12月10日、SMAPの最新コンサートツアー「Mr.S"saikou de saikou no CONCERT TOUR"」のDVD/Blu-rayが発売された。2014年9月4日より開催されている全国ツアーが、まだ全日程を終えていない段階で早くも映像化されたわけだが、今回の公演(DVD/Blu-ray)において何より注目すべきなのは、およそ8分間におよぶSMAPメンバーたちの"登場シーン"だ。
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それについて触れる前にまず、SMAPのライブのメンバー登場演出が毎回いかに凝っているかについて、近年の全国ツアーをもとに説明しよう。特徴は、「とにかくド派手」と「裏切り」だ。
勢いよく飛びながら5人が登場したと思いきや、メンバーたちは「既に出ていた」と表現できる演出がされた2010年の「We are SMAP! 2010 SMAP CONCERT TOUR」。早い段階でいきなり全員が一瞬現れ、その後素早い衣装チェンジとド派手な"宙吊り"登場演出で驚かせた2012年の「GIFT of SMAP‐CONCERT TOUR' 2012‐」。
毎回訪れたファンの度肝を抜く登場をみせるなか、白眉の出来だったのが、2008年に開催された「SMAP 2008 super.modern.artistic.performance tour」の登場演出だ。
同年に発売されたアルバム『super.modern.artistic.performance』の1曲目である、アメリカの人気グループ「BLACK EYED PEAS」のメンバー・will.i.amが作曲したテーマ曲に乗せてその登場演出は行われたのだが、まさに「ド派手」と「裏切り」という言葉がふさわしい登場だった。
"裏切り"というのは、2010年のツアーにも共通するが、メンバーたちが出てきたと思わせながら、実はそれはダミーであり、本当のメンバーたちはさらに観客の想像の上をいく形で登場するという意味だ。"ダミー"の登場演出だけで既に観客の大歓声を得るクオリティがあるなか、それをより超えてくるのである。
2008年のツアーDVD/Blu-rayでは、登場の裏側に密着した映像も見られるが、メンバーを一定のポジションにいさせるだけでその演出を成立させるスタッフ陣に感心せざるを得ない。
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そして、今回の「Mr.S"saikou de saikou no CONCERT TOUR"」の登場演出。
コンサート用に作られた映像と、アルバム『Mr.S』のテーマ曲である『Theme of Mr.S』が融合して作り上げる世界観から、既に映画のようだ。同曲を作曲したのは、宝塚歌劇団に所属する作曲家・太田健氏。ルパン3世のテーマを思わせる軽快なビッグバンドソングとなっており、映像は"スパイ映画"風に仕上がっている。
『007』シリーズ、『スパイダーマン』や『バットマン』といったアメコミ作品、アクション映画『フェイス/オフ』など、さまざまな映画の要素が入ったこの映像の"続き"という形で、まずはひとりずつド派手に登場するメンバーたち。最初の中居とトリの木村の登場は、特に圧巻だ。
そして、それぞれの登場が終わった後、最後にメンバーが揃って登場するのだが、そこにも人間の先入観を上手く利用した大きな仕掛けがされている。会場全体が思わず「えー!?」と言ってしまうのも納得な、スパイ風の仕掛けだ。
口をポッカリ開けながら見てしまうような、驚き続きの8分間となっている。
とにかく凄い、SMAPのライブ登場演出。その集大成とも言えそうな今回の"登場"、ぜひその目で確かめることをオススメしたい。
文・宇佐美連三
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