『戦国BASARA』などのゲームに端を発し、NHK大河ドラマの影響もあってか、その存在が世間的に広く認知されている「歴女」。女優の杏も歴史好きを公言するなど、芸能界でも歴女が続々と現れる中、彼女たちの消費意欲が、デフレ経済や消費不況で疲弊した地方にとって産業活性化の起爆剤とみなされるなど、今や<歴女>は、地方自治体からも注目の的です。
今年に入ってからも、歴史ブームは勢いを増し、戦国時代最後の名将・真田信繁(幸村)を描いたNHK大河ドラマ『真田丸』が軒並み高視聴率を叩き出す一方で、漫画からドラマ化、そしてついに映画化も果たされた『信長協奏曲』では、小栗旬による織田信長がかっこよすぎると人気に。さらに、2014年に大ヒットした舞台『真田十勇士』が、演出を手がけた堤幸彦監督により映画化、中村勘九郎を主演に迎え9月より公開される。また、こうした動きの中で近年では「刀剣乱舞」を代表とする「刀剣女子」(日本の名刀に興味を持つ女性)も誕生し、一大ブームを巻き起こしています。
そんな映像化作品を観ていると感じる疑問が一つ。「彼らはみんなそんなにイケメンだったのか」。もちろん個人差はあれど、大方話題になるのは、超絶イケメンに描かれた武将や、イケメン俳優が演じる偉人、あるいは超絶イケメンに擬人化された歴史的な名品の数々です。
彼らは実際には、イケメンで無かったのかもしれないし、しかも“イケメン”の基準は時代によってそれぞれ。でも、語り継がれてきた活躍は変わる事無く、その信念が人間を輝かさせるのかもしれません。今回は、歴女達にオススメしたい“心のイケメン集団”をご紹介します。
【見た目は普通、心はイケメン? 庶民版・忠臣蔵がここに!】
2010年に映画化されたベストセラー『武士の家計簿』などの著作で知られ“平成の司馬遼太郎”との呼び声も高い磯田道史氏の近著「無私の日本人」(文春文庫刊)の一編「穀田屋十三郎」を、『ゴールデンスランバー』『白ゆき姫殺人事件』『予告犯』等、今最も注目を集める中村義洋監督が映画化。主演に阿部サダヲを迎え、瑛太、妻夫木聡、竹内結子など、多種多彩な豪華キャストの競演も見どころの一つ。さらに、フィギュアスケーターの羽生結弦が、映画のタイトルにもなっている“殿”、仙台藩藩主・伊達重村(だて・しげむら)役として初の映画出演を果たすことも話題となりました。
物語は、さびれ果てた小さな宿場町・吉岡藩を救うため、穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は、知恵者の篤平治(瑛太)らと「藩に大金を貸し付け利息を巻き上げる」という、百姓が搾取される側から搾取する側に回る逆転の計画を立ち上げる…といったもの。
千両=三億円の大金を水面下で集めるため「この行いを末代まで決して人様に自慢してはならない」という“つつしみの掟”を自らに課しながら、己を捨てて、ただ人のために私財を投げ打ち悲願に挑む宿場町の仲間たちの姿はまさに庶民版・忠臣蔵。
歴史上の人物と言えば、身分が高く、頭脳明晰、身体能力も高く、一般人には思いもよらない発想で歴史を変革させる人をイメージする人も多いと思うが、一方でそんな人々の話はどこか絵空事のよう……。今の時代、求められるのは”普通の”スゴイ人。志が高く、実直であった庶民たちに胸を打たれること間違い無しです。
(C)2016「殿、利息でござる!」製作委員会
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