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岡田斗司夫の解決!ズバっと 「お笑いライブ経営は、あま~~い!のか?」
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岡田斗司夫の解決!ズバっと 「お笑いライブ経営は、あま~~い!のか?」

2015-06-07 06:00
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    岡田斗司夫のニコ生では言えない話
     岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/06/07
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    おはようございます。

    今日は『解決!ズバッと』はお休み。
    情報サイト『探偵ファイル』に掲載したコラムをお届けします。


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    「お笑いライブ経営は、あま~~い!のか?」

    (元記事はコチラから)


     先日、下北沢でスピードワゴンさんたちのライブを見ました。
     ライブはやっぱりテレビと違い、面白いですね。
     漫才は尺を使う、つまり時間を使って世界観を見せないと、なかなか面白さが伝わりません。
     三四郎さんもテレビで見るときは「スベり芸」風のあつかいが多いのに、ライブで見ると圧巻でした。

     しかし、満員の客席を見て、同時に不安にもなりました。
     会場となった「しもきた空間リバティ」は、使用料が平日夜の部で41,000円。
     キャパは85名です。
     前売りチケットはひとり1,500円だけど、チケットぴあに手数料8%と用紙代10円を取らます。
     つまり実質ひとり1,370円×85名で、売り上げ総額は116,450円です。

     この総売上から会場使用料41,000円を引くと、残り75,450円。
     会場整理のスタッフも5人以上はいたし、彼らのバイト代をひとり5,000円としても25,000円です。
     これで残額は50,450円。

     登壇していた漫才師さんはスピードワゴンさんを含めて7組。
     これでは一組1万円のギャラも出せません。
     会場には収録用のカメラも無いので、後にコンテンツ販売→リクープという手段も使えないことになります。
     狭い会場で、受付は階段の踊り場です。だからグッズ売り場もありません。
     いったい、このライブでは誰がもうけているのでしょうか?

     もちろん、中にはタニマチのいる芸人さんもいます。
     社長さんやスポンサーがついて、会場代や経費をポンと払ってくれる場合もあるでしょう。
     僕もそういう社長さんを何人か知っています。
     でも、そういう社長さんたちは総じて「不安定」です。
     景気が良いのは数ヶ月か、長くて1年ぐらい。
     ずっとサポートしてくれる人は、本当にマレです。

     本来、あのライブを見るために客が支払うべき金額を試算してみます。
     まずは必要経費。
     会場費・・・5万程度
     出演者ギャラ・・・ひと組あたり3万×7組=21万
     人件費・・・会場スタッフ5名で5万
     経費・・・チラシ等で5万
     ここまでの合計で必要経費は36万円になります。

     次回開催のためには利益も出さないとダメです。
     会場を予約するための前払い金、チラシやチケットなどの印刷費とか、イベントにはいろんな「前倒し予算」が発生します。
     これを作るためにイベント利益を15%乗っけて、41万4,000円。
     かならず満席になる、と仮定して85人の客席で割れば、1人あたりの「正しい入場料」は4,870円になります。
     あ、ぴあでチケット売るなら、実質5,500円かな?

     では、この「本来あるべき価格」と「実際の入場料」のギャップ、5,500円と1,500円の差はどこからでたのでしょうか?
     漫才師側、スタッフ側、運営側から出たんでしょうね。
     出演する漫才師が、自分のギャラを低めで納得してくれる。
     スタッフがボランティア的な動きをしてくれる。
     主催団体や、芸人さんの所属事務所が「将来への投資」「知名度向上」などいろんな理由で、投資してくれる。
     安いお金で本物の漫才を見せたい、と決意したので、彼らが赤字分を負担してくれたわけです。

     不思議です。
     僕たちはお笑いライブを見に行くときは、お客様の気分で行きます。
     1,500円も払ってるんだから、笑わせてくれよな!という気分です。
     でも、本当は出演者やスタッフや、開催事務所の人たちの「おごり」でイベントは成立してるのかもしれません。
     漫才師やスタッフ、関係者や僕たち観客みんなが、すこしずつ「投資」してるんです。
     そうやって維持されていくものを「文化」というのでしょうね。


    以上、情報サイト『探偵ファイル』よりお届けしました。
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