「ふふっ、見てたぞ、見てたぞ〜〜〜」

振り返ると後ろには、武志が立っていた。
今のやり取りを一部始終を見られてたかと思うとちょっと恥ずかしい。。

「なにお前、あいつらの中の誰かに気があるの?」

「いや、そ、そ、そんなんじゃね〜〜〜し!!!」

なんだか気が動転して、図星っぽい反応になってしまった。

「いいって、いいって、俺に隠し事はなしだぜ?
ま、俺の方でもちょっとお前に話したい事があっから、
これからゲストにでも寄ってかね?」

ゲストは、駅前にあるファミリーレストランで、
俺と武志が、学校の帰りにちょくちょく寄る店だ。

いつもはテストそっちの気でバカ話をするのが常だったけど、
今回は武志が猛勉強してきたこともあり、あまり気が進まなかった。
とは言っても、特に断る口実もなく、
武志に押し切られるようにして、2人はゲストに入った。

「いやぁ〜やっぱりゲストの特盛ポテトは最高だな!!」

武志は、大のポテト好きで、注文するのは決まって、特盛ポテトとドリンクバー。
俺も好物のイタリアンハンバーグに舌鼓を打ちながら、
今日の女子とのコミュニケーションについて、振り返っていた。

「そうそう、お前に話したいって言ってたアレだけど、
俺、彼女できたわ」

エェェェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そりゃ聞いてないぜ!!!!!!

「つい1ヶ月くらい前からなんだけどさ〜、
テストとかで色々とゴタゴタしてたから、言うの遅くなっちゃったよ。」

まさかのカミングアウトに動揺が隠せない。。

”赤点ギリギリ同盟”の他に、
”彼女より男友達同盟”を組んでいた武志の
立て続けの裏切りに憤慨しつつも、その相手が気になる。

「で、で、相手は誰なんだよ?」

「聞いて驚くなよ〜。お前も良く知ってる、早坂だよ。早坂のぼり!!」

まさか、のぼりの彼氏が武志だったなんて。。
そんな素振りが全くなかったから全然気づかなかった…。

「お前もヘンテコな動画ばっかり観てないで、俺みたいな本物の恋をした方がいいぜ?友達として忠告したからなっ!!」

ありがた迷惑な忠告と、信じがたい事実に打ちひしがれ、
その日は家に帰ってからもうわの空だった。

両親が食卓でなにやら遅くまで話し合ってたみたいだけど、
3つ上のお姉ちゃんの進路に間することだとわかったのは、
次の日の朝食の時だった。