先日統一地方選挙が行われたノルウェーで、伝説的ブラックメタラーが地元町議会選挙に当選してしまったというニュースが話題になっている。



悪魔を崇拝し、殺人や破壊を歌い、アンチキリスト、偶像破壊、そして教会への放火(本当にやってしまった者もいる)などを賞揚するブラックメタルが市民のために尽くす役職に就いてしまったことは、同シーンのみならず世界中に衝撃を走らせた。しかし、これは一体どういう顛末なのだろうか?

そのメタラーはフェンリッツという名の男性。80年代から活動するブラックメタル界の重鎮、ダークスローン(Darkthrone)のドラマーで、同シーンのレジェンド的存在だ。当然、地元が生んだヒーローではあるのだが、当選してしまった本人としては非常に不本意らしい。というのもフェンリッツは、候補者の規定人数を埋めるための要員として、町議会から出馬を頼まれただけで、本当に議員になるつもりなどなかったからだ。

選挙期間中も彼は、キャンペーンポスターに「頼む、俺に投票しないでくれ!」というメッセージを添えていたほど。普段はピーナッツ・バターと名付けた猫を愛する心優しいフェンリッツだが、町の人々のために働く以前に、彼にはブラックメタラーとして"世界に闇と漆黒をもたらす"という使命があるのだ。



しかも、当選してしまうと4年間は勤め上げなければならない規則がある。不本意にも役職に就いてしまった者にとっては、あまりにも長い年月だ。フェンリッツは埋め合わせ要員としては有名で、人気者すぎたことが町議会と本人の誤算だったのだろう。

ただし、就任した役職はあくまでも町議"代理"なので、ノルウェーの地方政治が彼の活動を妨害することはないとのこと。議会の誰かが、病気や、やむをえない理由により欠席した時にだけ出席すればよい、という決まりなのだとか。

「どうしても来れない議員の代わりに、俺が行かなきゃならないってことらしい。のこのこ出ていって頭のマトモそうな連中の中に混じって、ひとりバカ面さげて座ってなきゃならないってわけさ」
「選挙の後、偉い人から電話が来て"当選だ"って言うんだ。嬉しくなかったね、ちっともよろしくない。そもそも退屈だし。それに金(給与)だって全然よくないんだぜ、本当さ」

と、早速ボヤいているフェンリッツ。果たして彼が、在任中に政治意識に目覚める......なんてことはあるのだろうか? ちなみにノルウェーの地方選挙は、まるでお祭りのようなノリらしい。なるほど彼が当選してしまうわけである。

https://www.youtube.com/watch?v=SBwu83RR6ZU


■参照リンク
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