━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/06/28
───────────────────────────────────

おはよう! 岡田斗司夫です。
メルマガ読者の方から、多数質問をいただいています。
かたっぱしから答えてみましょう。

───────────────────────────────────

「素直の意味」
ニコライさん/31歳/会社員

 「素直になる」ということが分かりません。
 人から何かを言われて疑問に感じる部分があった時、そのことを問い返すと「素直じゃない」と言われます。
 疑問を解決して納得してから従いたいと思うのは「素直」ではないのでしょうか?
 たとえ納得できないことでも、人に言われたことは何でもかんでも聞き入れれば「素直」なのでしょうか?

───────────────────────────────────

 結論だけ言うと、素直じゃないですね、この人。

 「問い返すと素直じゃないといわれます」と言うけども、“ものも言いよう”なんだよ。
 素直な聞き方もあるんだよ。


■「素直じゃない」と言われるのは、気に食わないから

 正直に言って、ニコライさんの聞き方が悪いんだよ。
 毎回、聞き方が悪いから「素直じゃない」って見られるんだと思う。

 話している相手は日本人だからといって、日本語の運用能力や使い方が全員達者なわけじゃあない。
 100点満点で85点の人もいれば、60点の人もいる。
 全ての日本人が、口にする言葉全てに正確な意味を乗せているわけじゃあないんだ。

 では、会話をしている相手が「素直じゃない」と言うときは、どういう意味か?
 それは「素直かどうか?」じゃなくて、「お前、なんか気に食わない」「お前のわざとらしい逆らい方がイヤだ」という意味だと思えばいい。


■ビジネスの現場で反語的疑問形はダメ 

 たぶん、ニコライさんの問い返し方がイヤなんだと思う。
 問い返し方の中に、相手の言葉の定義そのものを聞いたり、「それは違うでしょ?」と言ったりするところが。

 「まさか、○○というわけではないですよね?」みたいな言葉の使い方、僕らもすることがあるじゃん。
 例えば、休み時間に先生へ、「まさか、来週のテスト、やめるつもりじゃないでしょうね?」と聞くとして。
 これは「テストをやるかやらないか?」を聞きたいわけじゃあないよね。
 「テストをやめるつもりであること」を知っていながら、あえてそれを確認する行為だ。

 これを“反語的疑問形”という。
 あえて相手を窮地にたたせて、「テストをやる」以外の選択肢を選びづらくさせる。
 いわゆる議論するための修辞方法なんだ。

 でね、そういことをやってると「素直じゃない」って言われるの。


 「疑問を解決して納得してから従いたい」と言うけどさ。
 自分の中の疑問を解決して、納得してから従うのは、すでに“部下”じゃないよ。
 上司部下のようなビジネスの現場では、疑問があっても、納得できなくても従う。

 終わってから聞くことを"疑問"というんだ。
 相手に何か言われたときは、相手に言われた意味を汲み取って、その通りにやろうとする。
 そのあとで、「でも」と言うことなんだよ。

 31歳にもなって、俺にこんなことを説明させるなよ(笑)!

(次号へ続く)


【まとめ】
 ニコライさんの問い返し方に問題があります。
 「素直じゃない」と言われるのは、「素直かどうか?」ではなく、"問い返し方"そのものが気に食わないからだと思います。