10月26日(土)から11月4日(月・祝)まで、東京神宮外苑で開催された「東京デザイナーズウィーク(TDW) 2013」。28回目を迎える今年は、4日間でのべ25万人が訪れる大盛況のイベントとなった。なかでも注目だったのが高級自動車ブランド・レクサスのブース。「LEXUS DESIGN AMAZING 2013 TOKYO」と称された今回の展示にはなんと"クルマ"が一切登場しなかったのだ。
その代わりに『amazing flow』と題する、鉄骨のフレームに木材をつなぎ合わせた、空中を走り抜ける道路のようなインスタレーションが公開された。来場者に驚きをもって迎え入れられた今回のプロジェクト。11月3日には、レクサスブース内で製作を手がけた新進気鋭の建築家・平田晃久氏に、デザインディレクター・桐山登士樹氏がその意図を問いかけるかたちでトークショーが開催された。
冒頭で桐山氏が、最初にイタリアで完成された約330平方メートル、高さ5.5メートルにもわたった当作品を見て、しびれるほどに圧倒されたという感想を述べると「大きな会場だと、大きなものをつくりたくなります」と平田氏。さらにその経緯について、レクサスから車を1台も展示しないで、自分たちの世界観を表現する作品をつくってほしいと依頼があったことについて触れ、「自分も建築に対して同様の問題意識があります。つまり、デザインというものは単体だけで考えてもあまり面白くない。大きな環境のなかでそれがどういう意味を帯びているのかを考えることが大事」との考えを披露。
「郊外の団地に住んでいたので、人工的な空間のなかに虫などの自然が入り込んでくる環境で育ちました。そのなかで、自分の居る場所と外部の落差に違和感をもち、自分だったらもっと有機的に結びつけるのにという感覚がありました」と語り、生物化学者か建築家になるか最後まで悩んだ過去を振り返りながら、車をめぐる土地・風・水・人と複数のネットワークが重なり合う様子を体現した今回の展示に連なる思いを説明した。
最後は、平田氏がこれまでに手がけてきたプロジェクト、そしてこれから竣工予定のプロジェクトを紹介。台湾・高雄市の海岸線に沿って絡まりながら広がる≪foam form≫や、釜石市の長屋風災害復興公営住宅まで多岐にわたる。一見、それぞれ違った試みのように見えるかもしれないが、どれも外部の環境と有機的に絡まるようにするという共通の問題意識があると説明。「根源が同じならば表現の方法はさまざまに変化していい」と話し、「これからのデザインは、単にもともとのかたちに装飾をして付加価値をつけるということではなく、もともとのかたちがどこから生まれてくるのかという原型の部分を考える。だからこそ面白い、というものになっていくのではないでしょうか」と未来のデザインの展望を語った。
平田氏の語る人工物と自然が共生する未来のデザインが体感できるこのブースは、レクサスの標榜する新しいラグジュアリーの一つの形なのかもしれない。
【参照リンク】
・LEXUS DESIGN AMAZING 2013
http://www.lexus-int.com/jp/design-events/
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