いよいよというかあっという間にというか、デート当日がやって来た。

女子組がデートのつもりでいるのかはわからないけど、

少なくとも俺にとってはまさに運命―ディスティニー―を決める1日になるかもしれない。

まさか初めて行くディスティニーワールドが、こんなにドキドキするなんて……

遊園地とかテーマパークなんて全然興味なかったし、

ディスティニーワールドは学校の卒業旅行の行き先にもちょくちょくなってたから、

行くとしたらそのときくらいだろうな、程度にしか思っていなかった。

武志に誘われてからのここ数日で、ワールドの予習もいっぱいした。

「その熱意を1割でも数学に向けてたら……」という指摘は、今の俺には通用しない。

俺はもう人生の勉強、モテるための勉強にすべてを捧げると決めたんだ!

さわやかな青空の下を歩き、武志と待ち合わせの約束をした駅に着いた瞬間――

「ええぇぇぇええっ!!?」

そこには武志と、のぼりと藤島の姿があった。

「なんで2人が?ワールドの最寄り駅で集合じゃなかったの??」慌ててのぼりに尋ねる。

「ウチらが来たときには武志がいたからさ、一緒に行こうってなったの」

「健斗もあと5分くらいで来るだろうしってことで、なら一緒に行こうってな!」

マズいなぁ、電車で向かいながら武志と作戦会議しようと思ってたのに、

いきなり1時間近いトークタイムになっちゃったよ~~

何を話そうか必死に考えていると、

「今日はよろしく、山城君」

藤島が声をかけてきた。

「あっ、よろしく!初めまして!」

「いや初めましてではないでしょ」咄嗟に出てしまった言葉にのぼりがツッコむ。

「ハハハッ 緊張しすぎだぞ健斗」

「し、してねーし!」

初っ端からやらかした~っ。どうしよう変なヤツに思われたら……

そうだ、モテ動画でやってた、"会ったらまず褒める"だ!

「あっ 藤島、さん、か かわい

「あっもう電車来るよ!ICチャージした?」

褒めるのにモタついていたところをのぼりに遮られ、俺はみんなと改札へ急いだ。

出鼻をくじかれた俺は、電車の中でもフワッとした相槌くらいしかできなかった。

そして電車は、ディスティニーワールドの最寄り駅に着いたーー