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万城目学氏の2年ぶりの大長編『とっぴんぱらりの風太郎』が本屋大賞にノミネートされました。『鹿男あをによし』や『プリンセス・トヨトミ』など、現代に歴史的事実をよみがえらせ、奇想天外な物語を展開してきた著者ですが、意外にも時代小説は初になります。ニート忍者が縦横無尽に駆け抜ける740ページを超える本作。時代を超えても、ユニークな万城目ワールドは健在。


時代は天下が豊臣から徳川へと移る激動期。伊賀忍者として過酷な修練を受け、育てられた風太郎は、仲間の失敗を被り、伊賀を追い出されてしまいます。流れついた京の片田舎で仕事もなく、仲間の失敗を恨むばかりで、ぼんくらな日々を送っていたところ、かつての忍者仲間に仕事を頼まれます。

「ひょうたんを届けろ」「ひょうたんを育てろ」「戦へ行って戦え」...、風太郎は生活費を稼ぐため、かつての忍者組織や、不思議な「ひょうたん」の声が命じる仕事に重い腰をあげます。そうして深く考えずに請け負ってきた仕事が、いつしか思わぬ方向へ転がりはじめ、時代の命運を握る若き豊臣秀頼の運命と交錯し始めます。ついには、徳川勢の総攻撃の中、燃え落ちる天守閣にひょうたんを届けるはめになり...。

忍者組織の掟は、命令に疑問を持たず、ただ命をかけて任務を全うすること。忍者組織からドロップアウトした風太郎は、忍者であることに未練を持ちながらも、目の前の仕事だけを請け負ってきました。不遇は人のせいにし、自分の命が危ういとなれば、仕事や仲間を捨てて真っ先に逃げ出す。そんな軟弱ニート忍者風太郎が、少しずつ組織の命令に疑問を感じはじめます。そしてついに自分の意志で立ち上がり、勝つ見込みのない大坂城の最終決戦に乗り込みます。風太郎が10万人を敵に回し、守ったものとは何だったのか?

軟弱だ、頼りないと言われていても、やるときはやってくれた! 現代社会の若者像に通じる風太郎の成長と飛躍が読み手に感動をもたらしてくれる一冊です。タイトルにある「とっぴんぱらりのぷう」は昔話の結びに使う秋田の言葉。時代を超える、笑いあり、涙ありの物語にとっぷり浸かってみてはいかがでしょうか。

【書籍データ】
・『とっぴんぱらりの風太郎』万城目学著 文藝春秋


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