今年の夏、全米で記録的な大ヒットとなったホラー映画です。
評判どうり、怖い映画でした。でも、最後に涙が出てしまいました。極力、ネタバレなく『死霊館』(10月11日公開)へとご案内いたします。
"実話"に基づいた作品だそうです。1971年のアメリカ。田舎の一軒家に引っ越してきた、ペロン一家。両親と娘5人の7人家族だ。古びた屋敷だけれど、やっと手に入れたマイホーム。しかし、次々と怪異現象が起き、一家の母親は、心霊研究学者とその妻で透視能力を持つウォーレン夫婦に助けを求める。ウォーレン夫婦は、そこにとてつもなく"邪悪な存在"がいることを感じとる!果たしてその正体は?そして、この恐ろしすぎる家からペロン一家を救い出すことができるのか!?
本作は、残虐なスプラッター・シーンはありません。また『パラノーマル・アクティビティ』のような、<発見された映像>というギミックも使っていません。とても正攻法な映画で、70年代に流行したオカルト映画『ヘルハウス』『エクソシスト』の匂いを感じます。なによりも、ペロン一家とウォーレン夫婦がしっかり描かれていて、ドラマ部分の密度が濃い。
じゃあ、地味な映画か、というと、とんでもない!そこは『SAW』のジェームズ・ワン監督、ツボをおさえた、一級のホラー・アトラクションにも仕上げてくれています!オーソドックスな物語に、ジワリ!ドッキリ!を巧みにまぶし(あと音の使い方がうまい!)、最後に "邪悪な存在"と人間たちとの攻防戦をケレン味タップリに描きます。
この映画の中で、"邪悪な存在"は、人を様々な手段で怖がらせ、精神が弱ったところを見計らってから人間に憑依する、と説明されます。また、この手の"邪悪な存在"にとって、人間の恐怖心こそが、最大の餌だと。僕は、オカルト系ホラー映画の中で、なぜ悪魔とか悪霊の類が、不気味な音をたてたり、椅子を動かす等、ジワジワとまわりくどく迫ってくるのか、いつも?だったのですが、やはり、こういうプロセスを踏まないと、人間を支配できないのですね。それがよくわかりました。
さて、クライマックスのポイントは<憑依>です。ある人物に、"邪悪な存在"がとりつこうとするのですが、それを食い止められるのか?が争点になってきます。前半<お化け屋敷もの>だった本作は、ここで一気に<エクソシズムもの(=悪魔祓い)>の面白さを見せます。しかも『エクソシスト』のような静かな戦いというより、『死霊のはらわた』(オリジナル版)に通じるノンストップ・アクション!盛り上がります。
久しぶりに、ホラー映画の楽しさを味あわせてくれた本作ですが、最後の最後で、ちょっと泣けてしまいました。ここはネタバレになりかねないので、ちゃんと書けませんが、劇中、ウォーレン夫婦は "邪悪な存在"は、心の弱い人にとりつく、と言います。しかし、"邪悪な存在"が狙いを定めたのは、実は、一番、心の強い人だったのではないかと思います。その強さは、どこから来るのか? ベタですけど、僕は、この部分がハッキリ示されたとき、涙腺が緩みました。時に、ホラー映画は、邪悪なものを、これでもかと見せつけながら、その一方で、人間の持つ素晴らしさを教えてくれたりもします。
怖い怖い『死霊館』。
でも、この館を去るとき、後味は、決して悪くはありませんでした。
もうすぐハロウィン・シーズン。
魔女たちが騒ぐ季節です。
秋の夜長に、是非『死霊館』を訪ねてみてください。
(杉山すぴ豊)
『死霊館』は10月11日(金)公開
【参照リンク】
・『死霊館』公式サイト
http://www.shiryoukan-movie.jp/
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