───────────────────────────────────
おはよう! 岡田斗司夫です。
メルマガ読者の方から、多数質問をいただいています。
かたっぱしから答えてみましょう。
「庵野監督の押井守批判」
ケンタさん/21歳/フリーター
同じ業界の岡田さんはどうみられますか?
───────────────────────────────────
庵野君は誰かにケンカを売るような人間じゃないよ。
なぜなら、スタジオジブリで一緒に働いている仲間に給料を払いたいから。
仲間にちゃんとした待遇を与えたいから。
それは「アニメーター全員を正社員で雇う」ということなんだ。
もともと東映の労働争議でこの業界で入ってきたバリバリの運動家だから、宮崎駿は"みんなの幸せ"を考えるわけだ。
元・虫プロで絵コンテという技能一つでフリーになった人間だから、「当てないと次はない!」と分かっているから。
当たる映画を作らないとメジャーでいられない。
メジャーでいられなかったら、次のチャンスが与えられないと思っているんだ。
それはスピルバーグやルーカスですら言ってる。
ちゃんと"当たる映画"をやらないと「自分達には次のチャンスはないんだ」と、みんなが言ってる。
押井守は、「俺の映画が当たるか当たらないかなんて知らねえよ」って言ってる(笑)
それでも押井守に金を出すヤツがいるので、みんなはズルいと言うしかない。
ディスって言うなら、高畑勲は押井守以下だよ。
俺が思うに、押井守はひでえヤツだと思うよ。
でも、押井守に金を出したい人がいるから、やっぱりすごい。
押井守は、
「俺のアニメや映画が当たるかどうかなんて知るかい!」
「映画監督やクリエイターは、スタジオなんか持っちゃダメ!」
「自分が食わせなきゃいけないスタッフを抱えちゃダメ!」
――って言うんだよ。
それを言うことが、自分が映画を作るという社会運動になってると考えるからなんだ。
その意味で押井守は、“正義のあるひでえヤツ”。
ひたすら締め切りを遅らせて、8年かけて『かぐや姫の物語』を作って、スタジオジブリを倒産させた(笑)
高畑勲の方がよっぽどひでえヤツだよな。
庵野秀明はそれを笑っているだけなので、ディスってはいません。