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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/09/09
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おはよう! 岡田斗司夫です。
メルマガ読者の方から、多数質問をいただいています。
かたっぱしから答えてみましょう。

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「発達障害をどう思いますか?」

大学留年中さん/24歳/地方公務員

 岡田さんは発達障害をどう思われますか?
 私は以前から、「きちんと話しているつもりなのに会話が成り立たない」、「それどころか、話してる最中、急に相手が怒りだす」といったような、いわゆる“アスペルガーあるある”な経験を繰り返しています。
 
 これから、医療機関で詳細な診断を受けるつもりです。
 理由は、自分の資質・状態・傾向を少しでも明らかにすることで、人生をより良い方に向けていきたいからです。
 
 ところで、岡田さんは、以前、「ここ2,30年で発見されたような精神医学的知識は当てにしないほうがいいよ」と仰っていたと思います。
 そんな岡田さんから見て、発達障害者、そして発達障害という概念自体をどう思いますか?

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 「きちんと話してるつもりなのに会話が成り立たない」(質問文)
 「話している最中、相手が急に怒り出す」(質問文)

 これは俺もある。
 じゃあ俺は“アスペルガーあるある”なのか?
 多分、違うと思う。


■「アスペルガー」というラベリング


 自分をどのようにラベリングするかだと思う。
 大学留年中さんが自分に貼ろうとしてるラベルは、「アスペルガー」かもしれない。
 でも俺が自分に貼ろうとしてるラベルは「非常識」なんだ。

 「アスペルガーだから、人と話してよく怒られる」
 「非常識だから、人と話してよく怒られる」

 これはラベルの違いなので、「非常識よりアスペルガーが好きなのか」という問題。

 非常識に関しては治療法がない。
 「自分は非常識」という認識を持った上で、どうやって生きていくのかという戦略の問題になる。
 もしアスペルガーなら、「自分はアスペルガー」という認識を持って、その上でどうやって生きていくか、戦略を考える。
 ラベルは違うけどそんなに変わらないと思う。


■障害の対処法でなく、周りの人を気にする

 発達障害者や発達障害という概念自体は、ラベルの問題だと思う。

 統合神経失調でも精神分裂症でも躁鬱病でも、いろんな名前はあるんだろうけど、「私はどうか」という問題。
 だって中学生の時に、自分を「中学生」とカテゴリーしない。「中学生」じゃなくて、「自分」だから。

 20歳前後の人は「ゆとり!」って言われたら、イヤになるでしょ?
 それは「ゆとり」というカテゴリーに入れられるのがイヤなわけだ。

 自分がどういう障害を持っていて、それに対しての対処法を考えても、あんまり意味が無いと思う。
 それより自分の周りの人を気にしよう。

 「この人はこういう事に怒るから、ここを気をつけよう」という、「個別の対処法」をいっぱい作った方が、役に立つと思う。

 個別の対処法を網羅したら、周りの人から「あの人は人間が出来てるね」と言われる瞬間がくると思う。
 いかに凹んでる所を、なだらかに見せかけるか、演じきることが「人間の成長」だと思います。


【まとめ】
 アスペルガーも統合神経失調もラベリングの問題だと思います。
 障害に対する対処法を考えるよりも、周りの人を気にしましょう。
 個別の対処法をたくさん作って、演じきることが「人間の成長」だと思います。