予防策をきちんと講じて守っているとか、そんな立派なものだとは僕には思えないんです。バブ ルの前科もあるし、付和雷同でバカなことをする点では誰にも負けないと思います。いや、これは日本に限ったことではないでしょう。国民性とは無関係に、人 間というのは誰かが見張っていなければ好き勝手やってしまうもの、というのが事実だという気がします。

    岡田 銀行は、放っておくとバブルを起こしてしまうものなんですか?

    山形 と、一般的には言われています。例えば、バブル崩壊後、日本の銀行には強い規制がかけられるようになりました。そこで、各銀行はアジア諸国への融資 に乗り出したわけですが、1997年にアジア通貨危機が起こると、慌ててお金を引き上げ、結果的に事態を悪化させてしまったんです。

    岡田 国内の規制が高まったら、今度は外国でバブルを起こそうとしたわけなんですね。バブルの問題というのは、きちんと返済してくれるところだけにお金を貸すのではなく、怪しげなところにも貸してしまって回収できないこと、こういう認識で合ってます?

    山形 はい。
    岡田 まあ、健全な金貸しなら、ちょっとでも多くお金を貸して、利益を上げたいというのはわかります。

    山形 銀行マンの評価は、獲得した融資案件の量で決まりますからね。バブル景気で沸いていた頃、横浜銀行はヤバそうな不動産には手を出さなくて、銀行業界 内ではバカにされていたとのことです。バブルが弾けたら今度は、横浜銀行は「ほれ見たことか」と胸を張る側に回ったそうですが。

    岡田 でも、景気がよくなったときには、またリスクを取る銀行が伸びてくるんですよね。

    山形 そういうことです。ただ、現在の日本における銀行の問題点は、リスクを取ってまで民間のプロジェクトにお金を貸そうとしないことなんですよ。「民間 にお金を貸すと、回収できるかどうかわからなくて面倒くさいから、国債を買っておこう」ということになってしまう。国債を買うということは、ある意味、市 銀が国にお金を貸していることでもあります。

     さらに日本の銀行には、リスクを取らなくても、利益を出せる方法が用意されています。先ほど僕は、市銀は日銀の当座預金に決まった割合のお金を入れてお かなければいけないと説明しました。実は、そのお金には利子が付きます。例えば、本当なら銀行の預金全体の8%を当座預金に入れておけばいいのに、20% 預けてしまおうということになる。民間に貸し出すより、当座預金に預けておいたほうが確実だというわけです。

    岡田 それは、市銀がシステムを悪用して本業を放棄しているんですね。
    山形 はい。だから、市銀の当座預金には利子など付けないで、逆に手数料を取るべきだという意見もあります。僕もこの意見には賛成です。

    岡田 はあ、なるほどね。日銀は日銀で、市銀に対するコントロール手段を強めようとしているという面もあるのかな。政府は直接市銀と対話できるわけではないから、コントロールバルブである日銀がなくなるのも困るわけですね。

    山形 ただ、市銀のコントロールについてもいろいろな意見がありまして。スイスのバーゼルには国際決済銀行(BIS: Bank for International Settlements)という組織があり、ここは各国の中央銀行が安定して機能するよう、さまざまな取り組みを行っています。

     BISは、総リスク資産(回収できない可能性のある融資などを含む)に対して、一定割合の自己資本を持つことを、国際的に活動しているすべての銀行に対 して求めています。これまでにバーゼルⅠ、Ⅱ、Ⅲという合意がなされていますが、このバーゼル合意さえあれば十分だという経済学者もいます。

    岡田 中央銀行は、外国の会社がやってはダメなんですか?例えば、アメリカの会社が、「うちで円を刷りますよ。銀行さん、ご安心ください。うちに納めてもらう供託金は、日銀よりずっと安い5%ですよ」と言ってきたらどうなります?

    山形 日本では、日本銀行しか中央銀行になれないことになっています。
    岡田 あー、そうか。

    山形 でも、岡田さんの意見は無茶というわけでもないんです。例えば、ジンバブエでは中央銀行が信用されていませんから、今は自分ではお金を刷らずに、アメリカや南アフリカのお金を使っています。これは中央銀行の外部委託みたいなものですよね。

     ちなみに、ジンバブエの中央銀行は「われわれは信用回復のため、当分は自前の通貨は発行しない」という意味不明の宣言をしていますが。だから場合によっては、代わりに外国の会社がその役割を担ったほうがいいのではないか、という考え方はありだと思います。

    岡田 そうなると、その国は独自の経済政策を採ることを事実上放棄することになるんですね。

    山形 そうですね。中央銀行の代わりになっている会社が、どういう基準で動くのかという問題もありますし。いきなり、中央銀行が外国企業のための利益誘導に走り始めたら、わけがわからないことになってしまいます。

    岡田 その外国企業の利益が、その国の人たちの利益とうまく一致すればいいんでしょうけど。


    【まとめ】
     銀行は放っておくとバブルを起こすので規制を強くしている。しかし規制が強まると、市銀は現在のようにリスクを取らなくなる。また、市銀が預ける日銀の当座預金口座に利子が付くことも、市銀がリスクを取らない要因になっている。


    【最新著作】
    山形浩生先生との対談本『お金って、何だろう? ぼくらはいつまで「円」を使い続けるのか?』は、僕が山形先生にどんどん質問して教えを乞う、という形式で進行しています。

    このブロマガでは、その第二章を読みやすいサイズに分割して、順次お届けします。「経済の根本の根本」を、常識や思い込みにとらわれず、とことん質問し、かみくだいて、身もふたもなく解説してもらった第二章。

    ぜひ、お気軽にお楽しみ下さい。
    じゃあ、また明日。バイバイ!

     
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