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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/09/14
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おはよう! 岡田斗司夫です。
メルマガ読者の方から、多数質問をいただいています。
かたっぱしから答えてみましょう。

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「今まで見た映画で1番怖い作品は何ですか?」


 私はホラー映画が好きでよく見に行くのですが、最近のホラー映画は“怖さ”よりも、ビックリさせることを目的としているような気がします。
 映画に詳しい岡田さんから見て、今まで一番“怖い”と感じたホラー映画は、どんな作品でしょうか?


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 ホリエモンがこういう質問を1番鬱陶しいって答えるんだよね。
 「○○で1番は何ですか?」って聞かれたら、聞く側に負担を強いる。
 おまけに答えたからって、特別何かあるわけでもない。


■印象に残っている怖い映画は『仄暗い水の底から』

 今まで見た映画で、怖い映画で印象に残ってるのは『仄暗い水の底から』
 怖いだけじゃなくて、「切ない、悲しい」が引っかかると見ないわけにはいかない。

 最初にシングルマザーが物件を探すシーンから始まる。
 すごく世間慣れした不動産屋からいろいろ言われても、頷くしかない。
 でも「あんまりいい物件じゃない」と思った。

 次のシーンは家庭裁判所で調停員と話している。
 「以前、奥さんは精神病院に通われて、投薬を受けてたこともあるそうですね」と言われたら、シングルマザーは「あの人はそんなことまで言ったんですか!」と、ちょっと言葉が荒くなる。

 つまり離婚調停中なので、幸せな状態じゃないし、元夫を信じられる状態じゃない。
 「今、住むところが決まってなかったら、親権がどっちに移るか分からない」という状況で、新しい不動産を見に行く。
 でも明らかに変な不動産。
 管理人はなんかイヤな感じだし、エレベーターのボタンは1つだけすごく焦げてるし、イヤな予感じがするフロアーがある。
 ただ、ここで決めなければ自分の子供と引き離されてしまうかもしれない。

 誰にも相談が出来なくて、お金も限られてるシングルマザーの不安が、「ここに物件決めるしか無い」って、追い込まれてく様は怖いだけじゃなくて、切ないじゃん。


■切なさや悲しさを結びつけた映画は良い

 人間が愚かな行動をするときや、登場人物のベクトルに共感するときに、怖さや切なさや悲しさがバーッと溢れる。
 それを上手く結びつけた映画はやっぱりいいよ。

 俺が『リング』が好きな理由もそれ。
 「子供を助けたい」という母親の気持が前へ出てるからこそ、怖い映画になる。
 なんだかんだ言っても、『着信アリ』で脅かされるは、「自分の命」ぐらいなんだよ。
 「自分の命」が失われるのは怖い。
 見てる人間だって、主人公が死んじゃうのはイヤだ。
 けども、「主人公が大事にしてるものが失われる」方が共感しやすいんだ。

 1番怖い映画となると、『女優霊』が怖いです。
 監督は同じだけど、「切ない怖さ」という意味では『仄暗い水の底から』が好きですね。


【まとめ】
 印象に残っている怖い映画は『仄暗い水の底から』です。
 怖いだけじゃなく、切ない怖さがあって好きです。