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岡田斗司夫の解決!ズバっと「男性が父性を回復するには」(後編)
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「男性が父性を回復するには」(後編)

2015-04-14 06:00
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    岡田斗司夫のニコ生では言えない話
     岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/04/14
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    おはよう! 岡田斗司夫です。
    メルマガ読者の方から、多数質問をいただいています。
    かたっぱしから答えてみましょう。
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    「男性が父性を回復するには」
    はこさん/29歳/会社員/ブロマガ会員

     個人的に、岡田さんは「父性のかたまり」な方だと思っています。
     母性はあるが父性が足りないと叫ばれる昨今、男性が父性を回復するために必要なことは何だと思われますか?
    (富国強兵以外でお願いします)

    ───────────────────────────────────

    (前号からの続き)

     僕が覚えてる限り、「日本に父性が足りない」と言われて、もう40年経ってるんだよ。
     「40年間も日本に父性がなかったのに、今更どうにかなるもんかい!」って思うんだけど。


    ■『ヨシイエ童話』は業田良家の最高傑作

     僕は”業田良家”の漫画がすごく好きなんだ。
     その中の『ヨシイエ童話』は、特にやり方がうまいなあと思うんだけど。
     これは僕が思っている業田良家という漫画家の最高傑作なんだよ。

     でも、マンガ夜話をやってた時に取り上げた作品は『自虐の詩』で悔しかった。
     『自虐の詩』ってわかりやすいだろ? 
     そうじゃなくて、業田良家が社会的意識と自分の中の純文的作家性を合体してエンターテイメントとして、ちゃんと書いたものは『ヨシイエ童話』なんだよね。

     その中のエピソードに『世直し源さん』というのがあるんだけど、僕はあらゆる政治漫画の中でこれが一番の傑作だと思ってるんだ。
     寓話として、例え話として、社会を見るとき僕らどういうふうに見ているのか、それは世の中はどういう構造になってるのか、マスコミとか政治家とか庶民の位置関係をすごくわかりやすく書いてる。

     僕はストーリーとして、人間の欲望と流行の関係は『お天気お姉さん』という漫画から学んだし、社会問題とか政治の考え方は、『ヨシイエ童話』の『世直し源さん』から学んだといっても過言ではないんだ。


    ■反語的に考える『LOVE男』

     さて、『世直し源さん』を書いた業田良家が、次に『LOVE男』という作品を書いたんだ。
     当時はバブルの頂点で、恋愛がものすごく高騰化してた。
     イイ女は、顔が良くて金持ちの男に次々と取りさらわれる。モテない男には、イイ女をテレビで山ほど見せられるんだけど、「俺たちの欲望どこに行けばいいのか」というモテ格差がある。
     それを30年くらい前にちゃんと書ききった作品なんだ。

     その『LOVE男』のクライマックスのセリフで、主人公の北野ラブオが怒り出して叫ぶんだ。
    「本当の愛って何なんだ!」
    「愛って本当はないのかよ、本当の愛を俺に教えてくれよ!」

     そう言った時に、メッセンジャーのLOVE男が、「じゃあ心の底から叫んでみろ! 『俺は一生人なんか愛さない! 愛なんか必要ない! 俺は一生誰も好きにならない!』って、でっかい声で言ってみろ!」と言うんだ。
     ラブオがその通り叫んだら、LOVE男はこう言う。

    「ほら、今、言ったときに心の中に引っかかりがあっただろう?」
    「心の中に『本当はイヤだ』とか、『本当は誰かに好かれたい、好きになりたい』とか、すごく小っちゃいものがあっただろう?」
    「その小っちゃいものが愛だ!」
     ――って。

    「愛はこんなに小っちゃいものなのか」
    「そうだよ、お前の中にあるほんの小っちゃいものだけが愛」
    「その愛を大きくすることがLOVEである」

     僕はこのシーンにすごく感動した。
     感動したのは、漫画の中の展開もいいんだけど、考え方として反語的だったところが。


    ■反語的に考えると、構造が生まれる

     つまり、何かを証明するときに「そんなものはいらない!」とか、「そんなものはない!」と言った時に、自分の心の中に引っかかるものがある。

     例えば、”正義”ってものについて考える時。
    「正義なんてこの世の中にないんだ」
    「正義なんてぜんぶ嘘っぱちだ!」
     ――と言ったときに、自分の心の中にほんのちょっと引っかかるじゃん?

     それが自分が求めていたり、信じている正義であって、ものすごい小さい。
     その小さいものを自分の行動とか、これからのやり方で徐々に大きくしていくことが、正義であり愛でもある。
     これを見た時、「上手いなあ」と思った。

     これも"構造"として考えてるからできることだよね。
     何かを証明するときに、「それがゼロである、必要ない」と言い切ることで、反対側に存在しているものが照らされる。
     これも構造的な証明ということで、僕がとても参考にしていることなんです。


    ■父性も構造的に考えてみる

     「男性が父性を回復するには?」に対しての僕の答えは、相変わらず「40年間なくていいと思ってるんだから、そんなもの必要かどうか分からない」なんだ。
     しかし、これも"反語的"に「男性に父性は必要ない!」って、僕自身が言ってみたらどうなるかな?

     男性に父性なんか必要ない!
     社会に父性なんか必要ない!
     社会に男が父親である必要なんかどこにもない!

     心の中にちょっとどころではない、大きいわだかまりがあるぞ(笑)。
     このわだかまりの分、父性は僕にとって必要なんだ。「社会にとって」じゃなくて、僕にね。

     これを聞いてるみんなにとっても、引っかかる分だけは必要なんだ。
     「社会に母性は必要か?」と言えば、「母性なんか必要ない」と言った時に、自分の中で引っかかる分だけ、「本当の母性がこの世の中にあってほしい」という僕たちの切ないまでの心の中の叫びが照らし出されるわけだ。
     "構造"は反語的に使うことで生まれてきます。


    【まとめ】
     「男性が父性を回復するためには?」に関しては、相変わらず「40年間ないと言われ続けていたものを回復させる必要があるの?」と思います。
     が、それを僕自身が大声で叫んだ際に心のなかにわだかまりを感じる程度には、僕の中にも父性を必要とする気持ちがあるようです。

     
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