米ミシガン州の野生生物当局が、地元の湖でこの夏、奇妙な形状の歯を持つ魚が釣り上げられた事例が複数報告されていることを明らかにした。


この魚の歯を見て戸惑う人もいるだろうが、遺伝的実験で生まれた突然変異種というわけではない。実は、遠く南米の水域に自生するパクー(pacu)と呼ばれる魚の一種、レッドコロソマなのである。

ミシガン州自然資源局によれば、「レッドコロソマ(red-bellied pacu、学名:Piaractus brachypomus)は、南米から輸入されている人気の観賞魚である。米国は世界各国から観賞魚を輸入しており、その規模は年間10億ドル(約1,000億円)を上回っている」とのことだ。

同局によると、パクーの「ヒトのような歯」は、木の実や種子を食べるためのものだという。強力なアゴ、幅のある歯、そして木の実を食するという点から、この魚が「ヒトの睾丸を食べる」という噂が広まったのかもしれない。

7月だけでも、2匹のパクーがセントクレア湖から、1匹がポートヒューロン地域から発見されていると、同局は発表している。

パクーは、少なくとも米国27州の湖や池、川で捕獲されているという。

この魚は急激に成長することから、ペットの飼い主が良かれと思って湖などに放したのかもしれない、というのが当局の見方だ。

同局の水生種・規制関連部門責任者のニック・ポポフ氏は、「ペットを自然の中に放すのは、思いやりのある行為とは言えません。限られた人工的な環境から放されたペットは、天敵から身を守る術に乏しく、食物を探し出したり隠れ場を見つけたりできないかもしれません。野生の中で生き延びたペットは、在来の動物に他の地域の病気を広める可能性があります。最悪の場合、放された動物が繁殖して自然生態系を乱し、かつてのペットが侵入種となってしまうことも考えられます」と語っている。

パクーは、厳しい冬を生き延びられないと考えられていることから、ミシガン州では侵入種とは見なされていない。

ペットの飼い主は、自分の魚を世話しきれなくなった場合には、環境学習センターや水族館、動物園に魚を寄贈することが望まれる。他の人に譲ったり、ペットショップに返したりすることも検討するべきだ。

Where do pet fish belong? Not in Michigan's waters! Last month, we received three reports of anglers catching pacus -...

Posted by Michigan Department of Natural Resources on Tuesday, August 9, 2016




■参照リンク
ミシガン州自然資源局
http://www.michigan.gov/dnr/
http://www.aol.com/
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