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「カリスマは、シナリオライター」
世界がどうなっていくか、先のストーリーがある程度見えているんですね。
「やがて日本はこうなる」、「このままだと世界はこうなる」、自分自身の描く未来図に絶対の確信を持っていて、疑ったりしません。
カリスマごとに見えている未来図はバラバラですが、未来図に確信を持っている点については共通しています。
カリスマにとって世界は意味があるものですし、その結果彼らは自信満々に振る舞うことができるのです。
マルクスの思想は20世紀の国際政治や経済に大きな影響を与えました。
搾取されて貧しくなった労働者は階級闘争を開始し、世界はゆっくりと共産主義に向かっていく―。
これがマルクスに見えていた、世界の未来図、シナリオです。
だから、彼は「労働者よ、立ち上がれ!」と呼びかけました。
カリスマにしてみれば、「どう考えても、最終的にはこうなるに決まってるから、さっさと立ち上がろう」と言っているだけなのです。
自分には自明の未来図が、どうもほかの人には見えていないらしい。
カリスマにはそれが不思議でしょうがありません。
ジョブズは社員に対して苛立だち、「どうしてわからないんだ!」と罵しることがたびたびあったそうですが、自明の未来が見えない人間がいるということを納得できなかったんでしょうね。
今日のお天気や明日のお天気と同じで、あるがままにあり、自分が関与したり、変化させたり、未来を予測できるものではありません。
だから、自分が世界のために何かできるなどと考えもしません。
徹夜明けでハイな気分になっている時などに、「俺はこのために生きている!」なんて叫びたくなったことはありませんか?
そんな風に考えるようになる人が多いんじゃないでしょうか。
カリスマの精神状態は、いつも徹夜明けでハイになっています。
同時に、他人のサブシナリオも見えますから、「お前はこうしろよ」とついつい余計な口を出してしまいます。
カリスマ論