「なぁ、今週末、ディスティニーワールド行かね??」

武志から唐突に誘われたのは、昼休みの時だった。

ディスティニーワールドは、僕たちが通う学校から30分くらいの距離にあるテーマパークだ。

試験も無事に終わり、浮かれ気分な武志が、のぼりが女友達と行く事を聞きつけ、便乗しようとしているとのこと。

…って事は、、ダブルデート!?

まさか、自分がダブルデートなんて、、。
気が動転しそうなのを抑えつつ、武志に答える。

「ディスティニーワールドなんて、ちょっとガキっぽくね?
お前、そうゆうのに興味あったっけ?」

ドキドキしてるのがバレないよう、平静を装いつつも、頭のなかでは色々な妄想が浮かんでくる。

「そっかぁ、健斗はそうゆうのあまり好きじゃないし、興味ないなら、仕方な…」

武志の言葉を途中で遮り、力強く言い放つ。

「チョット待てよ、お前には、オレっていう保護者が必要だろ?
のぼりとも、元々はオレの方がチョット付き合い長いし、色々とアシストしてやるよ。」

「さっすが健斗!そう来ると思ったよ♪」

「で、のぼりの女友達って誰なんよ?」

「藤島!藤島あかりだよ。」

!!!!!!!!!

まさかの名前に、文字通りイスから転げ落ちてしまった。

藤島あかり。
僕たちの学年で、1、2を争う美女。
告白された回数は、両手でも数えきれないほどとのウワサがあるくらい、人気がある女子だ。

いたって活発でサッパリとした性格をしていて、同じ陸上部に所属するのぼりとは、とても仲が良い。

告白されても、なかなかその気になる人がいないと、以前にのぼりから聞いた事がある。

そんな4人でダブルデートなんて…。
俄然、緊張してきてしまった。

『遊園地の沈黙を回避する会話術』
『必見!ダブルデート必勝法』
『オクテ男子が10日で学年イチの美女をゲットした話』

週末にむけて、たくさんの動画を貪るように観たのは言うまでもない