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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/02/01
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おはよう! 岡田斗司夫です。
メルマガ読者の方から、多数質問をいただいています。
かたっぱしから答えてみましょう。
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マツダさん/(非公開)歳/漫画関係者/必ず解決!ズバっと
「どうやって嫌な記憶を忘れますか?」
【質問】
“以前「漫画家アシスタント時代のトラウマが忘れられない」で応募したものです。まさか絶薬の山田先生が答えてくれるとはなんという人生か……。
 山田先生がおっしゃっていた内容もほぼそのままです。でも、そのときの悔しさをばねに、紆余曲折ありましたが今なんとか漫画家の仕事ができているし、悪いことだけじゃなかったと思うようにしています。あとは、なんとか《思い出さない、気にしないようにしたい》のです。岡田さんはどうやって嫌な記憶を忘れますか?”


【回答】
 1か月くらい前、山田玲司先生も一緒のときに相談した人だったと思うんだ。漫画家のアシスタントしている時に先生にイジメられたと。他のアシスタントの人もヒドい環境だった。その時の悔しかった事やイヤだった時の事が、今、フラッシュバックみたいに出てきて、「すごく辛い」って言ってる人なんだ。

■完全治療は見果てぬ夢
”今、なんとか仕事できてるし、悪いことだけじゃなかったと、思うようにしています”という所まできたから、実はここで治療は終わってるんだ。あとは、なんとか「思い出さない、気にしないようにしたい」と。これは見果てぬ夢というか、贅沢だと思うよ。言っちゃえば、君はものすごい心の傷を受けて、片足失ったようなものなんだ。今は、

「なんとか片足でも歩けるようになった」
「義足も身についてきた」
「普通に歩行できますけど、走ったりはできません」

――という状態なんだ。だから、そこが落とし所だと思うんだ。ここから先、あんな事故が無かったかのように、「昔に戻りたい」って考えても、しょうがないと思うんだけどね。

■これ以上、苦しみを増やしてはいけない
”岡田さんは、どうやってイヤな記憶を忘れますか?”ってあるけど、そんなの忘れるはずがないから。

「忘れる方法があるんじゃないか?」
「このトラウマをなくす方法があるじゃないか?」

――と、考えるから苦しいと思うんだよね。フラッシュバックが起きて苦しい事を100だとする。でも、「苦しみを逃れる方法があるんじゃないか」と、焦ったら、100の苦しみが50プラスされて150になっちゃうじゃん。そうやって150になっちゃう方がしんどいと思う。だから、100の苦しみのままで生きていくのが、生き方だと思うよ。そうしたら、1年につき1ずつ減っていくよ。10年たったら90になるだろうし、20年たったら80になるだろうし。そう考えていれば、いつの間にか30とか20になっているようなものです。
 今がちょうど治っている感じだと思ってください。ひどいケガってした時って、ケガの痕とか後遺症残ったりするじゃん。それまでを全部なくして無かったことにしようと思うと、余計に苦しいと思います。僕は今の状態で治療済みだと思いますので、退院しましょう。

【まとめ】
 嫌な記憶を忘れる方法なんてありません。完全に忘れようとすれば、余計に苦しいと思います。それよりは今の苦しみの状態で生きていけば、徐々に嫌な記憶は薄れていきます。